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企画
にゃんこパーティーにようこそ!!!(平和島サンド)

静ちゃんと同居設定




「ほうとう鍋とかいいかも」

スーパーの一角。カボチャがゴロゴロと山積みにされたワゴンを発見した帝人はそんな事を思う。

最近は寒いし、温かい鍋料理は最高の季節になってきている。
何より楽だ。
食材を切っておけば後はそれだけ

「うん。そうしよう」

意外と安かったカボチャを購入。後は生うどんやら他の野菜やらを購入した帝人は意気揚々と家路についた。
今日は静雄さんの帰りも早いみたいだし、もう帰ってるといいなぁ
なんて幸せな事を考えながら歩く帝人は

「帝人君」

誰かに声をかけられたのと同時に柔らかい何かに顔面をぶつけた。

「うぷっ」

「ああ…ごめん。大丈夫?」

淡々としながらも耳に心地良い美声は聞き知ったもので、帝人はパッと顔を上げた。

「幽さん」

「大丈夫?鼻赤くなってる」

チョンチョンと鼻を突かれた帝人は羞恥に頬を染めつつも、自分が幽に激突した現実をやっと把握する。

「大丈夫です。それに僕こそごめんなさい。ちゃんと前見てなくて」

「別に構わない」

無表情で言われるてしまうと本当にそう思っているのか分からない。
けれど良く顔を合わせる帝人にしてみれば雰囲気だけで言葉の真意を読みとれてしまう。
本当に気にしていないと悟った帝人は一安心の笑みを幽に向けた。

「役得だし」

「幽さんの冗談のセンスって突き抜けてますよね」

その後の幽の台詞に笑顔はすぐに困惑気なものになってしまったけれど

「今から帰り?」

「はい。夕飯の買い物です」

「ふぅん」

両手にスーパーのビニール袋を持つ帝人。重いのか指先の血の気が引いてしまっている。さらには腕も微妙にプルプルしている。

「貸して。持つから」

「え、でも」

大きい袋を帝人の手から引ったくった幽は軽々とそれを持ってしまう。

「俺も兄貴に用事あるから」

ついでだから気にするなと暗に伝えてくる幽の優しさに静雄の不器用な優しさを思い起こした帝人は「やっぱり似てますね」と伝える。

「兄貴と比べないでよ」

弟の定番な台詞に帝人はクスリと笑った。





「何をしてるんだお前は」

家に帰った静雄は出迎えにきたエプロン姿の幽を鬱陶しそうに睨んだ。

「帝人君と料理してただけ」

一方の幽は平然と返す。

「いや…それはわかっけど」

ポリポリと頬を掻いた静雄は弟の頭をガン見する。
幽の頭の上にあるのは紛れもなく猫耳カチューシャ。

「ああ。これ?」

静雄の視線がどこに向いたのか気付いたらしい幽は無表情のまま「スタッフに貰った」と返す。
幽に猫耳を渡したスタッフの行動も謎だが、それをご丁寧に装着している幽も謎だ。
静雄は首を傾げるしかできない。


「幽さーん。やっぱり動きづらいですよ」

困りきったみたいな声を上げ、台所から顔を出した帝人は静雄の帰宅に今更気づき、嬉しそうに笑った。

「お帰りなさい!!!」

愛らしい笑顔に静雄は頬を緩め、「ただいま」と言おうとしたが、帝人の姿に硬直した。

幽と同じ黒い猫耳カチューシャ。
さらに猫手グローブに猫足ブーツ。
そしてもちろんエプロン。

「やっぱりこの手外していいですか?動かしにくいんです」

動揺する静雄をスルーして帝人は幽に言う。

「え、ダメだよ。せっかく着けたんだから」

幽はあっさりと帝人の頼みを断ってしまう。

「でも料理するには危ないじゃないですか」

「だから俺が全部やる。帝人君は兄貴の相手してあげて。なんかフリーズしてるみたい」

「えぇっ!!?静雄さんどうしたんですか!!!!?」

幽の言葉に帝人は慌てて静雄のもとに駆け寄る。確かに玄関で呆然と立ち尽くす静雄は顔を真っ赤にさせ、完全に固まっていた。
そんな静雄の頬をペチペチと猫手グローブで叩く帝人。
背伸びをしてそんな事をする可愛らしい帝人の後ろ姿に無表情ながらも穏やかな笑みを浮かべた幽は台所へと戻ってゆく。

一緒に猫コスして料理をするという幸せを堪能した幽は、少しくらい静雄にも良い思いをさせないと喧嘩になると兄弟故の経験で理解していた。


そんな幽の譲歩はさておき、ペチペチと優しく叩かれる感触に再起動した静雄は余りにも近くにあった帝人の顔をますます顔を赤く染める。

「な…なんてカッコ……」

わなわなと震える唇が紡いだ言葉に帝人は苦笑する。

「変ですよね。嫌だって言っても幽さんが聞いてくれないんです」

幽グッジョブ!!!!
と珍しく弟を誉めた静雄はガシリと帝人の肩を掴む。

「その、あのだな!!!!なんて言えばいーんだ…そう!!!!!」

混乱しきったまま静雄はやっと覚悟を決めたのか。
「似合ってる」
とだけ口にした。

その言葉に目を丸くした帝人はイタズラっぽく笑うと、どこに忍ばせていたのか金色の猫耳カチューシャを取り出す。

「静雄さんも似合うと思いますから付けてくださいね」

「いや…なんで俺が!!!?」

「ほらぁ。ちょっと屈んで下さい」

クスクスと笑いながら帝人は猫手グローブで静雄の服を引く。
その仕草のあまりの可愛らしさに絆されて屈んだ静雄の頭に帝人の手によって耳が付けられる。

「幽さーん。静雄さんも猫です!!!」

「こっちもできたよ」

台所から鍋を持ち出した幽はチラリと静雄の頭を見、無表情で言う。

「ふーん。意外と兄貴も似合うんだ」

「幽さん!!!静雄さん!!!早く猫耳鍋パーティーしましょう!!!!」

幽の一言に青筋を立てた静雄の事には全く気付かず、帝人は軽やかな足取りでリビングへと行ってしまった。

「幽よぉ…」

「なに?」

「猫耳鍋パーティーって何だ」

「さぁ。俺に聞かれても。でも帝人君が楽しそうだから別にいいんじゃない?」

「それもそうだな」

大雑把な結論に達した兄弟は楽しそうに笑っている帝人の待つリビングへと向かった。

――――――――――――――――
サンドってこういうのなんでしょうか?
帝人様のテンションが高いのは平和島兄弟が猫耳つけるという非日常に遭遇しているからという事にして下さい
私にもよく分かりません(笑)


里芋のほうとう鍋も美味しいですが
私はカボチャの方が好きです

[2011/2/14.Up]

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