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首無しライダー
莫迦だと罵る口はとうに朽ちたが愛を囁く思念は存外しぶとい様だよ(臨帝:死ネタ)

「帝人君。愛してる」

いつもいつも口を開けばそう言う臨也さん

「僕も愛してます」

つきあい始めた頃、それに答えるのが僕は嬉しかった。
もちろん気恥ずかしさは多かったけれど、それでもうれしさが勝っていた。
言葉っていう移ろいやすいもので何度も何度も愛を確認しあう。
馬鹿らしいかもしれないけど、それは本当に幸せだった。




「帝人君。愛してる」

それでも、受け答えが楽しかったのは最初の一ヶ月。
次第に壊れたラジオみたいに繰り返すだけの愛の言葉に返事が面倒になってしまうのは慣れなのか飽きなのか。

だから僕は「僕も」とだけ伝える。
たった三文字の省エネ愛の言葉。
そんな省エネにも臨也さんは幸せそうだった。
多分、人を愛してもその愛を返して貰ったことがない可哀想な人だから、同意だけでも嬉しいんだろう。




「帝人君、愛してる」

けれども、省エネ返事にも三カ月で限界が来てしまった。
顔を合わせる度に「愛してる」
電話越しでも「愛してる」
一日で平均すれば10分に一回は聞いてる「愛してる」
学校にいる間は聞かなくてすむけれどそれでも平均10分に一回は尋常ではない。

「愛してる」「愛してる」「愛してる」「愛してる」

壊れたラジオどころじゃない
けたたましい目覚まし時計みたいな愛の言葉。
やんわりと「分かってますから言わなくて大丈夫ですよ」と告げても壊れた目覚まし時計は止まらない。

鳴り続ける目覚まし時計ほど五月蝿いものはない。
誰だって目が覚めたら目覚まし時計を止める。
スイッチを押しても止まらなかったら電池を抜くしかない。

だから
僕も電池を抜いた。

「やっと止まった…」

馬鹿みたいに「愛してる」と言い続ける臨也さんは消えた。
僕は安心して眠れる。
そう想っていたのに


「帝人君、愛してる」

それでもまだ愛の言葉は止まらない。

ちゃんと殺して埋めたのに
電池を抜いて、バラバラに破壊したのに

「愛してる」

あの声が消えない

「僕も愛してましたよ」

だから返事をしてみる。
そうすると嬉しそうに笑う気配だけを感じた。

「愛してる」

この人は本当に馬鹿だ。
僕にとってあなたへの愛は過去形で語る程度のものなのに

「さっさと腐り果てて下さいね」

目覚まし時計が鳴り止むのはいつになるのだろうか。

―――――――――――――――――
臨也を殺しっちゃった☆
そして、さり気なくホラー


[2010/9/21.Up]

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