平凡くんの秘密の恋
2
「げー、趣味わる」
「っ、し、失礼な・・・」
これでも経験豊富なんだぞ。・・・たった一人の経験しか無いけども。それがものっそい、濃い。
「じゃあなに、満足させてくれんの?」
「・・・は?」
「実は意外にテクニシャンだったり?もしくはインランちゃん?」
「は?」
「へー、やってやろうじゃねえか。今度3Pな」
「は!?」
「えー、お前とはヤダ。趣味合わねえもん」
「けっ、よく言うぜ。縛り中毒者」
「ちょっ、俺やるなんて言ってない!」
「なんならお前縛り上げて、俺らの濃厚なエロシーンをたっぷりお見せしても良いけど?イけねえよ?」
「は!?てめ・・・っ」
「だって俺攻めには興味無えし。お前がどうなったって俺は知らねえ」
「上等じゃねえか・・・このクソチビが縛られる前にピアッサーで穴ぼこにしてやんよ」
「縛ってからの方がやりやすくない?」
「お前の場合、紐の量が尋常じゃねえのが駄目なんだろ」
「あっそ。それと・・・」
「コスプレ」
「コスプレ」
おーい。俺を忘れるな―。喧嘩するなー。でもやっぱり仲が良いのか最後は同意見らしい。――コスプレ。
濃い。かなり濃いぞー。コスプレした上に縛られて穴開けられて・・・ムリ!!
「コスプレはナースかな」
「は?セーラーだろ」
「ナース!たまんねえって!『先生、お注射ください』とか言われてみろ!・・・ブフッ」
「キモ!お前そんなキャラかよ!」
キモ!どん引きだよ!赤髪さんはイケメンキャラかと思ったら全然だよ!鼻血出すな!
・・・まあ、やったこと無くは無いけど。うちの彼氏は変態だから。
半ば呆れた目で遠巻きに二人が言い合うのを見ていた。
そう言えば、さっき言ってた須藤さんって・・・?
こんなことを考える余裕も出来た俺。でも、急にさっきの茂みから現れた人物にそんなものは吹っ飛んだ。
「おいお前ら」
「っ!」
「っはい!」
「まだか」
「すいません!!」
「い、い、今聞き出すんで!」
明らかにこの二人とは格が違う。
落ちついた太い声。切れ長の三白眼。短めの黒髪。腕を組み堂々とした出で立ち。こっちに近付いて来ようとせず、鋭く睨んで見守るような姿勢をとっている。
正直、腰が抜けた。
「おいチビ!須藤さんがお怒りだ!」
「学生寮はどこにある!?」
「・・・っ、まっす、ぐっ」
「真っ直ぐだな?よーし。お前気に入った。俺らのセフレにしてやる」
完っ全に冗談だ。笑いながら声を弾ませて言うから間違いない。跳ねるようにして(いちばん)怖い人のところに報告しに行った緑に安心して溜息をつくと、今度は不意に耳元で、
「あながち冗談じゃねえかもよ?」
もーっと変態な赤髪の声がして、耳を押さえながら、たぶん赤くなりながら、「ならない!」と悪態をついてやった。
最近の若い者はすぐそんなことを口にして。・・・ひっじょーにけしからん!
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