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平凡くんの秘密の恋




「しかし助かったよ。お前らまとめて来てくれてな」

男は長い脚を惜しげも無く開けっぴろげ、紙に目を通していた。よれたシャツ、よれたネクタイ、よれた綿のパンツ。お前はよれよれ星人か。

「あ、そこの平凡チビ、失礼なこと思っただろ」

いや失礼なのはあなたですけどね。

俺とミツは反対側のソファに浅く座っている。スポーツバックは床。

ダルそうに髪を掻き上げた失礼な人。

「・・・」

今までファッションだとは思えないくしゃくしゃの髪で見えなかった顔が明らかになり、度肝を抜かれた。

「今日入寮予定はお前らあわせて3人。他の1人はもう入寮してまったりしてるだろうよ」

か、かっちょいー。
鼻が高くてニヒルな笑いがまた似合ってて。芸能人で言ったら山田孝之に似てるな。
ゆ、雄也というものがありながら、俺ってば何考えてんだよ。

「一緒に説明出来るし助かった。じゃあ、始めるか」

俺たちの前に差し出される手帳。それぞれ色が違う。

「お前らはこの学園のこと何も知らねえで入ってきたんだろ?」

たいへん申し訳無かったが、率直に言うとザッツライトだった。
俺の表情とミツの頷きで分かったらしい失礼な人は――、って名前聞いてねー。

「外部から来たやつは大方そうだからな。奨学金目当てだろ?」

さっきからその通りとしか言いようが無い。
この学園は学問をかなり大事にしている。聞くところによると、ここの学園長は今でこそ裕福に暮らしてはいるが、昔はとてつもない貧乏で、学校すら行けなかったらしい。学費が無い子供たちにも同等に学問を学ぶ場を与えるべきだとの考え方で、独自の奨学金を用意してくれている。全額学校が負担してくれるそれだ。

俺は見事その試験に合格した。合格したと言っても理事長と面談しただけだが。

「ま、とにかく説明を済ますぞ。まず、ここは見ての通り中高一環の全寮制の男子校だ。設備もしっかりしてる」

ミツと一緒に頷く。

「閉鎖的な所為もあってか、今では金持ちとホモの巣窟と化している」

「は!?」

ミツは、うんうん・・・は!?ってかんじだった。
俺は予想はしてた。そうなるだろうなとは。

「なんだ平凡、お前は驚かねえのか?」

失礼な人は面白くないとばかりに機嫌を損ねる。今まで皆驚いたんだろうな。

「別に・・・俺も、ホモ、だし」

短く言うと、右側から「えぇっ!?」と聞こえ、正面からは「ほぅ」と何故か納得された。

「恋人作りに来たのか?」

あ、ムカつく。
どうせ俺になんか彼氏作れないとでも思ってんだろコイツ。
俺は皮肉を込めて言ってやった。

「ざーんねん。そんなことする暇なんか無いほど彼氏が離してくれなくて」


って言うか事実じゃん。




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