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ぷれ☆★いす
其の十
 あたしの記憶は失われているのか。だからと言って記憶喪失の様に全てを忘れている訳では無い。記憶喪失にも種類があるのか。
 そんな考えが頭で渦巻く中、大介は以外な予想を口にした。

「これもトキシラズの魔力の影響か」

「え」

 烈子は自分の記憶喪失がトキシラズの魔力の影響と聞いてその予想に興味を示した。

「そ、そうなのか」

「いや、はっきりは分からないけど、明日、母さんに聞いてみるよ」

 まだ、顔が痛いのか考えているせいなのか顔をしかめながら片手で頭を抱えて大介はそう言った。

 そうであって欲しい。そうであれば自分がおかしくなった訳では無い事がはっきりする。
 早くそれを確かめたかったが、時間も時間。さっきの様子では大介の母親も眠っていた様だし、烈子は逸る気持ちを押さえた。

「所で、あんたが俺を守ってくれる事は分かったんだが、これからどうするんだ」

「どうするって何が」

 唐突に大介に聞かれて、何の事だと聞き返す烈子。
 大介はあぐらをかいて、こりをほぐす様に首を回して肩を揉んだ。

「いや、試しで呼んでしまったから今は特に俺がピンチな訳でも無いからな。 いや、だから帰りはどうするんだ。 その格好で帰るのか」

「あ〜、その点は抜かり無いよ」

 自信があるのか、腕を組み烈子は鼻穴を大きく広げ、大介の前で仁王立ちする。鼻穴からは今にもフンッと、熱い鼻息が噴射されそうだ。

 大介は烈子の溢れる迫力に押され、額から一筋の汗を流した。
 ゴクリと生唾を飲み込んで大介の喉が音を立てる。

「あたし、帰らないから」

 答えになっているのかいないのか、はっきり分からない答えだったが、烈子は仁王立ちのまま、自信満々ではっきり、そう答えた。

 そんなはっきりしない答えにもちろん大介は良く理解出来なかった。

「帰らないのか」

「そう、帰らないよ」

 やっぱり意味が分からない。
 頭を抱える大介は烈子のパジャマ姿にまた気が付いた。

 帰らないとなるとこの女の娘と一夜を過ごす事になるのか。

 そんな事を想像してしまい、恥かしい気持ちが大介に襲いかかる。

 決して大介は女の娘が苦手な訳では無いが、高校生という色々とお盛んな次期の自分の部屋で泊めるのはとてつもなく恥かしい。アレが見つかりでもしない物かとドキドキして気が気でない。どこか罪悪感も感じてしまう。

 駄目だ。女の娘とこの部屋で一夜を過ごすのは駄目だ。何とか回避出来ない物か。大介は頭をフル回転させた。

「そうだ。 あんた、学校とかどうするんだ。 親も心配するだろ」

 それでも烈子は仁王立ちを崩さない。

「だから、大丈夫なんだって」

 自信満々に答える烈子。
 本当に大丈夫そうだ。

 大介は苦笑いを浮かべながら、ため息を吐いた。

「だって、そのベルを鳴らした瞬間にあたしのコピーがあたしの代わりに作られているから」

 それは本当に抜かり無いな。

 都合良く作られている便利な道具に大介は感心した。

「コ〇゜ーロボットみたいなものか」

「コピーロ〇゛ット。 何それ」

 初めて聞く言葉なのか、仁王立ちを少し崩して烈子は不思議な顔をする。

「いや、何でもない」

 ここから出て行く事は無いと確信した大介は素っ気無く答えた。

「まぁ、ちゃんと守ってやるから。 安心しな」
 バフッとベッドに腰掛ける烈子。

「それに夜が来たらどっちにしろ、あたしを呼ぶ事になっただろうし」

 意味深な発言をしたかと思うと烈子は大介のベッドへと入り込んで行った。

「ちょ、お前、そこ俺のベッ……」

「…ン、ガアアァァァ」

 こいつ、〇び太か。

 烈子は枕に頭を付けた瞬間眠った。

 烈子の神経を疑いながら渋々と大介は床に布団を引くのだった。

 そして、その夜……。



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