ぷれ☆★いす
其の六
「で、普通の人間であれば、一日が繰り返されている事に気がつかないわ。 知らない間に世界が変わって行く。 トキシラズの種の魔力も相当だしね。 で、何で大ちゃんや母さん、さっきのお爺ちゃんはそれに気がつく事が出来たのか。 いや、大ちゃんも気が付いてるよね? あの痛みってイメージを思い出した反動で現れる事多いから」
なんでも知ってる母親だなと大介は感心した。
「あのお爺ちゃんが光の長で、母さん達は明日使いと呼ばれる未来を束ねる長なのよ」
そういえば、あの爺さんも自分でそんな事を言っていたっけ?大介はあの老人の言葉を思い出した。
「ってか、母さん。 光とか闇とか火とかならゲームでも出て来るから分かるけど、明日使いって聞いた事も無い。 いや、俺がその明日使いなのか!?」
聞いた事も無い属性に大介は耳を疑った。
「そう、明日使い。 明日という時の流れを司る長が母さん達なの」
酷く真面目な面持ちで良子はそう言い切った。
「で、俺が明日使いなのか」
信じられないまま、納得する大介。ただ、あの現象は本当に起こった事。自分も今日一日の全てのイメージを垣間見たから納得せざるを得ないのだが。
「でも、待って。 確かに俺は今日全ての一日をイメージ出来たけど、こんな夜のイメージは出て来なかった。 それってつじつまが合わない」
大介は鋭く、矛盾を指摘した。
「それこそが大介。 母さん達、明日使いの力なのよ」
ニコリと微笑みながら、良子は大介へ説明した。
「それこそがっていったいどうゆう……」
「世界の全ての時間を止まらせられるトキシラズの種の魔力も明日使いの母さん達には通じないのよ。 元々、母さん達が管理している物だしね」
「何だか分かる様な分からない様な……」
一度に説明をされて頭がこんがらがった大介はもじゃ毛をかきむしった。
「世界の時間は止まっているけど、明日使いの時間は止まっていないって事?」
「まぁ、そんな所よ。 また、長と呼ばれる人達や魔力の強い人達もトキシラズの魔力は利かないから、大ちゃんの今日のイメージと矛盾した動きをしている人は何等かの魔力を持っている人達ね」
後でじっくり思い出してみようと、大介は考えた。
「あ、まだ聞きたい事ある。 そもそも、俺が世界を救わなきゃならないのは何故?」
「母さん達、明日使いの管理は時を見守る事。 だから、普段は何の干渉も無く動く、「時」に対して管理する事って無いの。 でも、その時の動きを止めた者には罰を与える。 それが明日使いの役目。 だからこそ、明日使いの大介、あなたがそれを食い止めて時を止めた奴に罰を与えなければならない。 それが世界を救う事にも繋がるのよ」
腕を組んで、うんうんと一人納得する良子。
「分かった。 どうすれば、いいのかは良く分からないけど」
そう言って、大介は二階の自室へと戻ろうとしたその時。良子が大介の腕を乱暴に掴んだ。
「なにす、」
突然、掴まえられた腕を反射的に振りほどこうとして、大介は掴まえられた腕を断ち切る様に下へ払った。
そこには涙を溜めた母、良子が居た。
「母さ、ん」
「本当に分かっているの!?相手も必死なのよ。 計画を邪魔する大介、あなたを必ず殺しにくるわ」
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