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平凡くんの秘密の恋
ワンダフルサラダ


「すんげーな、この規模」

「それだけ生徒数があるってことだから」

俺は今健太郎と夕飯にありつくために食堂に居る。
健太郎といつも食べてる人は、今日はまだ学校も始まってねえし一緒に食べはしないらしい。

「にしても食堂ってこんな広いもんかー?」

「じゃねえの?」

「前の学校はこれの三分の一だったけどなぁ」

「えっ、ちっさくね?」

「いやいやじゅうぶんでしょう」

レストランみたいな外見。中身は券売機。バイキングと定食や単品、選べるそうだ。

俺らはバイキングを選んだ。
サラダをもしゃもしゃ頬張る。

「うまっ!」

えっ?サラダだよな?野菜切ってドレッシングかけるだけの、あのサラダだよな?
なのに人生ナンバーワンって、なに。

「サラダと言えどすげーだろ!」

「うん。ジローくん感激」

「シェフの自家製農園で採れた野菜にシェフ特製ドレッシングだかんな」

「ほへー」

次元が違わぁ。
雄也め、毎日こんな良い思いしてやがんのか。・・・変態のくせに。

あれ?

「なぁ、あそこ何?」

人でごった返してるのに誰も座ってない2階の空間。

「あれかー。あれは生徒会専用席だよ」

「生徒会?生徒会ってそんなに強えのか?」

「あーもう最強!俺らミジンコにとっちゃあ象みてえに強え」

・・・分かりにくい比喩をどうもありがとう。
しかも俺らって俺もミジンコ扱い?・・・ありがとう。

「生徒会は皆のアイドルだからな!食堂に来たら皆騒いでうるせえし、寄ってくるから、あのスペースは、生徒会に許可された人間しか入れねえのよ」

「ふーん」

ま、あれだな。
関わらないに越したことはねえな。

「っし、帰るぞ健太郎!」

「は!?まだデザート食ってねえ!」

「阿呆!めんどくせえなお前は!!」

「ジローに説明してたからだろ!?」

「俺だって喋ってたわ!!」

「なんだとぅ!?貴様は恩を裏切る気か!!」

「何が恩だ!俺がお前の子守りしてるみたいになってんだろが!」

「それくらいのことをしてくれても苦しゅうないぞ」

「何キャラだ!!」

2人でヒートアップして言い合いしてるその光景。端から見たら面白いんだろう。食堂に居るやつらに笑われた。

健太郎は「どうもー」とか手を上げながら会釈してる。それが終わり、憎めない満面の笑みでこっちに顔を向けてきた。

「な、俺らお笑いコンビで天下取れるぜ!」

「取れねえよ!つーか取りたくねえわ!!」

そしてまた食堂が笑いに包まれる。

居たたまれずに頭を抱えた俺だった。




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あきゅろす。
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