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アニメ沿い鬼道寄り夢小説
12
あれはまだフランスにいた頃・・・。


「すごい!すごいぞ名無し・エンドウ!!
 11歳にして立ちはだかる年上のDFをごぼう抜きだぁあ!!」
『遅い遅い遅いおそ―――――いっ!!
 ふん、皆体格が良いだけのでくのぼうプレイヤーじゃん!
 フランス1の小学生チームって言っても大したことないね!』
「名無し!こっちにボールをちょうだい!」
『勝ちたかったらまた今度にして!』


悔しがる相手チーム、いや、味方チームも勝っているというのに良い表情はしていない。
そんなことに気付かない名無しはシュートの体勢に入った。

『ジャンヌブレイブショ――――ット!』

キーパーはボールの速さに間に合わずゴールを許してしまった。

ピピ――――――――!!
試合終了だ。



『やったー!これでフランス1の小学生だよ、私たち!』
「”たち”?たちじゃないわ、あなた1人がフランス1なのよ。」
「そうさ。確かにここまで勝てたのは君のおかげだ。
 でも全然嬉しくないね。」
『な、何で何で何で!?皆あんなに勝ちたいって・・・!』
「君は勝つ為に努力した。でもその力を自己満足のために使っていたんだよ。」
「だからもう、君とはプレーできない。」
『っ!!?』


立ち去っていくチームの皆。
その背中は名無しが今まで感じたことのないようなものを表していた。


そしてそのあと、名無しの両親は交通事故に遭い、亡くなった。
彼女はグラウンドでもフランスでも1人になった、と言われた。
観客は気づいていたのだ、名無しが1人でプレーしていたことを。

『私は・・・もう・・・。』







日本に渡り、従姉弟である守と出会った。
いつまでも元気にならない名無しに守はサッカーをしようと言った。

『いいんだ・・・どんなにサッカーをしても、私はもう必要とされてなんか「そんなことない!」
 ・・・!?』
守「俺はその時のことはよくわからないけど、これだけはわかる!
  そいつらはお前と一緒にサッカーしたかったんだって!
  一緒に走って、一緒にボールを蹴って、一緒にゴールを決めたかったんだって!
  サッカーは11人でするものだから!!」
『・・・!!』
守「お前はさ、そのことをほんのちょっと忘れてただけなんだよ。」

そう、忘れていた。
皆と一緒にサッカーをすることの楽しさでさえ。
ただ勝ちたいという気持ちに振り回されていたのかもしれない。
名無しは守にしがみついて声をあげて泣いた。

『わ、私も・・・っ!皆と一緒にサッカーしたかった・・・!!
 もっと皆とサッカーをしたかったのに・・!!
 私は何も気づいていなかったんだ・・・・!』

守は黙って名無しの頭に手を置いた。
名無しが落ち着くまでそうしていた。



『・・・また、皆とサッカーできるかなあ・・・?』
守「できるさ!サッカーをやっていればな!」
『・・そうだね!ありがとう。ごめんね、服汚しちゃって・・・。』
守「気にすんなって!さあ、サッカーやろうぜ!」
『うん!!』

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あきゅろす。
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