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森に棲む魔女

01

 蜂蜜色の長い髪を風に揺らしながら家へと向かう人形のように愛らしい少女。

「やあ、××今日も可愛いね」

 その途中で見知った村人に声をかけられ、足を止めてにこやかに振り向いた。
 愛らしい顔に声を掛けた村人も自然と笑顔になる。

「君のお母さんの若い頃にますます似てきたね」

「ありがとう、でもあたしの方が母さんより綺麗になるわよ」

「それは楽しみだね」

 焦げ茶色の瞳を細めて微笑んで少女は言葉を返した。少し生意気なところが少女の魅力を引き立てている。

「ただいま」

「お帰り、××」

 少女が家に変えると母親が出迎えた。髪には白いものが混じり、目や口の近くにはシワが刻まれていて美しいと言われた昔の面影はあまり残っていないように感じる。
 少女は母親を見るたびに自分もいつかはこんな風においてしまうのだろうか、鮮やかで艶のある髪は色褪せ、はりのある白い肌には醜いシワが刻まれていく・・・そう考えるだけで恐怖を感じた。

 自分の部屋に戻ると窓から魔女が棲むといわれている森を見つめた。

 どんな願いでも叶えてくれる魔女、本当なのか嘘なのかは知らないが昔からこの村にずっとある言い伝え。
 少女は森と鏡を交互に見つめる。

 手入れの行き届いた綺麗な髪、宝石のように輝く瞳、焼きたての白いパンのようにふっくらとした頬。村を歩けば皆が少女を見つめ、可愛いだの綺麗だの声を掛けてくる。
 少女はそんな自分の容姿が母親のように醜く朽ちていくのが考えられないし、考えたくもなかった。
 もう一度森を見つめる。まだ黄昏前だというのに薄暗く不気味な森、中に入ることどころか近づくのもためらってしまう。

「どんな願いでも・・・」

 願いの代償はなんだろうかと少女は考えた。この綺麗な容姿をそのまま保てるのならば何を差し出してもいいと少女は思っていた心の底から、少女にとって老いる事ほど恐ろしいものはなかったのだ。

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あきゅろす。
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