首無しライダー
思い通りにならない(六帝:死ネタ)
帝人の事をどうして好きになったのかは分からない。
あいつは男でしかも俺から見たって子供、惚れても意味がないとわかっていたのに、それでも好きになってしまった。
たまに会えたらラッキー。
話せたら満足。
ついでに笑ってくれたら幸せ。
少しでもふれあいたくて「無理するなよ」とか言って頭を撫でる。それを受け入れてくれるだけで良かった。
この気持ちを気持ちを受け入れる訳はないと分かっていたから。
兄貴分でも良かったんだ。
それなのに…
今俺の目の前で帝人が泣いている。
その涙を拭ってあげたいのに、もう手が痺れて動かない。
お願いだから首を締めるロープを引く手を緩めてくれ。
そうしたら抱き締められるのに
そうしたら今までの俺のツマラナい意地を全て謝ることだって
なぁ
帝人。
信じてはくれないかもしれないけど
本気で
「愛してる」
誰よりも世界中の女の子よりも
だから俺にもう一度…
そして、帝人を泣かせたまま俺の世界は暗転した。
もう二度と会えなくなると知っていたら、もっとちゃんと…
「なぁ帝人」
「なんですか?」
暑い夏の日。
池袋をぐるぐる回ってやっと帝人を発見した千景は緊張しながらも公園のベンチに帝人を座らせた。
いつものように些細な日常会話を繰り広げてい中、ふと千景の口から今まで言わずにいた言葉が滑り落ちてしまった。
「俺、おまえの事すげぇ好きみたいだ」
「…は?」
言ってしまってからヤバいと気付き、冗談だと誤魔化そうとして無理矢理にちゃらけた笑顔を作る。
けれど、一方の帝人の顔を真っ赤に染まっていて
暑さで自分の都合のいい夢でも見始めてるんじゃないかと不安になっても、目の前の帝人の赤面っぷりは現実。
嬉しさが込み上げるものの、自分だけが告白するのもなんとなくツマラナくて、千景はぶっきらぼうに言い放つ。
「気持ち悪いとかいうなよ?俺だって驚いてんだから」
けれど、帝人の性分は分かっていた。決して自分の気持ちは言わないだろう。
ポンポンと帝人の頭を撫で、千景は笑った。
「な。帝人。俺とつき合うよな?」
もし勘違いだとしたらバッサリ切り捨ててくれていい
冗談めかして傲慢に言えば、、帝人は迷うことなく頷いてくれた。
不可能な恋が叶ったと有頂天になった千景だったけれど、すぐに問題があることに気がついてしまった。
男同士で付き合っているだなんて周りにバレてしまったら帝人の人生を破壊してしまうかもしれない。
同性愛者への差別意識は大きいことを彼は理解していたからこそ恐怖した。
自分だけが浮かれて、突っ走って、帝人を傷つけてしまうのではないか。
だから、彼は誰にも帝人のことを話さなかった。
池袋にも遊びに行かなくなった。
会うときは二人きりになれる場所を選んだ。
こういう時に携帯があればいつでも繋がっていられる。そう思うこともあったけれど、服に大体の金をつぎ込んでしまう彼に携帯代を払える余裕は無かった。
全てが思うようにいかなくなって、幸せなはずなのに、千景は常に何かを恐れていた。
もどかしい時を過ごす内に近場のチームと険悪な空気になり始めていた。
チームのメンバーから万一の時用にと無理矢理持たされた携帯。
この番号を教えたらいつでも連絡が取れる。
そう思っても、やはり他人の携帯だから、二の足を踏んでしまう。
そして、彼はいつもの様に公衆電話のボタンを押す。
何も見なくても覚えてしまった数字にニヤケつつ、千景は最愛の少年に話しかけた。
そして
全てが終わってしまった。
泣きながら自分を責め、首を締める帝人の頭を撫で、千景は願った。
愛してる
それだけは信じてほしい。
自分達の間に確かに愛があったと
それだけは信じて欲しい。
そして、最期に安堵した。
自分たちの繋がりを知る人間は居ない。
繋がる証拠もない。
自分が死んでも帝人が疑われることはないと
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六帝!!!!
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