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企画
実験(オリキャラ: 紅夜雪姫さんからのリク)
【実験】

とある部屋。
そこは何の変哲の無い白い壁、白いタイルの床、白い天井で囲まれた真四角の部屋。

窓も何もない部屋の中央にはコタツが一つ。
真っ白で無機質なその部屋には全く似付かわしくない暖かみのあるオレンジの布団の掛かったコタツだ。

そのコタツに四人の男が入っていた。


一人目は部屋と同じ真っ白な男。
長い白髪を肩胛骨の上辺りで大雑把に結わえたその男は真っ白なスーツを着込んでいる。コタツには似合わない姿。名をヴァイスという。

二人目も一人目と同じ年の頃の男。短い黒髪に前髪の一部分だけ青のメッシュを入れたその男は何やら装飾過剰だった。やはりコタツには似合わない姿。名をルーというが、自分で勝手に付けた名前だったりするのはまた別の話。

三人目はそれまでの男達とは異なりまだ少年と言える年頃。緑の髪に緑の瞳の少年の着ている服は麻100%の薄茶色のつなぎ。柔らかい少女めいた顔立ちには些か似合っていない服装である。グリリン・グリーンという名は彼が妖精さんから貰った名前だったりする。

最後の四人目も少年だった。ほわわんとした呑気な空気感のその少年の頭頂にはアホ毛が自己主張している。糖留という名の通り極度の甘党。よく言えばスイーツ男子という奴だ。



「何で俺様がこんな所に」

うんざりとした様子で口を開いたのはルー。

「クリスマスは女の子をメロメロにして幸せにしてやるのが俺様の仕事だってのによぉ」

「へー」

興味なさそうにヴァイスが相槌を打つ。

「我が輩もケーキがないクリスマスなんて嫌…」

ぐったりとした様子で糖留が呟くと

「僕の花壇…」

グリリンが気もそぞろに呟く。

因みにコタツの上にはミカンや煎餅と言ったお約束のアイテムは無く、何故かカセットコンロが一つ。

「マジやる気しねー」
「ケーキ食べたい」
「そろそろ水をあげにいかなきゃ」

グダグダと文句を言い続ける三人にヴァイスは溜息を吐いた。

このままでは何の進展もせずに話が終わってしまう!!!!
とかいう危惧を抱いているのは、さすがに主人公をやっているだけあって真面目である。

だが…

「………」

真面目なだけで決定打に欠ける。それがヴァイスだ。
何一つ会話の糸口さえ見当たらない現状において彼は余りにも無力。

そんな無意味な空気に亀裂が入ったのは次の瞬間だった。

「あーもう!!!信じらんない!!!!僕を差し置いてクリスマス小説にリクって貰っておきながらやる気ないって何事!!!??」

どこからともなく現れた子供がキャンキャンと叫び、手に持っていた土鍋をカセットコンロの上に設置する。

「ネタが無いならもう強制するからね!!!」

腰に手をあて、偉そうに叫ぶ銀髪銀眼の子供。

「皆で協力して鍋パーティーをする事!!!!」

「はぁ!!?」

真っ先に反応したのはルー。

「鍋ってのは女と二人っきりでツツくもんだぜ!!!?」

科学的に証明されている女の落とし方である事は確かなのだが、別にそれを今主張しても何の甲斐もない。

むしろ…

「シー君パーンチo-_-)=○☆」
「げぶほぉっ」

可愛らしい声とは裏腹に意外と強力なパンチだったらしく男は錐揉み状態で部屋の壁に吹き飛ばされる。
少年の機嫌を損ねるだけだった…

「僕に逆らうと天罰だからね(^言^)」

マジすぎる気配を漂わせた笑顔に残された三人はかくかくと首を上下に振るしか出来なかった。




「じゃあ僕は帰るけど何かあったらしゃしゃり出てくるからねー」

元気一杯に不吉な宣言をした少年は現れた時と同じ唐突さでもって姿を消した。

「さ…さぁあの子も言っていたし鍋を作ろうか」

「我が輩の好きなものいれていい?」
「じゃあ僕も入れる」

和気藹々と三人はあの暴君が置いていった冷蔵庫から食材を取り出す。コタツからでるのが面倒なのかコタツごと移動したその姿は気持ち悪いヤドカリの様。


「おい…いくら何でも俺様を心配するフリ位しろって。世界中の女を虜にする俺様の顔に傷が付いたら人類の損失だぜ。いや、むしろ俺様級の格好良さなら少し傷があっても映えるか」

壁に激突したルーの戯言に誰も反応を示さない。
ただ一心に「鍋しないと次は自分がヤラレル!!」という恐怖に突き動かされていたのだ。
シー君パンチの威力恐るべし。



「これで久々に食事が出来る!!!」

冷蔵庫に溢れんばかりに押し込められた食材に大喜びするヴァイスの隣では

「ケーキもあるー」

と糖留が万歳三唱し

「僕の作った野菜の方が瑞々しい」

とグリリンがセロリをカジりながら呟いている。


「……………俺様のすばらしさが分からない可哀想な連中め」

悪態を吐きながらルーもコタツに戻ってくる。


だが、彼は見てしまった。

有り得ない鍋の中を


野菜が所狭しに入っているのはまぁいい。
ヘルシーだし。
だが、どこかで見た事があるよーなないよーな。微妙な草が紛れ込んでいるのは気のせいだろうか。

「素晴らしい!!!!菜園を作る為に処分される運命の草を再利用するなんて!!!」
「いやぁ〜鍋の中に雑草が入ってないとどうも落ち着かなくて」

なんて聞こえてくるのは空耳に違いない。

「僕も常々彼らをなんとか出来ないかって考えていたんだ!!!!僕より先に彼らを無駄にしない方法を思いつくなんて!!!!アナタも僕と同じ植物愛に生きる人間!!!!」

「ただ貧乏なだけだって…」

「そんな謙遜はいらない!!!師匠って呼ばせてくれ!!!!」


「マジかよ!!!?」

ヴァイスとグリリンの会話に、軽薄だがマトモな食生活を送ってきたルーは思わず叫び、鍋から雑草を取り除こうとするが

「貴様、肥料にするぞ」

グリリンのドスの効いた声に固まる。
グリリンはまるで害虫を見るみたいな目でルーを見つめ、何故かその手にはスコップが

そのスコップの端がどす黒く汚れているのを目撃したルーは雑草を取ろうとした菜箸を下ろすしか出来なかった。あの色は絶対に土いじりで付く色ではない。
なんか本気で肥料にされそうだ。


「大丈夫。だって雑草だって植物は植物だし、食えるよ…多分」

自分に言い聞かせるかの様にそんな事を呟いているルーは余りにも哀れだったが誰もそんなの気にしていなかった。

ヴァイスとグリリンは雑草汁について熱く語り合っていたし


糖留は

「甘いのは皆の幸せの素〜」

るんるんと鍋に大量の砂糖をぶち込むのに必死だった。
特大業務用50kgと書かれた巨大な袋を軽々と抱え、熱々の湯の中に砂糖を容赦なく入れてゆく。
いつの間にか湯に謎のトロミが付いてきているのは気のせいではない。

「ちょっおまっ!!?何やってんだよ!!?」

「我が輩、味付けをしてるよ」

地球に重力がある。そんな当たり前の事を言う様な自然さで糖留は己の所業を語る。

「いやいやいや!!!それただの砂糖水だから!!!」

ルーの指摘は尤もだ。
だが糖留の心には何も伝わっていないらしい。

「そうだよ。でも飽和水溶液は人を幸せにする力があるって我が輩知ってる」

完全に意味不明である。

「少なくとも俺様は幸せになれそーもねぇよ」

あんな気色悪い物体食べさせられたら一瞬で糖尿にされちまう!!と勢い込んで言うものの、「我が輩は糖尿病じゃないよ」なんて返事が来る。

「ルーも食べれば分かるよ」

悪意の欠片もない糖留は満面の笑みでドロッとした液体を器に寄そう。
もはや水飴みたいな状態だ。

水飴に閉じこめられた野菜と雑草を箸で摘めば、ヌタリと糸を引く。

「野郎だけってのも有り得ねぇのに…なんでこんなゲテモノ料理を……」


糖留に渡された器をコタツに置き、顔を背けるルーに
「我が輩、ルーは我が儘ばっかりだって思う」

「そんなんじゃ立派な大人になれない!!!!!」

口々に年下の糖留とグリリンが文句を言う。
それでもルーは決して雑草砂糖汁を食べようとはしなかった。
まぁ、普通の人間としては当然である。


「普通にウマいのになぁ」

ヴァイスは暢気に鍋を食べながらもめ続ける三人をほんやりと見ていた。

――――――――――――――――
紅夜さん
こんなんでいいでしょうか[壁]_-)

……だめですよね
すみませぬm(_ _)m

ルー、糖留、グリリンの三人は私が設定を作って紅夜さんの世界で暴れさせて貰っている傍迷惑な奴らです(笑)

紅夜さんのホムペへはリンクから行けますよー


ルーが可哀想な人になり果てているのは仕方ないですよね
だって糖留とグリリンって話聞かないんだもん


そしてクリスマスに無関係すぎて……(>_<)
この三人を一緒にしちゃだめって事は分かりましたけどね(笑)

シー君出さないと話進められなかったもの
シー君は便利だと思います♪




[2009/12/24 Up]

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あきゅろす。
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