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寮長の憂鬱




嗚呼・・・なんてこった。


部屋から出たら、居た。

おそらくこいつが俺の補佐になるヤツ。
だが、

「は?これ・・・?」

これ呼ばわりするのも無理ねえよ。今の俺の格好だとな。

「嘉田翔・・・」

ぼそっと呟いた。ぼそっと。

隆盛に言われたんだ。名前以外何も喋るなと。行動もするなと。何で俺隆盛に逆らえねえんだ・・・。

「うっわ〜・・・期待外れ」

ああそうだろうよ。俺でもそう言うわ。

俺は今ダサい黒のかつらをかぶって、黒縁眼鏡をしてる。しかも俯いてるから・・・完璧根暗だ。初対面での印象悪すぎだろ。

・・・ああそうか。新手の苛めか。

「俺岡本海斗ね。あーなんかやる気まで削がれたわ。帰る。ちゃんと明日の朝からここ来るしそれで勘弁」

背がやたらデカイそいつは、一度千景に汚いものでも見るかのような視線を送った後、早々と出ていった。


「あ〜!良かったバレなかったね」

「ふふっ、なかなか良いアイデアでしょう?」

「危なかったな、いきなり来るとは・・・」

「・・・・・・」

「理事長が呼んだんじゃない?」

「しかしまさか岡本先輩だったとは・・・」

「すっかり忘れてたぜ」

・・・あれか、俺は存在無視か。

「あっ!ごめん翔!」

いじけて俯いてたら、飛びついて来た莉央の不安げな顔が視界いっぱいに広がった。
翔ぅ〜っなんて泣きつかれて許さねえわけねえだろ・・・ったく。

「怒ってねえよ」

莉央には、な。

「で、何で俺がこんな格好しなきゃなんねえんだよ。説明しろ隆盛」

かつらと眼鏡を乱暴に掴んで隆盛が座るソファに投げる。勿論当たらねえようにしたからそこは大丈夫だ。

「何で、って。岡本先輩はかなり強敵だから・・・ううん。翔はこれずっと付けてた方が良いよ」

そしてまた投げ返される。




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あきゅろす。
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