ぷれ☆★いす
其の四
「そんな事よりも何なのか母さんの分かる事全部話してよ」
「そうね。 それじゃ、長くなるから、カレーでも食べながら話しましょうか」
エプロンの紐をキュっと結び直して良子はキッチンへと戻って行った。
「カレー何て後でいいから。 早く…………ぐきゅるるる〜」
そう言う間に大介のお腹が鳴った。体をあれだけ動かした後、お腹は実に正直であったのだった。
「やっぱ、食べながらにしよ。 話し長いんでしょ」
大介は頬を林檎の様に赤らめて言った。
食卓テーブルにカレーライスが二つ対面する様に並べられた。その真ん中にざくぎりレタスに四つ切りにされたトマト、スティック状に切られた胡瓜が一つ一つを主張する事無く、まとめられて丸いガラス食器で綺麗に盛り付けられていた。全体に掛けられた胡麻ドレッシングソースが見た目にも食欲をそそる。
「サラダはカレーライスの横に置いてあるお皿に自分で取り分けて食べてね」
エプロンを外し、良子もテーブルの前へと座った。
「いただきます」
手を合わせてそう言うと大介はカレーライスを勢い良く、口の中へと掻き込んだ。
「ん〜、こけのふぁしがふぁんねんふぁけと、ふぉいしぃよ」
口に溜めて熱いのかハフハフしながら大介はそう言った。
「大ちゃん、慌て無くてもいいから口の中身が無くなってから喋りなさい。 何喋ってんのか分からないし」
そう言われてごくりと大介は口のカレーを飲み込んだ。
「いや、焦げの味が残念だけど、おいしいよ」
「ありがとう」
食事が進むに連れて、良子の顔の表情は暗くなっていった。
あれをこれから説明するのは気が重い。やはり、食べてから説明するか。この話しを聞いてからじゃ、気分が落ち込んで大介は食事がとれなくなるかもしれないし。
食べ終わった食器は下げられて結局その重大な話しは食器が片付け終わるまでお預けとなった。
少しでも早く話しを聞かなきゃ落ち着かない大介は後片付けを手伝う事にした。
「大ちゃんとこうやって並んで洗い物するのも久しぶりね」
大介の横顔を見て、ニコリと微笑む良子。
「そんなのいいから早く片付けよ」
自分の照れを隠したくて、強い口調で大介はそう投げ言った。
「分かった。 それじゃ、早く終わらせますか」
そんな親子の一時の会話を楽しみながら後片付けは行われていった。
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