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変態は大変だ
変態は深夜歩く
家族にバレないようにそっと家を出る。

外は深夜だ。
人影も少なく、道路だって暗い。

大丈夫、大丈夫と言い聞かせながら、公園への道を急いだ。

仕事帰りのサラリーマンだろうか?通行人とすれ違うたび、車が近くを通るたび、
どくどくどく、と心臓が早鐘を打つ。

片道100メートルもないくらいの距離がとてつもなく長く感じた。

ヤバい。
俺、イケナイことをしてる。

あまりの興奮に頭がくらくらしそうだ。

街灯もほぼ無いくらいの公園は真っ暗で、流石に誰もいなかった。
俺はベンチに腰を下ろすと、ふっと一息ついた。

もうだいぶ暖かい季節になったとはいえ、夜の公園は肌寒い。
だけどそんなの感じないくらいに気分が高揚していた。
なんだ、意外といけるじゃないか。

調子に乗った俺は、トイレに行こうと腰を上げた。


・・・今思うと、これが大きな間違いだったんだ。

流石に女子トイレに入る勇気はなくて、男子トイレの個室に入る。
一応誰かいないか耳を澄まして確認した後、用を足して扉から出ようとした瞬間だった。
ちょうどトイレに入ってきた人と出くわす。

や、やばい。


「あっ!すいません!!
・・・って、そ、蒼汰・・・?」


目が合ったのは、幼なじみの純だった。

最悪だ。



「な、なんで、」


焦る俺。


「なんではこっちのセリフだ!ってゆうか、そのカッコ・・・」


蒼汰が言いかけた時だった。
じゃり。外から足音が聞こえた。
誰か来る。


純は咄嗟に俺の手をとると、一番奥の個室へと走る。


「俺、便所ー。」


若者の声が聞こえる。

間一髪、

ばたんと扉が音を立てて閉まった。

やばい、やばい、やばい、やばい!

じゃり、とまた足音がして誰かがトイレに入ってくるのがわかった。
一人のじゃない。複数だ。


頭が真っ白で、咄嗟に体が動かなかった。
きっと純がいなかったら危なかっただろう。

純は洋式の便座の蓋の上に座っており、俺はその膝の中に座っている状態だ。


「ど、」


どうしよう、と思わず言いかけた口が後ろの純の手のひらで塞がれ、動くなとばかりに胸に手を回される。


「動くな、静かに」


耳元で言われた純の言葉にこくこくと頷いた。


もし気付かれたらどうしよう。

どくん、どくん、と心臓がうるさい。

純の息遣いがちょうど首筋に当たって身じろぎしそうになった。
くすぐ、ったい
でも動いちゃ、ダメだ。


しばらくそうやっていると、用を済ませた若者達はトイレから出ていった。


「行ったみたい、だな」


俺の口の拘束を少しゆるめて、純が耳元で囁いた。

ぞくぞくっと鳥肌。


・・・・ヤバい。勃った


情けなくぷるぷる震えながら、なんとか吐息から逃げようとする俺。
お願いだ。早く離して。
バレたら終わる。


「あれ、お前・・・」


純の目線は俺の股間へ。
白いふわふわしたスカートは、分かりやすく一部分だけ盛り上がっている。

今度こそ終わった。

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