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平凡くんの秘密の恋



「マグロになれって俺の命令をまるごと無視か」

は、はは、無視するわけないじゃないですかー。まさか先生がこんなに怖いとも思わなかったのでね。

「今腹ごしらえしたところだし!今からジローのベッドで仲良くマグロになるんだし!」

なんだか健太郎が駄目な方向に暴走してるんですけど。なにも同じベッドでなんて命令されてないでしょうよ。暑苦しいんですけど・・・

「ウッチーのヤキモチ妬きー!」

待てー!早まるなー!!

絶対怒られそうな文言を言う健太郎を押さえつけながら、自分的に人当たりの良さそうな笑顔で笑った。

「へへっ。今部屋に戻りまーす」

失礼しまーす。なんて言いながら腰を低く健太郎を片手に押さえつけながら立ち去る。

「待て」

立ち去ろうとする。

立ち去らせてほしかったりする。

「結城だけ俺についてこい」

「は!?」

「鈴木、てめえはさっさと寮に戻れよ」

「ちょっ、何で俺だけ!?」

「もともと用があったんだよ。早えとこ終わらせるぞ」

鮮やかな金髪が遠ざかっていく。
こうなったらもう諦めるしかない。

「健闘を祈るぜ!」

健太郎のこんな励ましをもらったが、正直健闘する間も無く降参しようと思う。きっと怒られに行くわけじゃないだろう。だって元からあった用なんだから。


―・・・


またしても朝の光景みたいに俺はウッチーの後ろにひょこひょこ小走りでついていった。歩幅が大きいから間に合わない。

「ど、どこ、行くんですか!?」

かれこれ歩いて30分にはなるだろう。
――森の中をひたすら歩いてから。

鬱蒼と生い茂る木々の間をすり抜け、たまにぬかるみがあって気持ち悪いし、不気味だ。

「いつもはバイクだけどお前居るし歩きで帰る」

「か、帰る?」

そう言えば先生ってどこに住んでるんだ?

俺の疑問が伝わったのか、先生は歩を緩めながら口を開いた。目の前になんだか建物が見えてきて、俺は一人で見上げる。

「教師用の寮だ」

バリケードとも言える門が囲ってあって、まるで要塞のようだった。地獄に続く入口かもしれない。

「生徒が夜這いに来たりするからな。こうでもしねえとやっていけねえんだよ」

へー。いや、待てよ俺。何で教師寮なんかに来ちゃってるのかな。
俺が自分に落ちつけと命令している間にも先生は背丈より大きい門を引き開けて、俺に入門を促した。

これ、入らないといけないかんじ?

「いけないかんじ」

「っ!?」

また性懲りも無く人の心を読む!

「っつーか平凡のくせしてうぜえ。さっさと入れ」

「はい!」

平凡ですいませんでした!

え、いや、あなたのクラスの大半がこんなかんじだった気がするんですけど・・・気のせいですか。



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あきゅろす。
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