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平凡くんの秘密の恋



「そうだよな。健太郎たちは1年からの付き合いだし」

その辺のブランクは埋められないし。ってか、埋めようとも思わないんだけど。

健太郎を送り届けながら、部屋に戻る前にコンビニに立ち寄ることに決めた。一々戻るのも面倒だったし。

俺(とミフネ)の部屋からコンビニに行くには、絶対に健太郎(と津永)の部屋の前を通らないといけない。部屋に入った健太郎をやり過ごし、なんとか本来の目的地に歩を進めることができた。けっこう有名人になってしまった俺に「あれ、姫と一緒じゃなくていいの?」とか言ってくるやつがいたけども、大丈夫だと言ってやった。
だからさ、まだ健太郎が狙われてるんだから俺は大丈夫なんだって。ミフネがあんなに頑張って俺についてくるのが悪い。・・・・・たぶん。

「今日は麺系な気分だな。パスタとかいってみるか」

すっかり常連になってしまったコンビニにて。奥の弁当が並ぶコーナーで居座ること約20分。ミフネの分も弁当を買ってぶらぶら下げながら歩いていると、自販機のコーナーに差し掛かった。自販機の近くは少し開けていて、憩いの場のようにソファと観葉植物が並べられている。手入れが大変そうだ。これもアッキーとかが世話をしてるんだろうか・・・・・いややるならアッキーじゃなくてソウだよな。
そう言えば麦茶が足りなかったような気がして足を止める。

「んー、ミフネが好きなのは・・・・・」

ミフネは好みがはっきりしてるから、合わせられる俺としては迷わずに買いやすい。
がこんと望みの麦茶を抱え、その場を去ろうとすると、

「・・・・・・って、・・・・・やって――!」

後ろのほうで声が聞こえた。
自販機の影で誰かが話しているみたいだ。こんな所でいったい何の話が・・・・・と好奇心がむくっと頭をもたげたが、ミフネの顔がチラつき足が根を張って俺を引き止める。あの眼鏡の奥からのえぐるような視線。

「・・・・・・帰ろ」

俺ってば偉い。
きっと覗いたとしても、俺には関係ないことだし、何も変わらなかった。のだと思えば心持ちもすっきりして良い。

その日の夜、「ちゃんと買っといたぜ!」と自慢げにコンビニの袋を見せつけた俺の頭上に、ミフネの鉄槌が振り下ろされた。



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あきゅろす。
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