平凡くんの秘密の恋
誤解だー!!
今日の昼御飯は豚丼にしてみた。
自室に帰った生徒が多いから、食堂はガラガラ。ちなみに食堂は校舎と寮に通じていて共通だ。
俺の前には津永が、俺の隣には健太郎が座って、二人とも日替わり定食の竜田揚げ定食にがっついている。
実は仲良しなんだな、二人って。
「でさー・・・、聞いてんの?」
「うんうん。南校は元々この学園と同じ扱いだったんだろ?」
さっきのセクシーボイス副会長からの放送の内容について聞いている最中。
健太郎は竜田揚げにサブでくっついてきたレタスをもしゃもしゃほおばりながら満足げに続けた。
「ほへほへひへひはは」
「ごめん、何しゃべってんの?」
「その経営者は夫婦だったんだよ」
津永は奇麗な箸さばきで豆の煮物を摘まみながら言った。この二人、対照的過ぎ。
隣の健太郎はなぜかレタスが上手く飲み込めず、四苦八苦していた。
「経営者が離婚して、別居みたいに南校とうちの学園が分離した。その経営者ってのはもちろん、今の理事長だがな」
「ぷはっ!、真人はジローとしゃべんな!」
「てめえに許可取る筋合いは無えよ」
あー、もう!話が進まん!!
「そんなに妬かなくても、俺の一番(の友達)は健太郎だから!」
「・・・」
「・・・」
「・・・あれ?」
今何か、変な事言った気がする・・・。
「ジローっ、い、いや、こんなとこで愛を告げらるなんて・・・一生大事にするからな」
健太郎は頬を赤くしながら視線をさまよわせた後、手を取って真剣に見つめてきた。おまけに津永は自分の顎を撫でながら納得する始末。
「そうか・・・ジローは健太郎のことが好きなんだな。邪魔して悪かった」
「なっ、ばっ、違えし!友達としてだー!!!」
誤解だーっ!!誰かこの馬鹿どもをなんとかしてくれ!
「じゃあ、誰が好きなんだ」
「へ?」
津永の言葉は衝撃的で、思考が定まらないまま返事をしてしまった。さっきから津永は少しも表情を変えずに真剣な顔付だ。その顔で言うもんだから、ふざけたこと言ってるのに怒りづらい。
「好きなやつが居るんだろ。健太郎に聞いた」
健太郎おぉぉぉぉ!!!
「だ、だって!俺がジローのことどれだけ知ってるのかって自慢したかったんだ!!」
「俺のプライバシーを何だと思ってやがる!」
誰がなんと言おうと雄也のことは秘密だ。
敵を欺くにはまず味方から。
これ、忍びの鉄則ですよね!!
・・・そもそも忍びの言葉だっけか?
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