プルト小説
その4(グリーヴァ+バッシュ他)
二人であてどもなく旅をしていたゾズマとアルベルト。
夜間に東の村に到着し、村の出入り口でずっとどうするかと喋っているうちに塔で見張りをしていてそんな二人に気付いたハンサムでナイスガイなジャスティンは塔から目にも止まらぬ速さで二人の背後にまわり、会話を少し聞いて不審者ではないと判断してはそのまま二人を東の村に招き入れたのであった。
ジャスティンがあまりにも紳士的かつハンサムなのでゾズマとアルベルトは一瞬でこの僕に心を奪われ…」
ジャスティンはハキハキした声でそう喋っている。
アルベルト「奪われてねーよ!;」
リレ「すまないね、こいつはこういうヤツなんだ;」
ジャスティン「そしてゾズマとアルベルトは一軒の空き家で濃厚な二人暮らしを始めて数日が経つのであった。」キリッ!
リレ「ったく、よくしゃべるねぇ;」
ジャスティン「アルベルト、いいんですか?あなたのお父さんであるランディと一緒に暮らさなくて。」
アルベルト「なんで親父に会ったからってこんなトシになってまでわざわざ親父と共に暮らさなきゃなんねーんだよ;しかも若い姿のままだからオレより年下に見えるし。それより驚いたぜ、こんなとこに立派な村があるんだからな。訓練場もあるし。」
リレ「気にいってくれてなによりだよ。他にも北の国や南の村があるんだけれどね。」
アルベルト「北の『国』?」
ジャスティン「ここらでは一番規模が広くて人口が多いとこですよ。城もありますし娯楽も物資もたくさんあります。唯一海から少し遠いから川魚はとれても海のモノは中々食べれませんがね。」
アルベルト「へぇー、北の国っていうなら、やっぱ下界みたいに議長サンでもいるのか?」
リレ「議長というかリーダーって呼び方だね、今はティーダとカインの男二人が北の国のリーダーをしているよ。」
アルベルト「詳しいんだな。『今は』って?」
ジャスティン「前はこの村にいるバッシュが北の国のリーダーを一人で務めていたんですよ。」
アルベルト「バッシュって…」
ドドドドッ!
バッシュ「グリーヴァ!///つかまえたぞー!///」ガシッ!
グリーヴァ「Σみゅっ!?;バッシュ!?;」ジタバタ
バッシュは後ろからグリーヴァを持ち上げて抱きついた。
バッシュ「これから休憩時間なのだ♪グリーヴァ、まだまだ魔力が回復しないのか?ヘルミーナはもう成人時の肉体に戻ったぞ。」スリスリ
グリーヴァ「え?そーなの?」
バッシュ「相変わらず柔らかいほっぺだな♪」ツンツンプニプニ
グリーヴァ「みゅっ」
バッシュはデレデレして幼いグリーヴァの柔らかいほっぺたを堪能していた。
アルベルト「……ショタコンがよくリーダー務めれたな。」
リレ「いや…前はビシッとしてたんだけれどね。」
ジャスティン「僕は今の完全なるバッシュのがスキですよ。」ニコニコ
リレ「なんだい完全なるバッシュって;」
アルベルト「城かぁ…。ガキの頃に読んだ絵本でしか見たことねーよ。」
リレ「気になるんなら北の国に遊びに行ったらどうだい?」
ジャスティン「そうですね、近々お母さんは北の国に水晶をもらうがてら行きますし。」
アルベルト「あ、その水晶の話はちょっと聞いたぜ。魔力を吸収する水晶ならいちいち赴かなくてもこの村にある魔術の訓練所に設置してる魔力を吸収する水晶があるじゃねーか。それを削るなりして使えば…」
ジャスティン「これだから素人は…」ヤレヤレ
アルベルト「は?;」イラッ
ジャスティン「水晶なんてついでですよ、つ・い・で。北の国に行くのはちょっと北の国の様子見もかねてます。」
アルベルト「様子見?」
リレ「昔に色々あったんだよ。今は和解して平和だからいいけどね。」
・
・
・
―ワグナスの家―
ワグナス「うーん、晩ごはんは何を食べようか…」
(カビチシチューときのこパイ……妹のオカリナは明日は南の村へ旅立つし、ちょっと豪華な食事にしてあげようかな。)
バタンッ!
グリーヴァ「みゅっ!」トテテテッ!
ワグナス「ん?グリーヴァ君どうしたの?」
グリーヴァ「花のジャム。はい。」スッ!
グリーヴァは小さい両手で花のジャムの入ったガラスのビンをワグナスに差し出した。
ワグナス「え?くれるの?ありがと〜♪」ナデナデ
ワグナスはしゃがんで幼い姿のグリーヴァの頭を撫でる。
グリーヴァ「ふみゅ♪ローザが作ったジャムー。これでおやつ作るー」
ワグナス「うんうん、ジャムクッキーとかジャムパンとか作れちゃうね。」
グリーヴァ「あとジャムクレープも!」
ワグナス「そうだね〜」
グリーヴァ「たべるー!」
ワグナス「うん?」
グリーヴァ「みゅ♪」ニコニコ
ワグナス「! なるほどね、グリーヴァ君のところにはジャムクレープに使う卵がなくなったから卵がありそうなココに来たんだね?」
グリーヴァ「…卵ある?」
グリーヴァは首をかしげて聞いた。
ワグナス「あるにはあるよ〜」ニコッ!
グリーヴァ「!♪」パァッ!
ワグナス「あ、ジャムクレープを作ってあげるからさ、そのかわり……」
・
・
・
―グリーヴァ達の家―
バッシュ「………。」モグモグ
ヘルミーナ「………。」ムシャムシャ
ガラハド「………。」モグモグゴクン
三人はテーブルで静かに晩ごはんを食べていた。
ガラハド「……誰かなんか喋ろうぜ?;なんでこんな無言で晩御飯食べてるんだ俺ら;」
ヘルミーナ「あは……ですよね;」
バッシュ「そ、そうだな;グリーヴァがいないだけでこんなにも…その……」
ガラハド「静かだよなー…。というか、いつもグリーヴァが何かしら喋って四人でワイワイしながら晩御飯食べてたってのがハッキリ実感したよ;ハハハ;」
ヘルミーナ「ワグナスさんもやり手ですね、『ジャムクレープ食べさせてあげるから晩ごはんはココで食べてね』って言ったんでしたっけ?」
ガラハド「そうそう。今頃グリーヴァはワグナスの家でワグナスとオカリナと三人で晩御飯食べてるんだろうよ。」
バッシュ「まぁ、明日南の村へ旅立つオカリナにせめてオカリナの好きな俺のグリーヴァと一緒に晩御飯を食べさせてやろうというワグナス兄さんの配慮だろう。」
ガラハド「『俺のグリーヴァ』ってなんだよ;」
ヘルミーナ「さすがにグリーヴァ君はお泊まりはしないですよね?」
(たとえまだ幼児化状態のグリーヴァ君とはいえ、オカリナさんと同じ屋根の下で寝泊まりはいやだなぁ…。)
ガラハド「しないとは思うけどもグリーヴァだぞ?腹がふくれたら『ふみゅ…』とか言ってコテンってそのまま寝てそうだ。」
バッシュ「有り得るな。よし、時間を見計らって俺がグリーヴァを迎えに行くか。」
ガラハド「おいおい;」
バッシュ「グリーヴァは手が大きい男に頭をナデナデされるのが好きなのは言わなくてもわかるな?」
ヘルミーナ「もちろんです。」コクリ
ガラハド「え?そうなんだ。」
バッシュ「俺も手が大きい方だがワグナス兄さんも手が大きい。」
ガラハド「ん?それがどうしたんだよ?;」
バッシュ「ワグナス兄さんは長男だ。手が大きい男・長男スキル・甘やかしスキルの三つが揃ったワグナス兄さんだぞ、俺のグリーヴァがとられてしまう可能性大だ!!」カッ!
ガラハド「なんじゃそりゃ;」
ヘルミーナ「ガラハドさんの手はバッシュさんよりかは少し小さいですよね?」ジッ
ガラハド「あー、まぁ、普通の大きさかな。でも手が大きい男だからってグリーヴァは誰にでもホイホイじゃれついたりしないだろ。ジャスティンも手が大きいけどグリーヴァはジャスティンにあまり近寄らないし。」
バッシュ「そう言えばそうだな。なぜだ?」
ガラハド「発言も行動も変態だからだろ。バッシュも気をつけねーとな?」ニッ!
バッシュ「俺は……大丈夫だ。」
ガラハド「ならなぜ目をそらす;」
ヘルミーナ「私も気をつけないと…」
―ワグナスの家―
オカリナ「ふ〜、おなかイッパイ!料理美味しかったよワグナス兄さん、ありがとー♪」
バッシュ「ふみゅっ!♪」ギュッ!
子どもの体のグリーヴァはイスに座っているワグナスの膝に乗り、そのまま抱きついた。
ワグナス「ん?どうしたの?」ナデナデ
グリーヴァ「みゅ…♪」トロ〜ン
オカリナ「グリーヴァ君って頭なでられるのスキだよねー。私も頭なでてあげる♪」
グリーヴァ「やだ!ワグナスがいい!」ギュウッ!
ワグナス「あらら」
オカリナ「でもヘル子はもう魔力回復して成人体に戻ったのにグリーヴァ君はまだ魔力回復しきれてないんだね。魔力の底が深いのかな?」
グリーヴァ「ふみゅ…」ウトウト
ワグナス「あれ?眠い?」
オカリナ「じゃあさじゃあさ、グリーヴァ君このままお泊まり…」
バタンッ!
バッシュ「駄目だ駄目だ!食事が終わったのなら俺のグリーヴァを返してもらおうか!」
オカリナ「うわぁ…」
グリーヴァ「んん〜…バッシュ…?」
ワグナス「バッシュ、あまり大きな音や声は…」
バッシュ「グリーヴァをこちらへ」
ワグナス「えー」
オカリナ「えー」
―グリーヴァ達の家―
ガラハド「それでグリーヴァを奪ったわけかよ;」
バッシュ「奪ったなどとは人聞きの悪い。迎えに行っただけだ。」
ガラハド「ワグナスとオカリナだってグリーヴァともう少し触れあいたかったと思うぜ〜?」
バッシュ「グリーヴァ〜♪」スリスリ
グリーヴァ「みゅ……」スヤスヤ
バッシュは椅子に座っている状態で、抱き締めているグリーヴァを愛しそうに頬擦りした。
ガラハド「あのー、聞いてマスカ?;」
バッシュ「ところで、近々エリスさんは北の国に行くが、お前も行くのか?」
ガラハド「あー…、どうしよっかな、お祖父様がエリスについていくならエリスとあんまり一緒にいられないし。バッシュは行くんだろ?」
バッシュ「あぁ。急に俺が抜けた事でティーダやカイン、皆にはかなり迷惑をかけてしまった。それにグリーヴァやガラハド、エリスさん、皆のおかげでショックから立ち直れた。改めてありがとう。」ペコリ
―塔・3階―
ジャスティン「………。」
ジャスティンは一人、塔の窓から外の村の出入り口などや周辺をただただ監視していた。
深夜の暗闇の中、ジャスティンの両目だけは鋭く光る。
ジャスティン「……お義父さんですか?」
スッ!
ハーディス「よくわかったな。」
ジャスティン「どうしたんですかこんな深夜の時間帯に。もしかして秘密の告白ですか?ですよね?そうでしょうとも///」ソワソワ
ハーディス「帰る。」クルッ!
ジャスティン「Σえぁっ!?;ちょっ!帰らないで下さいよ〜!何しに来たんですかわざわざ;」
ハーディス「…お前は毎晩毎晩、こうしてこの塔で真面目に見張りをしていたというのは本当だったんだな。」
ジャスティン「もちろんです。そのかわり皆さんが起きる朝方には僕はココか家で寝ます。あ、でもたまには誰かと一緒に見張りをしたり交代とかしますよ。」
ハーディス「そうか。」
ジャスティン「そうです。」
ハーディス「…………。」
ジャスティン「…………。」
ハーディス「帰る。」
ジャスティン「はい。」
(あぁ…、単に訓練帰りに僕が本当に見張りしていたのか見に来ただけか。)
ハーディス「そういえばお前の一人娘の名前は?」
ジャスティン「え?」
ハーディス「娘の名前だ。」
ジャスティン「どうしたんですかいきなり;」
ハーディス「いいから言え。」
ジャスティン「…ベアトリクスですよ。」
ジャスティンは肩をすくめて言った。
ハーディス「ふーん。」スタスタ…
ハーディスは塔から出ていった。
ジャスティン「?」
(もう少し何か喋りたかったなぁ。)
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あぁバッシュ…(´∀`)笑
2013/12/21
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