ぷれ☆★いす
其の九
様するにこの照れ笑いは自分を好意の目で見ているという、あぁ〜勘違い甚だしい自意識過剰を覗かせていたのだ。
もちろん、大介は烈子が可愛いからじっと見ている訳ではなく…。
「な、本当にいつまで見てるんだよ」
大介があまりに見つめる物なので熱い視線と勘違いした烈子はさらに顔を赤くした。
何、会ったばかりでしょ。 まさか、一目ぼれって奴。 でも、あたしはこんな中途半端に伸びたボサボサ頭の男何て……。 でも、本当にあたしを。
止まらぬ、妄想を続ける烈子に大介は見つめた訳を話した。
「あんた…」
「だから、何なんだよ」
「あんた、朝に学校途中でぶつかった女だろ」
「え!?」
予想外の発言に拍子抜けしたと同時に烈子は新たな問いに頭を抱える。
「朝って?」
「覚えてないのか?」
「え、いや……」
どんなに思い出そうとしても今日の朝の記憶がすっぽりと抜けていた。しかし、良く考えると朝だけじゃない今日の一日にあった事を全てが思い出せない。
烈子の顔はどんどん青ざめていった。
「顔、真っ青だぞ」
「え」
大介に顔色を指摘された烈子はハタと我に返るも冷や汗がジメジメと額に溢れ始めるのを感じた。
「覚えてないんだな」
「そ、そんな事あるわけないだろ」
声を大きく張り上げて烈子は叫んだ。その声にはあせりが混じる。
しかし、そう烈子は突っ張ってみるも青ざめた顔色と溢れる冷や汗が何よりそれが嘘である事を証明していた。
「み、見間違いじゃないのか」
声の震えを感じながら烈子はそうであって欲しいと思い、大介に聞き返した。誰にだって見間違いはある物、自分と似た人がいたっておかしくは無い。
「いや、顔も声も同じだし、見間違いでは無い。 そうだ。 あの時、あんた、またって俺言ったのに否定しなかったぞ」
「嘘」
大介からは非情な現実が突き付けられ、さらに言い覚えの無い新事実というおまけまでが付いて来て烈子はただただ絶句する。
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