平凡くんの秘密の恋
2
「何かあったかー?」
風呂からあがったスウェット姿の健太郎。頭にタオルかぶってわしゃわしゃしてる。
その時俺は、切れた電話を見つめながらベッドにごろごろしていた。ちなみにダンボールは夕飯前に片付けた。割れ物注意の箱はまだだけど。
うん。切れた電話を見つめるなんて、我ながら乙女だとは思う。
今まで雄也と話してた所為で頬が緩みっぱなし。
恋人が居るという優越感も手伝って、
「恋人からー」
と、ニンマリ締まりの無い顔で笑ってしまった。
健太郎はぱちぱち目を瞬かせる。間抜け面。
「は?お前、ジロー?」
「んな!失礼な!」
「だって平凡っつーか、気持ち悪――・・・ゴフッ!」
前見た不良ドラマの再現をしてみた。鳩尾にパンチ一発!
見よう見まねで出来るもんだなー。
「て、てめっガフッゴホッ、殺す、きか!」
「健太郎が変なこと言うからさー」
「冗談だろ!」
「ごめんごめん」
そこまで怒る必要なんか無いのに。
謝ったら許してくれたのか俺のベッドに上がってきた。ちなみに風呂は健太郎の前にいただきました。だからジャージ姿です。黒に水色の線が入ったジャージで、上も同じやつ。春先だから寒いんだよ。
「良いなぁ恋人」
「でも男だよ?」
「それは微妙だけどさ、幸せそうじゃん」
「まーね。自慢の彼氏だから」
雄也にベタ惚れだから。雄也はウザがってるかもしれねえけど。
言ったら健太郎が首にまとわりついてきた。
「んもーけんちゃん妬けちゃうー」
「ははっ、妬け妬けー」
こーんな風にだらだらしながら、いつの間にか寝てしまっていた。
俺のベッドで重なりながら。
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