ぷれ☆★いす
其の二
味噌汁を煮出していたガスの火を良子はいったん止め、大介と同じくテーブルの椅子へと腰を掛ける。
「朝から気合入れてみたけど、やっぱり母さん朝は駄目ね」
大介に苦笑して見せる良子。
そんな顔されても。大介は良子にどんな表情を返していいのか分からず、目を逸らす。
「で、その話しってなんなの」
目を逸らしたまま、大介はなかなか話しが進まない事に不満を漏らし始めた。
「そうね。 大ちゃんに明日使いの能力が現れたのは時の動きを妨害したから現れたのよね」
「母さん、そう言ってただろ」
ちょっと、いきもきになって大介は良子に言い返す。
むっとした表情をする大介にも良子は笑顔を崩さない。
「それじゃ、何で母さんにも同じ能力があるんでしょうか。 大ちゃんを生んだ時点で母さんの力の殆どは大ちゃんに移っちゃったけど」
「母さんも時を妨害した者と戦ったから」
半信半疑に良子へ大介は言った。しかし、考えられるのはそれしかない。大介はじっと良子を見つめて答えを待った。
「そう。 その時にあの光雄さんにもお世話になってね。 やっぱり、れっちゃんみたいにあのハンドベルから呼び出せる子がいて母さんも一緒に泊まって守ってもらったりしたのよ」
「なるほどね」
とりあえず、大介は納得する。
「母さんは怖かった? 誰と戦ったかは分からないけど。 命、狙われたんでしょ」
興味津々で大介は良子に聞いた。
「怖くなかったって、言えば嘘になるけど、みんなが助けてくれたから。 何とか乗り越えたわ。 あの時は大ちゃん、あんまりに他人事みたいな感じだったから脅しちゃったけど、大丈夫。 大ちゃんなら」
良子は微笑んで大介を見つめる。やっぱり、大介は良子の顔を直視出来ずに目線を逸らした。
「大ちゃん、時を妨害した者には罪か罰、2種類の償わせ方があるから、それは必ず相手に聞くのよ。 罪を償うのであれば、生きて償ってもらう、それが否であれば罰を受けてもらって相手を抹消する。 覚えておいてね。 大ちゃんの中にもれっちゃんや光雄さんの様な不思議な力が隠されているわ。 きっと、大ちゃんを守ってくれるはず」
良子は微笑みながらも真剣なまなざしで大介にそう言った。目を逸らしながらも大介もその言葉を忘れない様に記憶へと刻みつけた。
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