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ぷれ☆★いす
暗闇☆★救出

 自転車は猛スピードで大介の道案内にそって美耶の元へと進んで行く。

「大介、時の流れがまたおかしくなってきているってさっき言ってたけど、どういう事?」

 前を向いたまま、烈子は後ろで掴まっている大介に声を掛けた。

「あぁ、時の流れが遅くなってきている様な」

「遅くなってきている?」

 何だか良く理解出来ず、烈子は大介に聞き返した。

「俺も何て言っていいか分からないけど、時間の流れが遅くなってきている。 このままのペースで行くと時間の流れが止まってしまうかもしれない」

 力を使い始めたばかりの大介には時の流れの変化は感じる物のそれがどういう変化なのかはっきり分かるまでには到らなかった。

「そっか。 闇の長が何か仕掛けたかのか」

 トキシラズの力を操っている闇の長が何かを仕掛けたのでは、烈子のその考え方はスムーズだった。

「俺がちゃんと行ってあげていれば」

 後悔する様に大介はうなだれた声を漏らした。

「大介、あんたは悪か無いよ。 あたしの馬鹿師匠が悪いんだよ。 ったく、師匠があんな所に連れて行かなかったらこんな事にはならなかった」

 二人はおもいおもいに喋り、おもいおもいに落ち込んだ。

 後悔と自責の念が二人を沈黙へと陥れる。
辺りには自転車が空を移動する音だけが響いていた。

「そういえば、烈子は時の流れが遅くなってないな。 なんでだ?」

「そんな事、明日使いのあんたが分からないのにあたしに分かる訳……あ!」

 時の流れが遅くなっていないのに心当たりがあったのか、烈子は何かを思い出したかの様に大きな声を上げた。

「何か心当たりがあるのか?」

「うん、あんたの母親がお呪いって言って、あたしに何かしてた」

「母さんが。 いつもは天然ボケな感があるが、さすが元明日使い。 手際がいいな」

 自分の母親の手際の良さに思わず大介は感心した。

「大介の母親は良いよな」

「あの、天然ボケがか? お前にそのこっぱずかしい一昔前の小学生が学芸会で着る様なお姫様ドレスを半ば無理矢理着せたあの母親がか?」

「…………」

 烈子は大介にそう冷静に言い詰め寄られ、改めて自分の着ているドレスを見つめる。

 白を基調としたスカートにギャザーの入ったふんわりとしたお姫様ドレス。

 緩やかな曲線で横に広くくられたボートネック調とでもいうのか首回りの露出が少ない襟ぐり。

 袖はキャザーやシャーリングなどで肩先の袖口をふくらませた、いわゆるかわいらしいパフスリーブ型。

 胸元へハート型にあしらわれた七色にピカピカ光るビーズが如何にも子供らしい。

 靴も合わせてせめてヒールにと、良子にせがまれたが、動き辛い事もあるのでと烈子はそれを何とか断ってランニングシューズをはいた。

 確かにこんなお姫様ドレスを着せる母親ってどうよ!?という大介の意見は分からなくも無い。いや、むしろ正当だ。でも、烈子はそんな所が良いと言いたい訳では無く。

「まぁ、このドレスを無理矢理着せられた感は否めないけど、良い母親だよな」

 どこか寂しげに烈子はそう言った。

「そうか?」

「そうだよ!」

 そして、大介の意見を押し潰す様に声を張る。

「あたしの母親何て、あたしの事ちゃんと見てくれているのかどうなのか分ったもんじゃない」

 再び、烈子は寂しげにそう言った。

「そうなのか?」

「そうだよ!」



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あきゅろす。
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