企画 魔法少女リリカル帝人☆V(vs包帯男:臨帝) 狼男静雄を鎮めた魔法少女帝人は恥ずかしすぎるフェイトコスから解放され、安堵の息を吐いていた。 あんな恥辱に遭遇するなんて経験。もう二度としたくない。 そう決意していたというのに… 翌夜。 帝人は再びピンチに陥っていた。 目の前には見間違えよう無く包帯男。 包帯で全身ぐるぐる巻きなのだから間違いない。 「えーっと…六条さん?」 包帯ぐるぐると来れば帝人の脳裏を過ぎるのはお洒落なTO羅丸総長。 現に、包帯男の立ち姿はやけに格好が良い。 けれど、包帯男は帝人のつぶやきがお気に召さなかったらしくヤレヤレと頭を左右に振った。 「どこをどう見たらあんなガキに見えるのかな」 「えぇっ!!?臨也さん!!!」 話しかけてきた包帯男の声は聞き間違えるわけのない臨也のもの。 予想だにしていなかった人物が正体であった事に帝人が唖然としていると シュルル 「うわっ」 臨也の指先から延びてきた包帯に両腕を絡め取られてしまう。 「ちょっと!!!臨也さん!!?何ふざけてるんですか!!!!」 「ふざける?」 帝人の怒声を鼻で笑った臨也は至極当たり前の事のように宣言した。 「帝人君がイヤらしい格好でシズちゃんなんかにすり寄るのがいけないんじゃないか」 「はぁっ!!?誰がどこですり寄ったって…」 意味不明な文句を言われた帝人が包帯から逃れようと手を振ると、シュルシュルと新たに延びてきた包帯に足を縛られてしまう。 帝人が無様に転ばなかったのは帝人の運動神経が高いわけでもバランス感覚があるわけでもなかった。 異常な強度を誇る臨也の包帯が軽々と帝人を宙吊りにしたのだ。 両手両足を大の字に広げた状態で吊された帝人は青ざめた。とてつもなく嫌な予感がしていた。 「い、臨也さん!!?やめて下さい!!!」 体を捩ろうにも包帯は強固に帝人の体を拘束する。 包帯のせいで表情はわからないものの、臨也がニヤニヤと人の悪そうな顔をして笑っているのを察した帝人は何をされるのかといった恐怖に顔をひきつらせた。 「やめる訳ないじゃない。帝人君は魔法少女で俺の敵だ。そんな君を捕まえたらする事は一つだと思わない?」 「敵って…」 強制的に魔法少女にさせられた帝人には、敵対意識なんて全くなかった。けれど、言われてみれば確かに敵対関係にあるだろう。 何しろ臨也はモンスターで 帝人はモンスター退治を生業にする魔法少女なのだから 「言っておくけど、顔見知りだからって手加減なんてしてあげないからね」 「っ!!」 ギリと包帯の締め付けがキツくなり帝人は歯を食いしばる。 変身していない今、帝人はただの貧弱な高校生にすぎない。 このままでは包帯に絞め殺されてしまうかもしれない。 そんな危惧を抱いた瞬間 『魔法少女帝人君よ!!今こそ変身の時!!!!』 どこからともなく森厳の声が聞こえてきた。 いつもと同じ余裕ぶった口調で今の状況にはいささか不釣り合い。 『さぁ叫ぶのだ。心の底から!!!!声を張り上げ!!!<フルリンキラリン♪ラブモードチェンジ!!!!>』 「誰が叫ぶかっ!!!!」 「何!!?」 思い切り拒絶の声を張り上げた帝人に臨也はビクリと肩を震わせた。 絶対的有利な立場にある臨也さえもビビらせる殺気立った帝人の怒り。 その怒りは留まるところは知らず、「森厳さんなんて爆死しろ!!!」だとか「腹かっさばいて僕に謝れ」だとか呪いの言葉を叫び続けている。 「だ…大丈夫?」 思わず心配になって声をかけてしまった臨也は殺気立った帝人に睨まれ、冷や汗を流す。 「森厳さんったら僕に恥ずかしいカッコさせるだけじゃ飽きたらず、恥ずかしいことを言わせようとするんですよ!!!」 「へ、へぇ〜大変なんだね…ちなみにどんな…」 「フルリンキラリン♪ラブモードチェンジだそうですよ」 半眼で臨也を睨みながらそう言った帝人の体が明るい光を放つ。 「え…」 来良の制服が光の粒子となって宙に溶けてゆくのと同時にブレスレットから溢れ出した黒い光が帝人の体を覆ってゆく。 両手足を縛られながらの変身というサービスシーンであるのにも関わらず、大事な所は黒い光が隠しているのはお約束。 両手には黒の手袋 両足は黒のロングブーツ やたら短い黒のショートパンツはやけに太い銀のベルトが誂えられている。 上半身はビキニの上みたいな黒い布が申し訳程度についているだけ。 唯一マシと判断できるのはフード付きの黒のコートが腹チラやら肩チラやら脇チラやらをなんとか隠せている。 そして帝人の見開いた目には青い炎が宿っていた。 「ブ…ブラックロックシューター!!!?」 自分の服装を見た帝人は新しいコスプレの元ネタを叫ぶ。叫んだ拍子にツインテールが視界に入り、げんなりとしてしまう。 「くっ…帝人君…」 変身が終わるまでちゃんと待ってくれていた臨也は帝人の姿に言葉を失った。 頬を伝う汗を拭うこともできずに臨也は包帯に拘束されたままのブラックロックシューターコスプレの帝人を見上げ、 そして満面の笑みで叫んだ。 「それ色っぽすぎるよ!!!!」 「……物凄く気持ち悪いです」 初音ミクがこの格好をするからエロ可愛いを実現できているのだと帝人は心の中で主張し、興奮気味に自分を見上げてくる臨也にドン引きした。 ドン引きしている所で包帯に拘束されている現状は変わらない。扇情的な服装で拘束されている帝人は実際、臨也の言うとおり色気がある。それはもう垂涎ものの色気だ。 そんな帝人に興奮した臨也は携帯で写メを撮っていく。 観賞用にするつもりらしい。 臨也の変態行為にドン引きしていた帝人は写真として自分の恥ずかしい恰好が残されるという恐怖に震えた。 こんな服を着るだけでも恥ずかしいというのに、写真なんて撮られたら… 顔を真っ赤にさせた帝人はとてつもない羞恥にうっすらと涙を浮かべ、そして、キレた。 「臨也さん。死んで下さい」 大人しい子ほどキレると恐ろしいものである。 コスチュームのおかげで増加した筋力をフルに使い、包帯を振り払った帝人は穏やかとも言える笑顔で臨也の脳天に蹴りを入れた。 増強された脚力を制限もせずに発揮した蹴りは臨也をいとも容易くアスファルトにのめり込ませてしまう。 「がはっ」 抵抗さえできずに地面に叩きつけられた臨也は最後に一言だけ呟き、意識を失った。 「パ、パンツが見えない…」 「…………気持ち悪いです」 ―――――――――――――――― 私の頭が気持ち悪いと思います [2011/2/19.Up] [*前へ][次へ#] [戻る] |