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だってそういうことでしょう
マンネリ脱出(C×H?) 前編※

千里?×春樹
拘束等





「最近彼氏とマンネリでー」


「わかる!あたしもそんな感じ」


サークルの部会後、次のライブの打ち合わせと夜ご飯を兼ねたハンバーガーチェーン店。

打ち合わせは草々にカタがつき、一緒に来た同期の女子二人は恋愛話で盛り上がっている。隣に座っていた男友達はまだ足りないとかでデザートを買いにいってしまった。

雲井春樹はきゃあきゃあと楽しげな声を聞き流しながら携帯電話を弄くっている。

バンドサークルだからかどうかは分からないけれど、どうもうちのサークルの女子は恋愛経験値が高そうなのが多い。
俺はどうやら恋愛相談の相手と認識されているらしく、彼女達はこうやって恥じることなく恋愛の話をあけすけに語る。

・・・まぁいいんだけどさ。
信也に“もうすく帰るから”とメッセージを送った。
今日はどうしようかな、
俺は食べたけれど、信也は夕飯食べただろうか。
あいつすぐコンビニとかで済まそうとするからまた作ってやらないと・・・


「ね、春樹はどう思う?」


急に話をふられて戸惑った。
・・・ぜんぜん聞いてなかった。


「何の話?」


「だから、どうやったら倦怠期解消できるかって話」


もう、と仲の良い女友達がむくれた。
ケンタイキ?


「えー、倦怠期とかわかんね。」


だって倦怠期ってあれだろ?ようするに飽きて嫌になるとか気まずくなるとか。
俺別に倦怠期じゃないし。


「ってゆうか、具体的にどーなったら倦怠期なわけ?」


逆に聞き返してみる。
彼女らは困ったみたいに顔を見合せた。

携帯が震え、信也から返信が来た。
“了解”、と一言メッセージが入っている。


「例えば、」


「例えば?」


“晩飯食った?俺は食ったから気にしなくていいよ”
頬杖をついて返信を打ちながらどうでもいい彼女らの話を聞き流していた。


「メールの返信が、絵文字なしで一言だけ、とか」


はた、とメッセージを打つ指が止まる。
さっきの信也の返信。

いやいやいや


「いや、普通じゃない?」


普通だ。普通。
最近確かに返信は短文だけど信也はもとからこんな感じだし、
思い直して送信ボタンを押す。


「あとは、デートが家ばっかりとか」


「・・・・」


いやいやいや
俺らの場合は人目を気にしてるだけだし

携帯が震える。
信也からの返信だ。早い。


「あと、呼び出すだけ呼び出して晩御飯作らせるみたいな。私はアンタの母親じゃねーよって」


「それさいてー!」


女の子がうんうんと頷き合っている。

信也の返信は“春樹作って!”だった。

たらり。
とうとう冷や汗がたれた。


「結局飽きられてるんだよねー」


「あーそれそれ。」


固まる春樹にお構いなしで話は続いていく。

え、俺、あれ?
飽きられてる?
・・・そんな馬鹿な。


「何?何の話?」


がたりと音を立てて隣の椅子に帰って来た男友達はトレーの上にソフトクリームらしきものを乗せていた。



「倦怠期脱出するためにはーって話」


「あー、なるほどね。俺も最近まで倦怠期だった」


動揺する春樹をよそに、今度は三人で話が盛り上がり始める。

もう話の内容なんて耳に入ってこなかった。

待って、
マジで信也のやつ俺に飽きた?
確かに最近なんかメールの返信短いし二人で会っても俺放ってゲームばっかしてるし、え、えっち、だってなんか最近強引というかなんというか
そんな、そんな馬鹿な


「なんか普段と違うことしてみたら?」


不意に放たれた男友達の一言に、びくりとする。


「た、例えば?」


「なんで春樹がそんな必死なんだよ」


ソフトクリームを口の端にくっつけた彼は不審そうだ。
いいから!、とつっぱると、彼はまぁいいや、と一言呟いて続けた。


「んー、そうだな。イメチェンとか?髪形変えてみたり。あとはそーだな・・・」


・・・イメチェン。

それだ。

一人、頭の中で頷いた。









とりあえず、いきなり髪形変えるのは無理だから手軽なイメチェンってことで、早速コンタクトを眼鏡にしてみた。


「ただいま」


「おかえりー、ってあれ?眼鏡?」


信也は早速気付いたらしい。
まぁそりゃそうだ。


「・・・へ、変?」


「ん?似合うんじゃない?」


反応薄っ
がくんと肩透かしを食らった気分だ。

せっかくどきどきしながら聞いてみたのに、信也は特に驚く様子もない。
俺の方を一瞥したかと思うと、またすぐにテレビの画面に視線を移していた。手にはコントローラー。画面には武器を持ったキャラクターがなんか恐竜みたいなのと戦っている。
どうやらまたいつものゲームで狩りにでかけているらしい。最近ずっとこればっかやってる。

てゆうか待って。
マジで倦怠期?

信也が、俺に飽きた?


頭をガンと殴られたみたいだった。


なんで?
どうして、やっぱ飽き、


「信也」


「んー?」


細い声で名前を呼んでみても返事は間延びした面倒そうな声。

やばい。ホントにやばい。

アイツ他に何て言ってたっけ?

頭ん中がさっきの会話を探そうとフル回転する。


『あとはそーだな』


なんだっけ。なんだっけ。



『あとはそーだな。セックスのテク磨くとか?』


・・・。


「し、信也」


「んー?」


「俺、ちょっと修行してくる!」


「・・・は!?」


コントローラーを握ったまま呆然とする信也を残して、部屋を出た。





 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄




「それで、俺のトコに連絡したんだ?」


修行するなんて言ったところで、頼れる相手は限られている。
男の喜ばせ方だなんて、さすがに女の子には聞けないし男にも聞けない。
俺と信也との関係を知っていて、しかも、そこそこ上手いであろう人。
となると一人しかいなかった。
・・・佑真はテクとかじゃなさそうだし。
黒髪の悪魔は妖艶としか言いようの無い視線をよこして、唇を吊り上げる。


「信也君は幸せ者だな」

「っ」


恥を忍んで相談に来たのはいいものの、早くも後悔気味である。
『それならご飯でも食べようか』なんて言われてファミレスに入ったまでは良かったけれど、いるだろうと思っていた佑真は珍しく用事があるとかでいないし、まさか千里さんと二人きりでこんな話をすることになるとは思っていなかったから。
この人と会うときはしつこいくらいに信也がくっついてきてたから、二人きりになること自体初めてなんじゃないだろうか。
よく分からないけれど信也、千里さんのこと慕ってんのかな。


「佑真とは、倦怠期とかないんですか?」


「ないね。」


おずおずと切り出してみたけれど、ばっさりと即答されてしまった。
なんでこの人こんなに自信満々なんだ。
意味不明だけれどうらやましい。


「春樹君はどうしたいんだっけ?」


パスタをくるくるとフォークに巻き付けながら、千里さんは首をかしげた。

どうしたい?
・・・どうしたいって言うか。


「・・・っ信也が、俺に飽きてる気がして」


「・・・。それで?」


「・・・っ、」


千里さんは指先であごをぽりぽり掻いている。


「き、気持ちよくさせる、テクを教えて下さい」


顔か熱い。
やっと言った俺に、千里さんは少しあっけにとられていたみたいだけれど。


「・・・ようするに、信也君を興奮させればいいんだろ?俺、テクとかよりいい方法知ってるよ」


千里さんはそう言ってにっこりと首を傾げた。


「試してみようか」




 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄




「これ、なにっ」


「え?目隠しだけど」


「そうじゃなくて!!」


触らないし、ただのフリだからってやや強引に言いくるめて、パイプベッドの上に手首をくくりつけた。
ついでに目隠しもしておいた。

ぷるぷる震えておびえてる。
怖いのかな。
かーわい。

家に上がり込まれた時点でおかしいと思わなかったかな。

佑真から聞いたような気はするけれど、どうやら春樹君は姉ちゃんと二人で暮らしているらしい。

今まで姉ちゃんとか興味無かったけれど、写真立てを見て納得した。


「お姉さんは今日帰ってこないんでしょ?」


「っなんで知って!!!」


「春樹君のお姉さん、柚希だろ?俺と地味に学部一緒だからね。就活行くって聞いた」


春樹君が呆然としている。

雲居柚希は唯一女友達と言えるかもしれない存在である。
最初はヤろうと思って近付いただけだったけれど、学部で唯一靡かなかった女の子だった。
・・・割とタイプなのに。

まぁ、それはいいとして。


「俺が思うにさ、テクとかすぐ身に付くもんでもないし。マンネリ脱出するには刺激だと思うんだよね」


「だからって、こんなっ」


「まぁまぁ。ちゃんとやるから」


一番体の相性がよくて、可愛いのが佑真だとして。
二番目に抱いてみたいのは春樹君だった。

こんなことしなくともどうせただ勝手に春樹君が不安になっているだけなのだろうけれど。
不安にさせたアイツが悪いんだから、しょうがない。
二人の関係の修繕に一役買ってやろうって言うんだから俺は感謝されてしかるべきだ。

・・・役得。


「こわ、い」


「大丈夫だって。春樹君が嫌がることはしないよ?俺レイプとかそんな趣味はないから。」


海斗と違って。

出かかった言葉は飲み込んでおく。


でも、なんだろう。

見えないだろうに不安げにきょろきょろ周りを伺うところとか
安心させようと頬に指を伸ばしただけなのにびくりとするところとか。

見た目は金髪で、怖いものなんてなさそうなのに。
嗜虐心を煽るこの感じはなんだろう。
しょーじき、そそる。


まぁ、佑真の友達だし。
後が酷そうだからあまり無茶は出来ないけれど。


春樹君のシャツのボタンに手をかけた


「な、にっ」


「上だけ。ただの演出だよ」


びくびくと小動物みたいにおびえる彼のシャツのボタンをはだけさせる。
白い肌が露になっていく。
・・・あ、勃った。



「春樹君、痛いの好きでしょ」


茶目っ気たっぷりに、ベッドに横たわる春樹君を見下ろすと、彼の白い肌は朱に染まっていた。


「好きじゃっ、ない!」


「ほんと?」


「あっ!やだっ痛い!、なんっ、これ、はずせよっ」


目隠しすると感度が上がるのはうちの佑真もそうだけれど、春樹君はそれがより顕著らしい。
乳首に洗濯バサミくっつけただけなのに、ぐっと唇を噛み締めて背中を反らし、腰を揺らす。
ここまでしなくていいんだろうけど。まあ趣味の範囲ってコトで。
ああ、これはこれでなかなかえろい。


「約束と、ちがうっ」


「え?約束通り触ってないじゃん」


「っひ!やあっあ!」


くすりと笑って、ピンと洗濯バサミをはじいてみた。

可哀想に。潰されて、ピンクだったのが赤くなってる。
痛そう。

だけど勃起している。

可愛すぎる。

触らない代わりにぶっかけてやろうか。精液まみれにしてやりたい。
・・・いやいや。佑真の友達だし耐えろ俺。



「携帯借りるね」


「っ、」


ぐっと唇を噛み締め、欲望を押さえ付けて、春樹君の携帯で写真撮影。


「なっ、なんで」


「んー?」


なんか楽しくなってきた。
俺悪役っぽくね?

写真つきのメッセージを送る。



「すぐ来るんじゃないかな?それまでがんばって」


言いながら、眉をひそめる春樹君を一瞥して、唇を湿らせた。
白い肌。荒い息。
目隠し越しでも分かる不安そうな顔。

ぐずぐずに愛して何も考えられなくしてやりたい。
良いところばっかり苛めてやるとどうなるんだろう。信也君の名前を叫んで、それでも体を震わせるんだろうか。

俺なら信也君よりも、もっと

・・・ちょっとホントに欲しくなってきた。
こんな趣味なかったはずなのに。
たまんねえな。今なら海斗の気持ちが分からなくもない。


・・・まぁでも、今回は信也君にあげることにしよう。

俺がヤっちゃうと浮気になるもん。
・・・勿体無い。




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