縞色猫×白色兎
*"白"は"汚れる"のか
白は純潔の色だといったのは誰だろうか、チェシャ猫は今日も木の上から女王のいる城に急いで向かう白兎の背中を見つめながら思った。
傲慢で我が儘な女王に仕える白兎が不思議だった。嫌ではないのか、嫌だとしたら何故逃げないのか、あんな自分では動かない他人まかせの女王から逃げるなんてたやすいことだと思うのに。トランプ兵だって兵とは名ばかりの軟弱者だ、と。
「白い兎君、君は白いね」
ある日、城から帰る途中の白兎にチェシャ猫は話しかけた。
わざとらしいため息をついた後、白兎は半ば睨むようにチェシャ猫を見上げた。
「そりゃ…白兎だからね」
「キシシシシ、そうじゃないよ」
「どういう意味だよ?」
言われた言葉の意味がわからず、白兎は怪訝な顔をした。
チェシャ猫は木から飛び降りると白兎の目の前に降りてニンマリと微笑んだ。
「汚れを知らない」
「はぁ?」
チェシャ猫のいいたい事がますます分からなくなった白兎は面倒な事になる前にさっさと帰ろうとチェシャ猫の側を通り過ぎようとした。
しかし、通り過ぎるより早く、チェシャ猫が白兎の腕を掴んでそのまま自分の方へと引き寄せた。
「離せよ」
「嫌だね」
そこには何時ものふざけた笑顔ではなく、真面目な顔をして真っ直ぐ白兎を見つめるチェシャ猫の顔があった。
意外、というよりも初めてみるチェシャ猫の顔に白兎は面に出さないものの内心戸惑り、そのせいで捕まれている手と違うもう片方の手が自分の頬に添えられているのに気付くのが遅れた。
「チェシャー…」
白兎は名前を呼ぼうとしたが、自分の口をチェシャ猫の口で塞がれてしまって出来なかった。
軽く触れるだけのそれに白兎は顔を赤くした。
「な、何をするんだ!」
「キシシシシ、次はもっと激しいのをしてあげるよ」
ふざけるな、と白兎が反論するより早くチェシャ猫はもう一度白兎の口を塞いだ。
「…っ、…ん……!」
唇を割って舌が侵入して来るのを拒めず、白兎はチェシャ猫の舌に口内を荒らされた。
最初はチェシャ猫の背中を叩いたりしていた白兎だったが、しばらくすると力が抜けたようにだらりと下ろしてしまった。
「キシシシシ、そんなによかったかい?」
ようやく唇を離したチェシャ猫はニンマリとした笑顔を見せながら開口一番にそういった。
「ふざっ…ふざけるな!」
チェシャ猫を突き飛ばして直ぐに、手の甲で口元を痛いのではないかというぐらいにゴシゴシと拭き取りながら白兎は睨んだ。
その様子を見ていたチェシャ猫はまた白兎を自分の方へと引き寄せると、今度はそのまま抱き抱えた。
「降ろせ!馬鹿!触るな!」
「…君を他の奴に見られるのが嫌なんでね」
白兎の抵抗をものともせずにチェシャ猫はそのまま歩きだした。
最初は暴れていたが無駄だという事が分かったのか疲れたのか、白兎は不貞腐れた顔をしているものの大人しくなった。
チェシャ猫がたどりついたのは白兎の家だった。
「…降ろせよ」
「キシシシシ、そのうち降ろしてあげるさ」
「僕の家だぞ、あ、こら!勝手に入るな!降ろせ!!」
白兎の制止など聞こえないかのようにチェシャ猫はいつの間にか手にしていた鍵を使い、家の中へと入っていった。
「どういうつもりだ…」
「こういうつもりさ」
そう答えると、白兎の寝室のドアを開き、狭くも広くもないベッドに白兎を降ろした。
「白は…純粋だとかいうけど、染まらないのかな」
「…?」
淋しそうな、悲しそうな複雑な顔を見せたチェシャ猫に白兎は戸惑った。
「チェシャ…?」
「白い兎君、俺は君が好きだよ。君は俺が嫌いかい?」
「……」
「……」
「…嫌いじゃ、ない」
何処か恥ずかしそうに顔を背けて答えた白兎に、チェシャ猫は満悦の笑みを浮かべ、それに気付いた白兎はよりいっそう顔を赤らめた。
「白い兎君」
「なんだよ…」
「こっち向いてよ」
「嫌だ」
横を向いたままの白兎にチェシャ猫は微笑むとゆっくりと顔を近付けて、ざらついた舌を首筋に這わせた。
突然の感覚にビクリと白兎が反応するのを確認してそのまま首筋から鎖骨へと移動していき、そこで一度吸い付いた。
「いっ…何、するんだ…っ」
チェシャ猫は答えることなく、次々に白兎の首や鎖骨の周りに紅い跡を付けていく。
舌に意識が行き過ぎて白兎は自分の上半身が晒されている事に気付かない。
「チェ、シャ…っ…」
舌はゆっくりと下の方へと動いて行き、小さな突起に触れた。
「っあ…」
「キシシシシ、どうかしたかい?」
ようやく顔を上げたチェシャ猫は心底愉しそうに笑っている。
一言文句でも言ってやろうと思った白兎だったが、押し寄せる得体の知れない感覚に言葉に出せない。
それを知ってか知らずか、チェシャ猫の行動はどんどんエスカレートしていく。
舌で弄っていない方の突起を爪を引っ込めた指先で摘んだり、弾いたり。それに答えるかのように白兎の呼吸は上がり、甘い声が漏れる。
「やめっ…っ、…う…」
「止めてほしいの?」
「しゃべっ……んん…」
カチャリ、とベルトに手を掛けられる音がして白兎はチェシャ猫の手を掴んだ。
「そこはっ…」
「キシシシシ、だって窮屈そうだからね」
そういいながら手をどかせ、ベルトを外して下を全て脱がせると白兎のソレは主張するように大きく上を向いていた。
「ほら」
「…っ!!」
口で何と言おうとソレはチェシャ猫の言葉を肯定している。この上なく顔を赤くしてまた横を向いてしまった。
チェシャ猫はそんな白兎が愛おしくてたまらなかった。
「チェシャ」
「なんだい、白い兎君」
「僕だけ脱がして自分はそのままだなんて卑怯だ」
一瞬、呆気に取られたが直ぐに笑顔に戻り横を向いた白兎の頬に唇を落とした。
「じゃあ君が脱がせてよ」
「なんで僕が…」
ぽつりと文句をつぶやいたものの自分だけが裸にされているのも嫌だからか、白兎はチェシャ猫の服に手を掛け、ゆっくり脱がしていく。
「くっ…」
下の服に手を伸ばそうとした所で白兎の動きは止まった、否、止めさせられた。
チェシャ猫の手が白兎のソレに触れたから。
「ほら、脱がしてよ」
「だっ……んっ」
どうしたんだい?と分かりきった質問をしながらチェシャ猫はソレを触りつづける。下から上へ、先端を弄っては上から下へ。
「卑、怯だっ…ぞ」
「キシシシシ」
白兎が必死に声を抑えようとしているのに気付いたチェシャ猫はソレに優しく口づけをして、口に含んだ。
「んあっ…あっ!…はっ」
快感に堪えきれずに白兎が声を出すとチェシャ猫は嬉しそうな顔をして手も使いソレを舌と手で弄る。
チェシャ猫の舌が、指が、ソレを悦ばして更に硬くしていく。
「やっ、チェ…シ、ャ…はぁっ……」
無意識にか、白兎はチェシャ猫の柔らかい毛を掴む。
不意にチェシャ猫はソレに触れるのを止めた。
「チェシャ…?」
あと一息で達するという時に止められてしまい、なんとも言えない気分になった白兎は潤んだ瞳でチェシャ猫を見つめた。
その視線をうけてソレにふっと息を吹き掛ける。既に限界が近いだけあってか、ソレだけで白兎は声が漏れる。
「キシシシシ、イきたいかい?」
「……っ!」
もどかしい気持ちを知っていながらチェシャ猫はいやらしく笑いながら問い掛けた。
羞恥心から答えられない白兎は自分でしようと手を伸ばしたが、チェシャ猫の手によって阻まれる。
また息を吹き掛け、先端だけをざらついた舌でゆっくりと舐めあげた。
「チェシャ…」
「うん?言わなきゃイかせてあげないよ」
元々言い出したら聞かない性格のチェシャ猫は意地悪な笑みを浮かべて白兎を見つめた。その間も指先でソレを軽く弄り続ける。
「う……い、イかせてください」
少し泣きそうな顔で、白兎は小さく言った。
「キシシシシ、俺のでイってね」
下を自分で脱いでチェシャ猫がそういうと。
「後ろ向き、じゃ…駄目なのか?」
と、白兎が聞いてきた。
「君を見ながらイきたいし、俺を見ながらイって欲しいからね」
瞼と首筋に唇を落とした後チェシャ猫は自分の指をくわえ、充分に指を濡らしたてから白兎の中に入れた。
「うぅっ…は、ぁ…指……?」
「イキナリは痛いだろうから、慣らさなきゃね」
優しく、丹念に白兎の中をチェシャ猫の長い指が生き物のように動く。
「チ、ェ…シャッ!」
「せっかちだねぇ」
「お前が、悪っ…い…」
するりと指を引き抜いて今度はチェシャ猫のモノを当てがった。
それだけで白兎の肩がピクリと震えた。
「いれるよ?」
「あぁ…」
「やっぱりまだきついね」
チェシャ猫のモノが全て白兎の中に飲み込まれて、安堵とも喘ぎともとれる声が二人からこぼれた。
目が合うとチェシャ猫は微笑んで唇を近付けた。今度は白兎もチェシャ猫の首に腕を絡め、ぎこちないながらもそれに答えた。
自然と自分からも腰を動かして全身でチェシャ猫を求め、それに答えるようにチェシャ猫も全身で答えた。
「白い兎君…」
「なんっだ、よ…はぁ……あぁあ」
「愛してるよ」
「ひ、きょ……うだっぞ……ん」
キシシと笑い、また口づけをした。
「う、チェ…シャ……はっ、もぅ」
「中にしてもいいかい?」
チェシャ猫の問いにこくりと首を縦に振って答えた。
嬉しそうに微笑んだかと思うとチェシャ猫は動きを早め…果てなくして二人は同時に達した。
「可愛かったよ」
「……馬鹿」
「キシシシシ」
見つめ合うとどちらかとなく口づけを交わした。長く、優しく。
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