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首無しライダー
世界を蹴り飛ばした男の話(森帝)

君たちの言う"世界"とは一体全体どんなものだね



私のバカ息子も
バカ息子の恋人とかいう首なしの妖精も
私の再婚相手も

世界は自分と自分の周りの人との絆みたいなものと言う
彼らは愛という名で世界を束縛しているに違いあるまい。



あるいは、国名を並べたてる者も居る。
現実主義者というべきか。何というか。
まったくもって面白くない答えだ


もしくは、神が作ったもの語る者もいる。
信心深いことは結構だ。
私は全く興味がないがね。




「帝人。君はどう思う」

「何がですか?」

台所で料理をしていた帝人は森厳からの呼びかけに振り返り、真意を問う。
突然に「どう思う」と言われても意味が分からない。

「世界だよ。世界を構成するものは何だと思う?」

「今日はやけに哲学的ですね」

小さく笑い、帝人はかき混ぜていたシチューを一口味見する。

「ん、できた」

いい具合になった事を確認した帝人はコンロの火を止めた。

「世界ねぇ」

鍋を火から下ろしながら帝人は呟く。

「そう。世界だ」

「僕は」

シチューをかき混ぜていたオタマを洗い始めた帝人は"世界"について吟味した後、ニコリと笑った。

「僕にとっての世界は僕ですね」

「ほぅ」

今まで多くの人間から集めてきた"世界とは何か"という問いに対する解答としては初めてのものに森厳は興味が沸いたのかその理由を促す。

「僕が知らないものは僕の世界に存在しないのと同じだと思うんです。例えば、この地球の果てのどこかに宇宙人が居たとしても、僕が知らなければ、僕の世界には存在しない。だから、世界のあり方を決めるのは僕で。世界は僕そのものなんです」

「ふむ。随分と哲学的な解答だな」

「気に入りませんか?」

「気に入らん。煙に巻かれた気分だ。私は実証主義者でな。個人の認識に基づく世界など興味がない。科学で説明がつかないからな」

「科学で説明できない事を訊いてきたのは森厳さんですよ」

オタマを洗い終わった帝人は手を拭きながら苦笑する。

「む…」

図星をつかれた森厳は珍しく言葉を詰まらせ、けれど楽しそうに笑った。

「これだから君は面白い。私には思いもよらない返答ばかりだ」

「森厳さんの思考回路に合わせた返事が出来たら、人間として終わっちゃうかもしれませんね」

ふざけた調子の帝人はオタマを仕舞い、リビングのソファーでゴロゴロしている森厳の傍に寄る。

「森厳さん」

「なんだね」

「森厳さんにとって、世界って何ですか?」

「そんなものに私は興味も関心もない」

自分からした質問に対するには余りにも無責任な森厳の返事。

「今、帝人の世界に私が居ることが確認できたならば、それで良ししようではないか」

「なんですか。それ」

無責任に無分別でマイペースな森厳は帝人の体を抱き寄せ、自分の腕の中に閉じ込めた。
いきなり抱き締められたにも関わらず帝人は怒ることもなく、大人しく森厳の腕の中におさまる。

「愛してるという事だよ」

「……そういう台詞はガスマスク取ってから言ってください」

「それとこれとは話が別だ。東京の空気は汚染されている」

「愛が感じられないです」

「なら君にもガスマスクを贈ろう!!!!ペアルックだ!!!!」

テンション高く喚く森厳に帝人は小さくため息を吐いた。

―――――――――――――――――
また書いてしまった森帝(笑)
とりあえず帝人が料理してて、森厳は暇だったみたいですwww

[2011/2/6.Up]

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