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平凡くんの秘密の恋
平凡まにあ


「そう言えばさー、ジローが行ったときの管理人ってアッキーだったんだろ?」

「アッキー?」

「塩見明信さん。皆アッキーって呼んでんだ!ま、怒られるからからかってるだけなんだけど」

「へー・・・」

アッキーねえ。
あのお顔にして随分可愛らしいこと。

「米さんには会ってねえんだよな?」

米さん?あ、米田さんか。

「うん。会ってねえ」

この元気いっぱい少年の前で割れ物を扱うのは危険だと思って、今は片付けるのを諦め、ソファに座り直したところだ。

「よ、良かった・・・」

何事だ。
健太郎は俺の両肩に手をついて深い息をついた。
何が良かったのか分かんない。

「事前に忠告できる・・・」

ポツリと呟いた健太郎。
え、なに、そんな要注意人物なのぉぉ!?

「良いかジロー、心して聞け」

さっき会ったばっかりでも、今までの中で一番真剣な表情で健太郎は言う。

「米さんはな・・・平凡大好き人間だ」

・・・・ほわっつ?
平凡大好き人間?
いやまさかー。この世にそんな人居るわけねえよ。

「この平凡なノンケの俺でも、押し倒された経験がある」

「・・・え、処女喪し――」

「んなわけあるかぁぁ!!」

いや、そんな怒らんでも!
耳痛いよ!

「俺腕っ節だけは強くてさ、米さんの腹一発殴って逃げた」

「そ、それで、今は?」

「俺の事は諦めたらしく、現在恋人募集ちゅー」

「・・・・いや、俺恋人居るから」

「んなの気にしねえよあの人。米さん、たち悪いからなー」

嗚呼。経験者がそんなこと言ったらとっても信憑性あるんですけど。しかも言い方もうんざりってかんじで、本当に心の底から思ってんだな。
米田さん。会ったら逃げる!

「どんな人なんだ?」

「んー。親衛隊には大天使で通ってる」

「は・・・?」

だ、大天使?いっつぁふぁんたじー。

「見た目が凄い綺麗なんだよ。髪も金髪で、肩下まで長いやつ結んでるし。雰囲気もほわほわしてるし、恋愛に関して天然っぽいし」

「背は?」

俺は刑事さんの聞き取りよろしくメモし始めた。

「180より低いかもだけどそこそこ高いよ」

「そっか」

「親衛隊も、米さんが平凡好きって知ってるし、見守ってあげようってかんじ。親衛隊にしては珍しいけど」

「・・・そっか」

ってことは米田さんのこと止めてくれる人は誰も居ないってことか・・・もうやだ。

雄也・・・今何してるのかな、あの変態は。
急に恋しくなった。

「ま、そう気ぃ落とすなって!」

いきなりバシッと叩かれて前のめりになった。

「何かあったら俺から言ってやるしさ!」

「健太郎・・・かっこいーこと言うね」

「へへっ。俺に惚れんなよー?」

「いやごめん。それはない」

健太郎大ダメージ!

すぐに泣き真似されて、宥めるのがたいへんだった。




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