ぷれ☆★いす
学校☆★登校
食事を済ませ、二人は朝の支度に取り掛かり、始めた。
洗顔、歯磨き、シャワー、交互に行う。烈子は気を使って大介の後に使った。
女は何かと準備に時間が掛かる。大介は自分の母親や本等の情報からそういうものだと、思っていた。それにしても烈子のシャワーは時間が掛かり過ぎる。自分が10分も時間が掛からないからそう思うのだろうか。しかし…。
「おい、烈子。 そろそろ行かないと」
待ち切れなくなって大介は烈子に声を掛けた。
「わ、分かってるって」
ドライヤーの音が鳴っていた事やはっきりと聞こえる烈子の声からどうやら風呂場からは出て来ている様なのだが。
「ガチャリ」
風呂場の方からドアノブを捻る音が聞こえた。
「おう、烈子。 早く行くぞ……ってお前その格好」
そこには童話に出て来る様な白いドレスを来た烈子がいた。
「あら、ぴったりね。 良く似合っているわよ。 れっちゃん」
「あ。 有り難うございます」
顔を真っ赤にして、烈子は良子に礼をした。
「烈子、お前……」
「何だよ。 おかしかったら笑えば良いだろ!?」
「いや、お前、良い奴だな。 俺なら頼まれても着ない」
良子のいる手前、本当は嫌だったとも言えず、烈子は唯唯真っ赤になった顔を隠す様に下を向いていた。
「私の小学生の頃の劇の衣装がこんな所で役にたつなんて思わなかったわ」
胸の前で手を合わせてはしゃぐ様に喜ぶ良子。
「まぁ、思わないよな」
そんな大介の横槍もはしゃぎ喜ぶ良子には届かなかった。
「いってきます」
「はい、気をつけてね」
いつもの様に交わす出かける際の挨拶だったが、その意味合いは何だかこの日は深い物に大介は感じた。
自転車を軽快に漕ぐ大介は自転車道路を使わず、普通のルートで学校に向かう。
「あれ、自転車道路使わないんだ」
そんな烈子の声は聞こえるもその姿は無い。
このままでは学校には付いて行けないからという、烈子からの提案で光の魔力で自分の姿を猫型のキーホルダーにし、大介の鞄に付けてもらっていた。
「まあな、あっちって、めちゃ混むだろ。 あれが俺には耐えられないんだよ」
自転車道路のデメリットを力の限り、大介は説明した。
そんな力入れて説明しなくても。いつもは自転車道路を使っている烈子は気持ちの萎むのを感じた。
と、その時、大介は急ブレーキを掛けて自転車を止めた。
「うお、何だ。 何か見つけたのか」
自転車を止めた大介はある人物を見つめていた。
「あのおっさんがどうかしたのか」
「あのおっさん、俺の記憶と違う動きをしていた」
大介の記憶と違う動きをしている者。それは何かしら魔力を持っている人の事を指している。
「そうか。 それじゃ、あたしの力であのおっさんが何者か調べてやるよ。 あたしを外してあのおっさんに向けてみて」
大介は烈子に言われるがまま、烈子自身であるキーホルダーをおっさんに向けた。
キーホルダーは怪しい光に包まれる。数秒光ると怪しい光は止まった。
「あのおっさん、風の長だ」
「え、あのおっさんが」
烈子から風の長と断言されたおっさんは何の代わり映えもしない本当に普通のおっさんだった。
「本当にあのおっさんが風の長なのか」
「えぇ、長って言っても一生自分の正体が分からないまま過ごす人は珍しくないんだ。 管理している長達は何かあった時にその力を使うから。 普通に風の力がいたずらされる事が無い限りは覚醒する事無く、生活するんだよ。 だから、大介も時がいたずらされる事がなかったら覚醒する事はなかったんだよ」
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