ぷれ☆★いす
擦れ☆★違い
「大介、見えないか。 あそこに闇みたいな奴がいる」
烈子は大介に鞄から自分を外してもらう様、頼み猫型のキーホルダーから人の姿へと戻った。
「みたいな奴、闇では無いのか」
大介は自転車のストッパーをガチャリと降ろし、立て掛けると辺りをちらちらと見回した。
「闇じゃない様な気がする。 闇は自分から闘志をむき出しにして来ないからな。 でも、外見は闇そのものだ」
「ザザッ」
足を滑らせる様に運ぶ音が微かに聞こえる。
「新種かもしれない」
新種、闇も日々進化しているという事だろうか。悍ましい。
摺り足は段々とその数を増やして行く。
「ザザッ、ザッ、ザザッ」
そして、いつしか取り囲まれている事に2人は気が付いた。
「闇って、そもそも臆病なんだよ。 だからこそ、闇の長だって自殺だって怖くて出来ないんだけど。 だから、自分を強く見せるために大袈裟な化物の様な外見してる事多いんだけど、こいつらは何か逆の物の感じが」
摺り足が大きくなっていく。それはジワジワと詰め寄られている事を意味していた。
大介と烈子は互いに背中を合わせて構えた。
「逆って、いったい」
「あー、つまりあたしに似た、光に似た性質をもった奴等だ」
2人の会話の終わったのを見計らった様に全周囲、2人を取り囲む様に人型をした黒い闇の塊の様な者達がいっせいに飛び出した。
家の屋根の上から飛び掛かってくる者、電信柱から飛び降りて来る者、家の影から庭の影から犬小屋の影までからその人型の闇は飛び出して来た。
その数は数える事は出来ない。
大介は思わず、叫んだ。
「マト〇ックスか」
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