[携帯モード] [URL送信]

平凡くんの秘密の恋



「あいつは無自覚ドSだ」

「は?」

何その新ジャンル。開拓しちゃった?

「もともと気に入らねえ人間イジメが趣味の、いけすかねえ野郎なんだ・・・」

津永って意外にダークキャラ?
なんて、未だに腕を組みながら眉間を寄せるその姿に思った。

「でも、気に入った人間まで気付けずに虐めてしまう」

「・・・何それ。ただのガキ?」

津永「まあな」と言って、俺の言葉に口端を引き上げ意地悪い笑みを浮かべた。

「でも、権力があるからややこしい。近付かないに限る」

「はーい」

何だかんだ津永とたくさんお話ししちゃってる俺。

だって、左隣の窓側の子は、こっちを見向きもしないで窓の外のお空ばっかり見てる。
せっかく俺と同じくらい背が低いのに・・・。

でもかなりの可愛い子ちゃん。だと思う。憂鬱に肘をつく腕。その紺色のブレザーから出る手が、頬が、貧血なんじゃないかってくらい真白。髪の毛はそれと対照的に漆黒で、女性のボブのようにふんわりしてる。

このパターンは・・・

今月のおとめ座は金運がイマイチ!恋愛運は・・・週末がキーポイント。
しかーし!美形運が日々高まるでしょう。

だ。


『お前らー、去年から徐々に併設されてきた校舎は知ってるよなー』

知らなーい。

『そこが今回のポイントだ』



「ムラマサさま・・・」


唐突に聞こえた恍惚とした呟き。
それは明らかにクラス内のどこかからで、俺はまさかこのクラスにも!?と、一番後ろの席から反射的にクラス中を見渡した。
そこでまたフォローを入れてくれる津永。

「安心しろ。ここのクラスには親衛隊は居ねえ。パンピーはそれを約束に、俺らみたいな親衛隊が居るやつは、親衛隊を完全に制御するのを約束にこのDクラスに入ってんだからな」

親衛隊の名を聞いた瞬間、左隣がビクッと振れた気がした。

「ただ、生徒会みたいなカリスマ性に憧れてるやつも居る。・・・それだけだ。だから醜い嫉妬も無え」

「すごい安心した・・・」

津永って面倒見が良くて本当に良いやつだな。
安堵の溜息を胸を押さえてする俺を見て、津永はただ微笑んでいた。

そう言えば・・・

「副会長の名前ってムラマサっていうの?かっこ良いな」

「あー、本名は元村真実(モトムラ マサミ)」

もとむらまさみ・・・もと むらまさ み。

なるほど。あだ名みたいなもん?


『よーし言うぞー?集中しろ』


副会長の声がセクシー過ぎて集中できませーん。


『うちの学園は、南校と合併することになった』



 ――ええぇぇぇぇぇ!!?


有り得ない事に、全校生徒の叫びで学園全体が揺れた。

それは、歓喜の叫びじゃない。
これから起こる災厄を喚起させる叫びだった。



ちなみに俺は、何のことかさっぱり分からない。
俺も一緒に叫んでみた方が良いんだろうか。



[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!