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平凡くんの秘密の恋




「え、どうやって入るか、って・・・」

ミツは躊躇わずにインターフォンを鳴らした。

普通そうするわな。なんか先輩のくせにこんなのも分からねえ俺って・・・情けない。

向こう側から男の声がして、暫くしたら、門が自動で横にスライドした。

さっすが、金かかってるなー。

「行きましょう、先輩」

「おう」


(雄也め・・・覚えてやがれぇぇ!)


門を越えると、両端に木々が生い茂る一本道が続いていた。

うん。到着地点が見えないって、どういうことかな?

「大丈夫ですか?」

「・・・ミツ、俺が倒れたらそれを越えていけよ」

俺の体力は例によって平凡だから、きっと体育会系のミツにとってはお荷物に違いねえ。

ミツはイヤイヤと首を振った。

「俺が先輩をお守りします!」

「はは、バーカ。戦じゃあるまいし、敵居ねえんだから守るなんて無理だろ」

むしろ敵は己の中に居る・・・ってか!
あ、すいません。

しかし、いつの間にかミツは口を尖らせてそっぽを向いていた。

「なになに、ミツくん拗ねた?」

「先輩酷いです・・・俺、守れますよ!」

スポーツバックを引ったくられる。

「は?」

次の瞬間、俺は浮遊感に目をきつく閉じた。

「ちょっ、待て!ミツ!下ろせえぇぇ!!」

「しっかり捕まっててくださいね!」

「ミツー!!」

お姫様だっこをされた俺は、その高さが怖くて怖くて、必死にミツのたくましい腕にしがみついていた。俺だって男だから多少重いと思う・・・
な、なんて男らしいんだお前は・・・犬の時(いつも)とのギャップが激しいぞ。


「はい、着きましたよ。ジロー先輩っ」

「あ、ああ・・・」

ミツのあまりの速さで伝わってきた振動の所為で、地面に立った今、足がふらふらする。

雄也にもお姫様だっこしてもらったこと無えのに!ミツのバカ!!
・・・え、考えたらこれって、ヤバいな。バレないようにしとこ。よしそうしよう!

「すんごいですねー」

「へ?おぉ、すんごいなー」

ミツに続いて見上げた寮は、すんーごい大きかった。首が痛くなるほど見上げなきゃいけない。

ここに、雄也が・・・

「せ、先輩?」

「ん?」

雄也のことを考えて緩んでしまった表情を元に戻す。

あちゃ・・・気持ち悪い顔見せちまったー。

「悪い、何もないからな」

「は、はぁ・・・」

よし!いざ、雄也に仕返しサプライズ計画開始!

あ、今のでお分かりの通り、雄也は俺がここに来てることすら知りません。

さっき電話した時来てること言おうとしたけど、仕返しで言わないことに決めました。

驚くかな・・・?
喜んでくれるかな?

今からわくわくして仕方ない。




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あきゅろす。
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