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異人乃戀-コトビトノコイ-
勉学十三
 湖阿が追い付くと、鷹宗は立ち止まった。早足で歩いていたせいか、鷹宗の背にぶつかったが、鷹宗は何も言わない。
 鷹宗の気性の波についていけない。と湖阿は思った。

「鷹宗ー?」
 湖阿が話しかけても返事はない。前に何かあるのかと鷹宗の陰から覗くと、志瑯がいた。
 そしてもう一人。
「凪さん?」
 湖阿が呟くと、鷹宗は急に振り向いた。後ろに移動するのが少し遅かったら刀の鞘が湖阿に当たっていた。そのことについて意見しようと口を開いたが、鷹宗に封じられた。
「そのまま角を曲がれ」
 耳元で鷹宗に囁かれ、鷹宗らしくない緊張した雰囲気を感じて湖阿は黙って従う。
 口を手で塞がれたままでは息が出来ないため、それを外す為にも。
 角を曲がると、鷹宗はため息をついた。なぜ逃げるような行動をしたのか理由は分からないが、最近の鷹宗はこそこそし過ぎだろうと湖阿は意見したくなった。
 が、言えなかった。

「二人が話しているときは近付くなって親父に言われてる」
「お父さんに?」
「ああ。無粋な真似をするなってな」
 凪が妾の一人だからだろう。
 湖阿は男女が二人で話している時は話し掛けないのが裏倭のルールということを頭に入れた。
 実際は志瑯だけなのだが。




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