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企画
大掃除をしよう!!!(青帝)

「青葉のヤローの部屋、滅茶苦茶汚いんすよー」
「ヒヒッ」
「ゴミの海に埋もれ死ね」

とかなんとか口々に言うブルスクメンバーに背中を押され(かなり強引にグイグイ押された感じだったが)帝人は青葉の部屋に来ていた。
そして部屋を見回し、落胆気味に一言。

「思ったより綺麗だね」

「せ、先輩!!?」

絶賛大掃除中です!!!みたいな捻り鉢巻きをした青葉は急にやってきた帝人に少しばかり面食らっているのか狼狽えているのか、あわあわと両手を無意味に振り回している。

「ブルースクウェアの皆が青葉君の部屋がゴミ溜めみたいだって言うから大掃除手伝いに来たんだ。ホラ、僕の部屋って物がなくって、すぐに終わっちゃったんだ」

どことなくガッカリした様子で帝人は言う。

「あーそれはスミマセン。期待していたような汚さじゃなくって」

非日常的な汚い部屋を期待して顔を出した帝人の期待を思い切り裏切ってしまった気分になってしまった青葉は思わず謝ってしまう。
実際、帝人の勝手な期待は裏切られていたけれど、青葉には何も関係がないこと。謝る必要なんて欠片もなかった。
それでも反射的に謝る青葉の反応にクスリと笑い、帝人は床に転がる雑誌を手に取った。

「まずはゴミ捨てからやらないとね」

「あ…はい。手伝ってくれるんですか?」

「最初からそう言ってるじゃない」

「ありがとうございます!!!」

足の踏み場もない。というレベルではないものの、床に物が散乱している状態を作り出した張本人である青葉には正直言って何から始めればいいのか分からなかった。
帝人が会いに来てくれただけでもうれしいというのに
手伝ってくれるだなんて相乗効果みたいに嬉しくて仕方ない。

「じゃあ、この雑誌を纏めちゃおうか。古紙回収っていつ?」

「え?」

早速床に散らばる雑誌類を手に取り出した帝人の言葉に青葉は耳を疑った。

「先輩!!?ダメです!!それはまた後で読むから取ってあるんですってば!!!!」

「三年前のなのに?」

「だから読み返したくなることがあって…」

「随分ホコリ被ってるけど、今年、一回でも開いた?」

「え…それは…その」

「無いよね?」

「う…」

「無いんだよね?」

「うぅ…」

悔しそうに唇を噛み締めた青葉は最後には弱々しく頷いた。いつか為になると思って取っておいたのだけれど、実際に日の目を見たことはなかった。

「はい。捨て」

帝人は非情にも青葉の執着を切り捨ててしまった。

「せめて特集ページくらい切り取」

「そういうことするからゴミが溜まるし大掃除も進まないんだと思うよ」

切り取りさせてください。
と言い切る前にバッサリと拒絶され、ガクリと青葉は肩を落とした。
横暴すぎる。
まるで物の価値を分かってくれないオカーサンみたいじゃないか。
とかちょっぴり思っている間に

「うん。雑誌は終わった。次は棚の中。青葉君。いつまでも落ち込んでると全部捨てるからね」

テキパキと雑誌を縛り上げた帝人は恐ろしい台詞を吐き、一つの引き出しに手をかけた。

「えぇっ!!?先輩!!!そこは待ってください!!!?」

「え?」

ガタリ
青葉の制止も虚しく、引き出しを開かれてしまう。

「…」

中身を見た瞬間に帝人は完全に黙り込んでしまった。
エロ本を見つけたオカーサン以上の殺気を全身から迸らせた帝人は引き出しの中のノートを取り出す。

「青葉君」

「は、はいっ!!!」

「これ何?『帝人先輩ブックその5』」

表紙に書かれた文字を読んだ帝人はペラリと表紙をめくる。

「10/10体育祭で走る先輩
10/10お昼ご飯食べ終わってねむそうな先輩」

グシャ

「ああっ」

帝人が手に力を込めるとノートはあっさりと折れてしまう。
そんな光景に青葉は絶望の悲鳴を上げた。
せっかく撮り溜めた帝人の写真が

「これも捨て」

「えー!!!!!」

「要らないよね?」

「要ります!!!!毎朝毎晩見てます!!!」

「要らないよね?」

「いつも見てます!!!!だから」

「僕が居るんだからいいじゃない」

「え?今なんて」

強固に抵抗していた青葉は思わぬ帝人の言葉に目を丸くする。

「何度も言わせないでよ。僕だって恥ずかしいんだから」

頬を赤く染めた帝人という素晴らしいシャッターチャンスを得ながらも青葉は沸騰しそうな血のせいでそんなことまで気が回らなかった。

「という訳で捨てるから」

「あ…はい。どうぞ」

何も考えることができない位に幸せな言葉を耳にした青葉は苦労の結晶の廃棄に同意してしまう。


「それと」

引き出しの奥からビニール袋に入った赤黒く汚れたボールペンを取り出した帝人はニコリと笑う

「これってもしかして」

「はい!!!!先輩が俺を初めて刺してくれた記念です」

「…ゴミ漁ったんだ」

「愛の力です!!!!!」

「青葉君って凄く気持ち悪いよね」

こびりついた血が汚くて捨てたボールペン。
そんなものを他人が保管しているという気持ち悪すぎる現実から目をそらしかけた帝人は、そのペンをゴミ袋に思い切り投げ入れた。

「なんでこんなのが好きなんだろ?」

帝人の中の最大の疑問に答えは返ってこなかった。

―――――――――――――――
青帝ー
stkすぎる青葉部屋を掃除しようの巻き
でも青葉君の部屋って元々綺麗そうだなぁって思います

[2010/12/24.Up]

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