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平凡くんの秘密の恋




「姫ぇー!」

ものすごい勢いで前方から何かが飛んできた。飛んできて、俺の斜め後ろで衝撃音がした。

「姫助けてー!宿題終わんないよー!」

「誰が姫だ!今までテメェでやらなかったからだろうが」

「そんなこと言ってないでさー!!」

姫だ。ミフネがなぜか姫と呼ばれている。姫って。姫ってこんなんで良いんですかみなさん。こんなごつくて・・・・・・・確かに顔は美人だけども!性格きつくて、自由人で、強い(ケンカは見たことないけど)この男が姫って!
それとも名前が姫なんだろうか。姫・・・・・野とか。ふむ。

ミフネが絡まれているのは元一緒に行動していたちっこいやつだ。俺が決して口には出せないやつだけど。ちびくんだ。

「黙れ。乾(イヌイ)に教わればいいだろう」

ミフネに「いつもの3人で集まらなくていいのか」と聞いたところ、問題無いと一蹴された。このちびくんともう一人、乾とかいうやつから抗議の声も無く、本当に問題無いのだと思った。何でなのか理由が分からない。すごく仲良さそうだったのに。今だってちびくんはミフネにじゃれついている。

「だって乾は馬鹿だし」

意外にズバッと物を言うタイプだな。
呆れて何となく眺めていたら、

「・・・・・・・え」

急にこっちを振り向いて爛々と輝かせた目が間近に迫った。イキガフレアウニビョウマエ。
咄嗟にミフネがちびくんの腕を掴んで、力任せに引き寄せる。何がしたかったのかよくわからないちびくんは、ミフネに両腕を掴まれたままちぇーっと口をつきだす。

「たまにはスリル&ドキドキがいるだろ?」

「・・・・・・コロス」

「あはは・・・・・」

何なのこの子は。
物騒なことを口にしたミフネは、掴んだ手を握り締め、低い声でもう一度、

「さっさと乾んとこ帰れ。次やったらただじゃおかねえ」

そう言って追い払った。
冗談だったんだから笑って許してあげたらいいのに。それさえもできないらしい。真剣に威嚇するミフネに、少し申し訳なく思った。





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