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平凡くんの秘密の恋




今回ばかりは誰も説明してくれない。

『併設の校舎に入り切らねえ南校のやつらは、2階になる。入寮は今日だ。会わねえように気を付けろい』

だから何だその気を付けろってのは。
あ間違えた。気を付けろい。

『あと、向こうのトップと2番手に風紀委員を仕切ってもらうから。特に風紀委員はそのつもりでー。ま、そんくらいかな。どうよ会長』

どうやら副会長の隣には会長も居るらしい。そういう内輪の会話は聞こえないようにするものなんじゃ・・・

いや、それより気になる。副会長が言った「トップ」って単語が。
だって、なんか引っかかる。

『じゃー、今日は早めに帰(け)ーって布団にもぐっときな。南校のやつらに会わねえように』

もう「はーい」なんて軽い返事は出なかった。
ただ1人、事の重大性が分かっていないのが虚しい。
でも、おおごとだということは、新しいクラスメートたちの顔面蒼白っぷりから分かった。


 ――ぴーんぽーんぱーんぽーん。


そしてまたデパートで聞くようなメロディが流れ、放送は終了した。


終了するやいなや早いタイミングでウッチーが口を開いた。今日唯一持ってきた名簿を肩に引っ掛け目をだるそうに細め。

「おーおー、ノミみてえな度胸のDには刺激が強えか。だったらその調子で、俺に迷惑かけるなよ」


はーいせんせー、ものすごく嫌な予感がするのは俺だけでしょうか。


ウッチーは話題を変えるために咳払いした。

「今週中に委員を決める。つまり、今日と明日でってことだ。んなこといきなり言われても決まらねえだろ。っつーことで、今日中に考えろ」

そうして「今日は解さーん。布団の中でマグロになれ」とだけ言って出ていってしまった。
次はマグロ宗教ですか。

教師が居なくなれば次第に騒がしくなるのは学生の常だ。と思って前の席の健太郎に声をかけようと立ち上がった。

同時にガタガタと慌ただしく出ていく面々。

「け、健太郎・・・これ、どういうこと」

残ったのは10名弱。

さっきまでざっと見40弱は居た筈なのに。

その後、ゆったりとした動きで俺の左隣の子や、顔良い面々も出て行こうとする。

「んー、ちょい面倒なこと発生、的な?」

友達にばいばーいと手を振って、それでも俺に答えるためにこっちに来てくれるのを見て、胸が温かくなった。心細い今の俺にとって、健太郎だけが頼りだから。



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