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平凡くんの秘密の恋
雄也め・・・



「あ、ゆーや?おれおれ。
・・・・いや、オレオレ詐欺じゃねえし!!」

肩にかけていたスポーツバックを地べたに下ろした。ジーパンに長袖のTシャツが最近の春スタイル。
とか言ってみるけど、楽スタイルだったりする。

さてはて、いざ入寮しようと思っても、高い門に阻まれて入れない。
困った俺は、さっそく愛しのあの人に電話した。

久しぶりの声に鼓動が高鳴る。

だが、すぐに茶化され甘い空気をぶち壊された。

「もう良い!雄也(ユウヤ)なんて知らん!」


 ――ブチッ


勢い余って切ってしまった。

「・・・って俺はどうすりゃ良いんだよ」

取り敢えずはインターフォンでも鳴らしてみるか。

ん?

「ふぁぁ、凄い。おっきー」

「お前、新入生?」

「え?」

やっぱりか。

編入生がそう何人も来るわけないし、明日の入学式に向けて入寮する子だろう。

「俺は結城次郎(ユウキ ジロウ)。今年編入することになった2年だ」

よろしくな。と手を出せば、背が高い相手は驚いて目を瞬かせた後、勢い良く頭を下げた。

「はじめまして先輩!」

体育会系か。
腰を曲げたまま上げた顔は、太陽のように明るい笑顔だった。

「新崎満(ニイザキ ミツル)です!」

「ん。じゃ、ミツ」

「え!さっそくあだ名で呼んでくれるんですか!?」

握手しようと思って伸ばした手は、相手――、ミツの頭を撫でた。

「だって、この学校に来て初めて知り合った相手だし、仲良くしてえじゃん?」

ん?よく見たら顔イイな。雄也で目が慣れた所為か、最近あんまりイケメンがどんな顔か分からなくなってきた・・・(おいおい)
それくらい、惚れた贔屓目抜きにして、かっこ良いんだよ。

ミツは犬のようだ。
茶髪を後ろに流す髪型で、触ったらちょいワックスがついてて、撫でたら駄目だったかなーと不安になった。

やっと直立姿勢に戻ったミツが顎を撫でて視線を左右に振る。

「じゃあ俺も・・・んむむむ」

「次郎で良いって。こんな平凡な名前からいったいどんなあだ名を捻りだそうとしてんだお前は」

可愛くて笑けてくる。
こんな可愛い後輩には初めて会った。

「んじゃ、ジロー先輩」

「おう。でさ、中どうやって入るか分かる?」

それが本題だよな。




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あきゅろす。
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