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平凡くんの秘密の恋



うわわわわ。何今のー反則じゃね?

ドキドキするなって方が無理だし!俺みたいにホモなら尚更!

顔真っ赤にして何も言えないで居ると、優しい顔をした・・・認めないけど米田さん。
大天使って呼ばれるのも頷ける。柳眉の下の長い睫と優しい垂れ目。

「やたっ」

何故か米田さんは喜ぶ。
・・・なに。ちょっぴし嫌な予感。


「これで晴れて、俺たち恋人同士だねー」


「・・・・は、い?」

「うんうん。初夜は今夜にするー?」

ま、まさか・・・この「は、い?」って返事を肯定に受け取っちゃった?

「いや、あの、ごめんなさい。俺恋人いるんで・・・」

「うん。俺でしょー?」

いや違えよ!

「照れなくて良いよー」

「ちょっ、やっ」

どこまさぐってんだテメェぇぇ!!

「皆に見せつけよ」

さっきから何人も生徒が脇を通り、俺を哀れんだ目で見て去っていく。

完全に取り残された、可哀想な俺。

「・・・っ、やめろ!」

悲しくなった。誰も助けてくれないなんて。グスン。泣いちゃうぞ。

米田さんに体を弄ばれ、悲しみに浸っていたその時、前方から人影が走ってきた。

「先輩!!」

俺の忠犬!!

忠犬ミツは力ずくで米田さんを引き離し、俺を抱き込んだ。

「先輩に触るな!!」

ミぃツぅぅぅっ!!

「ぅ、ミツっ!寂しかったぁぁ!」

「先輩・・・もう大丈夫ですよ。俺が居ますからね」

「うんっ」

ミツに抱き付いて胸に擦り寄る。


「ちょっと、何なのキミ」


明らかに機嫌がよろしくない米田さんの声が背後に聞こえる。

「俺の花嫁返してよ」

えぇぇぇぇ!!!
恋人通り越して花嫁かよ!!

「ジロー先輩はあなたの花嫁じゃありません!花嫁だったらこんなして逃げる必要無いでしょ!?」

その通り!!
ナイスだミツ!

「違うよ・・・照れてるんだよ。ねえ?」

ポジティブぅ!!
ポジティブシンキング!!

「何でそんなに先輩のこと欲しがるんですか?」

そうだ。今日会ったばっかりなのに・・・

「だってタイプ、ドストライクだったんだもん」

・・・平凡。チーン。

「ははは、俺泣きそ・・・」

「嬉しすぎてー?ふふっ。幸せにするよー?」

がっくり肩を落とした俺の髪を、米田さんは恋人に触れるように優しく撫でてきた。

こんなの・・・雄也が居なかったら確実にオチてるよ。

「米田さん、あの・・・」

早く謝らないと米田さんにとっても良くない。

「総一郎(ソウイチロウ)。ジローと名前似てるねー、総一郎って呼んでくれなきゃいやん」

いやんってあなた。

「や、あの、総一郎、さん」

「・・・っ、離れろ!!」

「うわっ!」

「ああん!花嫁ぇーっ!」

誤解を解く前にミツに腕を掴まれた俺は、引っ張られそのまま校舎に連れて行かれてしまった。

ミツ・・・最後の最後で余計なことを・・・・




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