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平凡くんの秘密の恋




「げー、趣味わる」

「っ、し、失礼な・・・」

これでも経験豊富なんだぞ。・・・たった一人の経験しか無いけども。それがものっそい、濃い。

「じゃあなに、満足させてくれんの?」

「・・・は?」

「実は意外にテクニシャンだったり?もしくはインランちゃん?」

「は?」

「へー、やってやろうじゃねえか。今度3Pな」

「は!?」

「えー、お前とはヤダ。趣味合わねえもん」

「けっ、よく言うぜ。縛り中毒者」

「ちょっ、俺やるなんて言ってない!」

「なんならお前縛り上げて、俺らの濃厚なエロシーンをたっぷりお見せしても良いけど?イけねえよ?」

「は!?てめ・・・っ」

「だって俺攻めには興味無えし。お前がどうなったって俺は知らねえ」

「上等じゃねえか・・・このクソチビが縛られる前にピアッサーで穴ぼこにしてやんよ」

「縛ってからの方がやりやすくない?」

「お前の場合、紐の量が尋常じゃねえのが駄目なんだろ」

「あっそ。それと・・・」


「コスプレ」
「コスプレ」


おーい。俺を忘れるな―。喧嘩するなー。でもやっぱり仲が良いのか最後は同意見らしい。――コスプレ。
濃い。かなり濃いぞー。コスプレした上に縛られて穴開けられて・・・ムリ!!

「コスプレはナースかな」

「は?セーラーだろ」

「ナース!たまんねえって!『先生、お注射ください』とか言われてみろ!・・・ブフッ」

「キモ!お前そんなキャラかよ!」

キモ!どん引きだよ!赤髪さんはイケメンキャラかと思ったら全然だよ!鼻血出すな!

・・・まあ、やったこと無くは無いけど。うちの彼氏は変態だから。

半ば呆れた目で遠巻きに二人が言い合うのを見ていた。
そう言えば、さっき言ってた須藤さんって・・・?

こんなことを考える余裕も出来た俺。でも、急にさっきの茂みから現れた人物にそんなものは吹っ飛んだ。


「おいお前ら」


「っ!」
「っはい!」


「まだか」


「すいません!!」

「い、い、今聞き出すんで!」

明らかにこの二人とは格が違う。
落ちついた太い声。切れ長の三白眼。短めの黒髪。腕を組み堂々とした出で立ち。こっちに近付いて来ようとせず、鋭く睨んで見守るような姿勢をとっている。


正直、腰が抜けた。


「おいチビ!須藤さんがお怒りだ!」

「学生寮はどこにある!?」


「・・・っ、まっす、ぐっ」


「真っ直ぐだな?よーし。お前気に入った。俺らのセフレにしてやる」

完っ全に冗談だ。笑いながら声を弾ませて言うから間違いない。跳ねるようにして(いちばん)怖い人のところに報告しに行った緑に安心して溜息をつくと、今度は不意に耳元で、

「あながち冗談じゃねえかもよ?」

もーっと変態な赤髪の声がして、耳を押さえながら、たぶん赤くなりながら、「ならない!」と悪態をついてやった。

最近の若い者はすぐそんなことを口にして。・・・ひっじょーにけしからん!




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