世界の平和は甘い物を食べる事から始まるのだ 過保護だっていいじゃん、…ねえ? あの日から2週間がたって、私達万事屋も、歌舞伎町の人達も江戸の人々も元の生活へと戻りつつあった。 ニュースやらなんやらで報道された2日間ぐらいは、鬼を退治して江戸を守った英雄〜なんて持てはやされたりしたけどそれもたかが一時。 じゃんじゃん入ってきていた依頼もぱったり途絶えてしまった そしてまた、今まで通りのぐうたら生活が戻ってきた。 まあこの感じが大好きなんだけど、ね。 それにしても…これは、だらけすぎじゃない? 「あーなんかもう寝過ぎて疲れたわ」 「肩凝ったネ」 「幸せ疲れですかね〜。てか銀さん一週間も同じパジャマですか」 「んあ?いいんだよ、外出ねーんだから」 『ちょちょちょ!』 「なんだよ華ちゃ〜ん?ご飯出来た?」 『違ーうっ!仕事は?ないの?』 「ないよ〜?でも今月はもういいじゃん、いっぱい働いたし」 『でも、見てこれ!』 「財布?……1380円…」 『これで後半月過ごすつもり?無理無理!!!』 「ま、明日からでいいだろ」 『む…じ、じゃあいい!私仕事探してくるから!』 「おい…」 私は生活費を稼ぐ為、仕事を探しに万事屋を飛び出した。 そういえばお金使っちゃったの私なんだってさっき気付いた。 一週間前の焼肉でひとついいお肉買っちゃったり、この間のしゃぶしゃぶでポン酢じゃなくて胡麻だれ買ったり… でもしょ、しょうがない!美味しい物食べたかったんだもん… そして歩き続け、私は頼みの綱のあのお店へやってきた ***** 『ごめんくださーい』 「いらっしゃ…華ちゃん!」 そう、私が向かった場所はスナック〔すまいる〕だった。 事情を説明すればきっと働かせてくれるはず、そう思い私はお妙さんにお願いした 『あの…何かお手伝いさせてもらえませんか?日給で!』 「またあのプー太郎銀さんがお金使っちゃったの?」 『え、あ、いや』 「しょうがないわね。華ちゃんだったらかわいいし日給とか言わずに毎日来ちゃいなさいよ!…店長ー!」 よかった、快く受け入れてくれて。 きっと給料高いんだろうなー だって毎日破亜限奪取食べてるぐらいだもん。それにずっと続けてるって事は楽しいって事だろうし! そして私はお妙さんに髪をセットしてもらい、空いている席にスタンバイした。 『(お客さん来るかな?)』 「華ちゃんーお客様よー」 『はー…ってトシさん!』 「華!なんでこんなとこにいんだよ!」 『トシさんこそ!!』 「俺は近藤さんの付き添いだよ。」 トシさんの指差す方を見ると、ちょうど近藤さんがお妙さんにアッパーパンチをくらっている所だった。 (痛そうー…) 「つか、大丈夫なのか?こんな所で働いて。万事屋と総悟が知ったら目の色変えて怒るんじゃねーか?」 『え?大丈夫ですよー。職業選択は自由ですもん』 「華…なにしてんでィ」 『あ、総…悟』 あの時から少し変わった私達の関係。変わった呼び名。ちょっと照れくさかったけど、総悟がいつもどおりに笑ってくれたから、私もいつもどおりいられた。 そしてくるっと反対を向くと私の目を隠した 「なに見てんでィ//…ひーじかたーァァ!!!」 トシさんにバズーカが発射され、店を目茶苦茶にして2人は帰って行った。本当に騒がしい2人だ。 「なんで俺ー!?!?」 「華ー!変な客には気を付けろよー!」 『!…はーい!』 トシさんはなんだかんだいつも優しい。お兄ちゃんみたいな存在。というよりお兄ちゃんになって欲しい。 銀ちゃんみたいな人がお兄ちゃんだったらきっと大変だし。 そして次に来たお客さんは、年老いたおじいさんだった。 『いらっしゃいませ』 「お主、華さんかね?」 『はい、そうですけど…』 「渡す物がある」 そう言うと、おじいさんはおもむろに鞄から箱を取り出した。 その箱は、ピンクと水色の蓋が付いていて、上下から開けられるようになっている、そして両方にダイヤルがついていた 『?』 「いつか必要になったら、その箱を開けなさい。」 『あ、ちょ、いただけませんこんな…あ、帰っちゃった』 捨てる訳にもいかないし… 私はとりあえずポケットにしまった。 「華ちゃんー!?ちょっとこのお客様のお相手してて!!」 『はっ、はーい!』 お妙さんじゃないお店の人に呼ばれ席にいくと、べろんべろんに酔ったおじさんがいた 私を呼んだお店の人は店の奥へ行ってしまった 『あ、あのー、いらっしゃいませ』 「お嬢ちゃんかーわいいねー。新人さん?」 『ひゃっ!?』 (びっくりしたー) いきなり頬を触られた私はびっくりしてお客さんから遠のいてしまった するとお客さんは距離を詰めて今度は肩を抱いてきた 『ちょっ!』 「今夜ちょっと付き合ってよ〜」 『や、やめてください!』 ちょ、ここおさわりパブとかじゃないよね!?!?なんでこんな事になってるの!? ここに来た事を少し後悔しつつ、店長を呼ぼうと思ったその時。 「だっ!!テメェなにすんだ!!」 「ちょーっとお客さん〜?うちの娘になにしてくれちゃってるのかなー?」 『銀ちゃん!?!?』 「こんな所にいた。探したんだぞ!だめだろこんな所で働いたらー!!銀さんすっげー心配したんだかんな!!心配死にするかと思ったんだかんな!」 『うー…銀ちゃんー』 「ちょっと銀さん!?!?」 「わりぃ。連れて帰るわ」 「…しょうがないわ。過保護なほど大切なのね」 ***** 万事屋に帰ってきた私は、ソファの上に正座させられていた 前のソファには神楽ちゃん、新八、銀ちゃんが座っている 「わかるネ!?あーゆう大人の店で働いたりしたらダメヨ!!ワタシはいいけど華はワタシより全然お子ちゃまなんだから!」 『はぁーい…てか私のが年上だよね!?』 「人生経験はワタシのが断然上ネ!」 「姉上が働いてるってだけでも心配なのに華ちゃんまでとかやめてくださいよ!」 『ごめんー…』 「わ、わかってくれればいいんですけど!」 「いいか?もうあんな所で働いちゃだめだかんな!」 『でっ、でも神楽ちゃんはいいんでしょ!?』 「神楽はよくても華はダメ!!!」 『なんでー?ねぇー』 「…それは………心配だからに決まってんだろうがァー!!!」 『おおお怒った!?!?』 「違うアル、銀ちゃん華が大切なのヨ」 『そうなの!?…ふふ』 「だー//笑ってんじゃねーよ!!!もう銀さん恥ずかしー!!!」 「銀ちゃんてばもうー」 「…でも笑ってる場合じゃないですよ」 『え?…うわ!停電!?』 「電気とまりました」 『「「「……明日から真面目に働こうか」」」』 やっぱり私達にはコツコツ働くのが一番みたいで。 短時間で稼ぐのは大変なんだなーって再確認しました。作文!?とか言って。 明日からはみんなで今まで通りお仕事。 大変だけどまぁまたそれはそれって事で。 「?あ、お登勢さん!」 「アンタらに電話だよ」 『はい万事屋です!…はい、はい、明日の10時ですね!ありがとうございます!』 ………万事屋、がんばります! (ねぇ銀ちゃん、私の事大事?)(…明日からまた早起きかーっ)(あー!誤魔化したー!!) - [次へ#] |