ぷれ☆★いす
其の二
「この数、相手にするのは面倒だ。 大介、あたしに捕まれ」
言うやいなや、烈子は白いドレスをなびかせて大介の自転車に跨がり、後ろに乗って捕まれと言う所を捕まれと省略して言い放った。その言葉からかなり急いでいる烈子の気持ちが伝わってくる。
大介は言われるがままに自転車の後ろに乗り、烈子の腰に捕まった。
マトリッ〇スの見せ場であるエージェントス〇スとネ〇のCGによるアクションシーンの様に多量で同じ姿の闇の塊達と大介達の距離はもう1メートルも無かった。
「行くよ」
自転車に乗る烈子達は淡い光に包まれたかと思うとそれは宙に浮上った。大介はそんな光景に目を疑いつつ、その様子に見入っていた。
「しっかり、捕まってるんだぞ。 一気に行くからな」
大介にそう伝えると自転車の光は激しくなり、自転車は間欠泉の噴射の様に一気に空へと上昇した。
「うわ、まぢかよ」
そこには大介の目を疑う様な景色が広がっていた。
空高くから見た立体模型の様な町並み。道路を走る車はブリキの玩具の様で。歩く人はまさに蟻の様だった。
そして、真下には何やら黒い塊が溢れ返っている。
「まるで〇キブリの様だな」
その有様を大介はぽつらと呟いた。
「マ〇リックスからゴキブ〇に格下げか」
ここまでは来られないと確信して安心したのだろうか。烈子から闇の塊達へ哀れみとも取れる言葉が投げ掛けられた。
「烈子、案外俺の格下げは当たりだったかもしれないな」
そう、闇の塊達は昆虫の様な羽根を付けてまた、烈子達を追いかけて来たのだ。
「きもぢわるぃ」
さっきの哀れみはどこへやら羽根を広げて飛び上がってくる闇の塊達に非情な言葉が投げ掛けられた。
「くそ、巻いてやる」
自転車はさらに光を増し、先程の間欠泉の様な噴射が自転車の真後ろに出され、直進した。
「このスピードには着いて来れる訳が無い」
烈子達は体勢を低くとり、スピードに乗る自転車。
かなりの速さの様だが、それによっての向かい風は感じられなかった。どうやら、自転車を包む光が防風壁の役割を果たしている様だ。
「ぉい、あいつら着いて来てるぞ」
「嘘」
あちらもかなりのスピードでこちらに迫って来ていた。
「ブブブブブブブブ」
羽根を羽ばたかせる音がさらに気色の悪さを誘う。
「あの速さといい、まさにゴキブリの様だな」
傍観する様に大介は呟いた。
「まんま、名前言うなよ。 きもぢわるぃ」
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