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平凡くんの秘密の恋
甘やかされると弱いんです


ウッチーが教員用のくるくる回る椅子にふんぞり返っている。


「なるほど…、デキてねえってのを信じると、…お前、なんか巻き込まれてやがるな」

教室の中だと視線を集めて会話は丸聞こえだったので、ウッチーに引き連れられてやってきた古典準備室にいる。何だ、古典準備室って。ミフネは健太郎が1人になってしまうからと無理矢理置いてきた。未だに狙われる確率は俺より健太郎の方が高い。

「巻き込まれているというかなんというか…」

「巻き込まれてんだな」

「ぅ……はい」

決定事項のように断言されて頷くしかないじゃないか。目立つなと言われていたから何かお叱りがあるのではとがっくり項垂れた。それから予想通りに頭に衝撃が走る。
怒られる…。
そう身構えた俺は、そのまま髪を引っ張られて足がもつれた。
え、待って。このまま倒れたらウッチーの胸の中!?

「うわぁっ!」

「……」

「…っ?ウッチー?」

え、どういうこと。抱きしめられました。そして無言の先生。
説明しよう。俺は今ウッチーと向い合せです。膝の上に乗ってます。跨ってます。大丈夫、股間は離れてます。そこ重要です。
恥ずかしい体勢に熱くなる頬を隠すため、俯いて丸まった背中に無骨な手がたどたどしく回される。もう一方の手で後頭部からうなじを撫でられた。

「……あ、ぅ。どした、の?」

何か変なものでも食べましたか?と俯いたまま聞けば、頭を押さえられてウッチーの肩口に額を押しつけられた。

「いや……。お前それ何の厭味だよ」

だってあのツンデレが!とは口に出せず。
耳にウッチーの髪があたってくすぐったい。なんか、空気が甘いんですけど。ダメだよ。
性欲が有り余る思春期のホモ男にコンナコトシタラダメデス。

「…元気無いだろ。俺の所為だな」

「え、何でウッチーの所為?」

「授業参観の話題で元気無くなったんじゃねえのか?」

「…だからさ、そんな柔じゃないって言ってんのに」

心配してくれていることにじーんと目が熱くなった。ウッチーは教祖になったりツンデレになったりママになったり忙しいな。

「なんかお前、甘やかしたくなるんだよ」

「これ……口説かれて、ねえですよね?」

「は?思い上がんな」

ごつんと叩かれて、また抱きしめられる。この為にここに呼んだのかと思ったら嬉しくて、白衣を握り締めながら身をゆだねていた。
人肌ってやけに安心する。え?浮気じゃないですよ。
浮気じゃないですよ…ね?え、違うよ、うん。




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あきゅろす。
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