[通常モード] [URL送信]

だってそういうことでしょう
マンネリ脱出(S×H) 後編※

信也?×春樹
目隠し、拘束、無理矢理等




「それじゃ、後でね」


「これ、はずして・・・!!」


せめてものお願いも虚しく、
ぱたんと音を立ててしまった扉と、離れて行く足音。
どうやら本当に千里さんは出て行ってしまったらしい。

視界が塞がれて、怖くてたまらない。
洗濯ばさみにきりきり締め付けられて、少し身じろぎするだけでも変に揺さぶられて痛い。
のこのこ部屋に上げて、こんな格好で放置されて、俺、馬鹿みたいだ。

あんな変態に助言なんて請うんじゃなかった。なんでこんなのがマンネリ解消に繋がるのかホント意味がわかんない。
せめて恥を忍んで海斗さんに相談すべきだった。あんまり仲良くないけれどあの人なら優しいし、少なくともまともだし。千里さんの100倍マシだったかもしれない。

なんで俺がこんな目に。もう嫌だ。しるか。
このままじゃあの変態に犯されるのも時間の問題だ。
つーかあの人俺でも勃つとか知らなかった。

腕を結んでいるのも、目を覆っているのもただのネクタイで、なんとか外れるんじゃないかと腕を動かしてみる。
・・・くそ、思ったよりきっちり結ばれてるな

あ、でもずっと動かしてたらなんとか


バタン


10分くらいしてからだろうか。
なんとか外してしまおうともがいている最中に、扉が開く音がして、心臓が跳ねた。

千里さんが、帰ってきた?
いや、違うかもしれない。さっき俺、写真取られてそれを誰かに

背筋に悪寒が走った。
やばい。俺、こんなかっこで


「ち、千里さん?」


小さな声で、おずおずと聞いてみる。

返事は無い。

ただ、無言で足音がぎしぎしと近づいてくるのが分かるだけで、視界が塞がれているせいで何も見えない。怖い。

写真、送られたとしたら、誰だ?それに、たしか千里さん、すぐ来るって


「しんや?」


それでも返事は無くて、嫌だ。怖い。
信也なら、いい。
千里さんなら最悪だ。

だけれどもし、千里さんでも信也でもない、他の誰かだったらどうしよう。
勃ってたモノが急激に萎えていく。
女か男か、それすらも分からない。

足音がベッドのすぐ横で止まる。俺のこと、見下ろしてるんだと思う。
なんで、一言も喋らないんだよ。


「これ、はずして・・・!」


腕をぎしぎしいわせて、縛られた手首を必死に動かす。


「お願いだから!」


それでも侵入者は無言で、嫌だ。怖い。誰だよ。
こんな格好じゃ何されても抵抗なんて出来ない。
どうしよう。

っ?え


「ふあっやだ!いやだ!」


洗濯ばさみを弾かれると、胸に快感とは言い難い痛みが走る。
じんじんして、熱い。

嫌だ。最悪だ。
少なくとも、相手は俺を助ける気はないらしい。


「おねが・・・!とって!!」


騒ぐけれど当然のように無視。
揺さぶられて、洗濯ばさみごと引っ張られて、爪でかりかりされたりだとか。
嫌でたまらないのにこんな情けない格好で足をばたつかせることしか出来ない。
悔しくて涙が出てくる。

しつこいくらいに嬲られて、やっと洗濯ばさみが外されたと思ったら、敏感になった乳首をぬるりと生ぬるい感触がなぞって、鳥肌がたった。


「ひっ!きもちわるい」


ぴちゃぴちゃ鳴らされている水音だとか、たまに吸い付かれて、口の中で転がされる感触だとか、生暖かかったり、たまに空気が吹きかけられてぞわぞわさせられたり。

これ、この感触は、いやだ。
こいつ、おれのちくび舐めてる。


「お前誰だよ!っいやだ!やだぁっ!!!」


痛めつけられてじんじんするところを尖らせた舌先でちらちらと舐めあげられると、嫌でも背中が仰け反った。
信也にしてはねちっこすぎる気がするし、千里さんにしては普通すぎる気がする。

信也?、信也じゃない?
何とか逃げ出そうと足をばたつかせる。
おねがいだから、たすけて。このままじゃ、俺、

乳首をしつこく舐め上げられながら、とうとう侵入者の指がズボンの中に進入する。

誰に何をされようとしているのか分からない。声も顔も分からない以上確信が持てない。
恐怖と緊張で萎えたままのモノは軽く撫でられただけで、指は通り過ぎて、後ろに向かう。
さあっと血が冷めていった。


「おねがい、いやだ・・・たすけて」


こわい。信也しか、そこ
いやだ。


「いやだ!しんや!しんやじゃなきゃやだぁ!」


指の先がつぷりと音を立てて入り込んだ時、手首が擦れて嫌な音を立てるのも構わずめちゃくちゃに泣き叫んで暴れると

いきなり目の前が真っ白になった。
乱暴に目隠しがはずされたと気づいたのは、しばらく経ってからの事だった。





いきなり光に当てられて目がくらむ。
ぐちゃぐちゃに泣いているせいで目の前も潤んでいるし、なにも見えない。

それでもやっと視界がひらけて、ぼんやりと見慣れた輪郭が判別でき始めると今度は安心して涙が止まらなくなった。


「しんやぁ、っおれ」


「意地悪してごめん」


頬を撫でるのは千里さんでも他の誰かでもなく、紛れも無く信也で、
ぼろぼろと涙が止まらない俺に、信也は口付けた。

胸がつぶれそう。

信也だと分かった途端に勃起するとか。俺の体は従順だなと思う。





拘束も洗濯ばさみも外されて自由になったあと。
それでも顔が見えなくなるのが不安で堪らないから、ずっと正常位で信也の首に絡みついたまま繋がっている。
キスしてない時間のほうが少ないくらいに、何度も何度も唇を合わせて、舌を絡ませながら奥まで突っ込まれると、トべるくらいに気持ち良い。
俺だけ何度かイって余裕がないせいで呼吸が苦しくて、酸欠状態の脳ではもう何も考えられない。
舌もいい加減痺れているし顎まで垂れているのがどっちの唾液なのかも分からない。それでも信也の唇が欲しくてしょうがない。


「ひんや、も」


「ん、ちょっと我慢して」


片足が肩に掛けられる。より深くまで受け入れてしまう。


「あっだっ、ふか!あああっ!!」


「っ、は」


信也のが中でびくびく震えるのをゴム越しに感じていた。
ああ、ホントは生で欲しかったとか。
やっぱ俺の脳みそ、酸素が足りてない。






 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



結局、何がどうなってこんなことになったんだろう。
俺何がしたかったんだっけ?
肉体的にも精神的にも疲れて、ベッドを背もたれにしたまま信也が淹れたコーヒーを飲む。


「お前んとこ、なんてメールきたの?」


一応、何でこんなことになったか順を追ってみようと、どきどきしながら探ってみると、信也は信也で忌々しそうに携帯を開く。


「・・・これ。」


開かれたメールは当然だけど差出人が俺で、内容は・・・


「なんだよ!これ!!!」




『お前が構ってやらないせいで、春樹君はこの状態です。飽きられたって悩んでるよ。早く来ないと俺のにするね』



添付画像は想像よりも酷い格好で写っている俺の上半身と無表情な自撮りの千里さん。
わなわなと携帯を持つ指が震える。

構ってやらないとか、
飽きられたって悩んでるとか

そんなの直接言うなよ!
馬鹿!

こんなの、


「その後すぐ千里さんに直接連絡して・・・」


「・・・っ!」


「しょーじき千里さんにはムカついたけど、全部教えてもらって」


ぜ、ぜんぶ?って?
俺が言ったこと、全部?

うそだ


「黙ったまま触ったのは、千里さんに嫉妬してただけ。春樹、ごめんね」


「ちが、違う!」


慌てて否定する。
だから違・・・っ あーもう

こんなの、まるで俺が


「でも春樹、俺、別に飽きてないしマンネリとかじゃ、」


「ち、違う!」


「え、でも」


「だから!それはあの人が勝手に言ってるだけで、!」


「でも現に眼鏡かけてイメチェン?しようとしてたじゃん」


「〜〜〜〜っ!」


やばい。顔が熱い。


「忘れろ!馬鹿!忘れろ!」


「え、いや普通にむり・・・」


「忘れろってば!」


こんなの、まるで俺が信也の事が好きでしょうがないみたいじゃないか。





終わり。








おまけ。




「ただいまー。って、あれ?千里さん?」


用事を済ませて家に帰ると、明らかにテンションの低い千里さんが玄関先で出迎えてくれていた。

なんだ?この構ってほしくて堪らないみたいな、捨てられた犬みたいな目は。

あんまり良い予感がしない。


「佑真、俺つらい」


は?

靴を脱いで玄関に上がった途端、なぜか抱きすくめられて、首筋に顔を埋められる。


「な、なんかありました?」


どきどきしながら聞いてみると、千里さんはこくりと頷いた。


「すげー耐えてがんばったのに、電話越しにすげーキレられた」


「は?」


その後千里さんがぐちぐちと今日の出来事を順を追って話すのを、半分呆れながら聞いていた。
どうやら千里さんの言い分では、春樹に手を出すのを我慢して協力してやったのに、信也と春樹が仲直りした後、春樹から物凄くキレられた事が不満らしい。


「俺、別に悪くなくね?」


「さぁ。どうでしょうか」


もうどうでもいいよ。


「せっかく仲直りさせてやったのに。」


「まぁそれはそうなのか?な?」


「・・・今度復讐がてら春樹君苛めてやる」


「・・・ほどほどにして下さいね」


ああもう。
どうせ俺が巻き込まれるに決まってるんだから。

はぁ、と吐き出した大きなため息は部屋の壁に飲み込まれていった。

[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!