平凡くんの秘密の恋
2
うわわわわ。何今のー反則じゃね?
ドキドキするなって方が無理だし!俺みたいにホモなら尚更!
顔真っ赤にして何も言えないで居ると、優しい顔をした・・・認めないけど米田さん。
大天使って呼ばれるのも頷ける。柳眉の下の長い睫と優しい垂れ目。
「やたっ」
何故か米田さんは喜ぶ。
・・・なに。ちょっぴし嫌な予感。
「これで晴れて、俺たち恋人同士だねー」
「・・・・は、い?」
「うんうん。初夜は今夜にするー?」
ま、まさか・・・この「は、い?」って返事を肯定に受け取っちゃった?
「いや、あの、ごめんなさい。俺恋人いるんで・・・」
「うん。俺でしょー?」
いや違えよ!
「照れなくて良いよー」
「ちょっ、やっ」
どこまさぐってんだテメェぇぇ!!
「皆に見せつけよ」
さっきから何人も生徒が脇を通り、俺を哀れんだ目で見て去っていく。
完全に取り残された、可哀想な俺。
「・・・っ、やめろ!」
悲しくなった。誰も助けてくれないなんて。グスン。泣いちゃうぞ。
米田さんに体を弄ばれ、悲しみに浸っていたその時、前方から人影が走ってきた。
「先輩!!」
俺の忠犬!!
忠犬ミツは力ずくで米田さんを引き離し、俺を抱き込んだ。
「先輩に触るな!!」
ミぃツぅぅぅっ!!
「ぅ、ミツっ!寂しかったぁぁ!」
「先輩・・・もう大丈夫ですよ。俺が居ますからね」
「うんっ」
ミツに抱き付いて胸に擦り寄る。
「ちょっと、何なのキミ」
明らかに機嫌がよろしくない米田さんの声が背後に聞こえる。
「俺の花嫁返してよ」
えぇぇぇぇ!!!
恋人通り越して花嫁かよ!!
「ジロー先輩はあなたの花嫁じゃありません!花嫁だったらこんなして逃げる必要無いでしょ!?」
その通り!!
ナイスだミツ!
「違うよ・・・照れてるんだよ。ねえ?」
ポジティブぅ!!
ポジティブシンキング!!
「何でそんなに先輩のこと欲しがるんですか?」
そうだ。今日会ったばっかりなのに・・・
「だってタイプ、ドストライクだったんだもん」
・・・平凡。チーン。
「ははは、俺泣きそ・・・」
「嬉しすぎてー?ふふっ。幸せにするよー?」
がっくり肩を落とした俺の髪を、米田さんは恋人に触れるように優しく撫でてきた。
こんなの・・・雄也が居なかったら確実にオチてるよ。
「米田さん、あの・・・」
早く謝らないと米田さんにとっても良くない。
「総一郎(ソウイチロウ)。ジローと名前似てるねー、総一郎って呼んでくれなきゃいやん」
いやんってあなた。
「や、あの、総一郎、さん」
「・・・っ、離れろ!!」
「うわっ!」
「ああん!花嫁ぇーっ!」
誤解を解く前にミツに腕を掴まれた俺は、引っ張られそのまま校舎に連れて行かれてしまった。
ミツ・・・最後の最後で余計なことを・・・・
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!