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企画
魔法少女リリカル帝人☆U(vs狼男)


一人、夜の街を歩くフェイトちゃん。
ではなく魔法少女竜ヶ峰帝人。


コソコソと電柱の陰に隠れて移動する姿は不審者そのものだ。
冷静に考えてフェイトコスをして夜の街を徘徊するのは変質者という誹りを受けても拒絶できないだろう。

唯一の救いはやたら似合っている事ぐらい。
その事実さえ帝人にとっては恥辱に等しかったりするのだが、救いの手は訪れる訳もない。


「ううっ」

涙ながらに帝人は歩を進める。
この精神を削り取られる様な苦痛から逃れる為にはなんとしてもモンスターを退治しなけるばならない。
スライムみたいなレベル低そうなのキボンヌ!!!!
と心の底から思いながら帝人は辺りを見回す。


「居ないし…」


都合良くモンスターが見つかる訳もなく帝人は溜息を吐く。
魔都池袋のモンスター出現率が馬鹿みたいに高いとは言え、一歩歩く度に遭遇する訳でもなく、ただ誰もいない道が続いているだけ。


夜風が内股を撫でる得も言われぬ感覚にとうとう心が折れた帝人は電信柱の傍に座り込んでしまう。

「もう無理」

うっすらと涙を浮かべつつ、帝人は自分の肩を抱く。
全身から溢れ出す屈辱に耐えるにはそうするしかなかった。

「森厳さんなんて禿死ねばいいんだ」

呪いの言葉を吐く帝人は完全に自分の世界に閉じこもりつつあった。




「大丈夫か?」

「うひゃあ!!!!!」

背後から声をかけた何者かに肩をポンと叩かれ、帝人は間抜けな悲鳴を上げてしまう。
そのお陰というかなんというか、閉じこもりかけた心やら思考回路やらが復活する。

「竜ヶ峰…?」

過剰な反応と奇怪な姿に驚きつつも、よく聞き知った声に、声をかけた平和島静雄は帝人の名を呟いた。

「いや…まさかな」

俺疲れてんのか?
と頬をかきながら、静雄は明後日の方を向く。

真面目な竜ヶ峰がこんな頭のオカシイ格好をする訳がない。ちょっと声が似てるだけの別人だ。
と判断した静雄だったが

小さな背中はよく見知ったもの。

「驚かせちまって悪いな」

謝罪を口にする静雄に帝人は震える体を止める事ができなかった。

知り合いにもほどがありすぎる。
こんな恥ずかしい格好を見られたら軽く死ねる。と思った帝人は「イエイエ!!!ダイジョブですヨ!!!!」わざとらしく声のトーンを上げ、別人アピールをする。
動揺のせいか片言になってしまっているのはご愛敬。


「……」


挙動不審すぎる帝人の背をジッと見ていた静雄はますます心配そうな顔をする。
短気な暴れん坊と見られがちだが、平和島静雄という男は基本的に優しい男だった。
夜道でしゃがみこむ位に体調の悪そうな人間を放置するなどできる筈もない。

「具合わりぃなら休めるトコつれてっから。立てるか?」

帝人の正面に周り、手を差し伸べた静雄は余りの反応のなさにしゃがみこんだ。

「こんなところに居たら良くなるもんもよくなんないぞ」

心から心配している静雄だったが、視線を合わせる為に帝人の顔を見て、硬直した。

「え…」

「あ…」

見られてしまった帝人も跋が悪そうな顔をするしかない。
今更何を言ったところで言い逃れなどできないだろう。

「その…これは…知り合いに言われて…僕の趣味って訳じゃないですからね!!!」

ただ、最低ラインの誤解は解きたい帝人は趣味ではない事だけを主張する。
その言葉を聞いているのかいないのか、静雄はジッと帝人を見つめたまま動かない。

「あの…静雄さん?」

衝撃が大きすぎたのかな。と不安になりながら静雄の名を呼び、顔の前で手を振ってみる。

途端。
ボッと一瞬で静雄の顔が真っ赤に染まる。

「りゅ…りゅりゅりゅ!!!!」

「えーと…聞いてますか?」

意味不明な叫び声を上げる静雄。
ちょっと引きながらも帝人は静雄を正気に戻そうと彼の肩に手を置く。

途端

「うるぅあああああ!!!」

静雄が意味不明な声を上げ、背中を思い切り反らせて立ち上がる。
「がぁぁぁぁ!!!!」


え、ナニコレ怖い

ガタガタと震え、後ずさる帝人はとんでもないものを目撃してしまった。

静雄の筋肉が異様に盛り上がり、ベストとシャツが音を立てて裂ける瞬間を
ふさふさとした金色の尻尾が生えてくる瞬間を
さらには頭から耳が生えてくる瞬間を

「えぇーっ!!!!」

そう。平和島静雄は狼男だったのだ。


「ぐるぅああああ!!!!」

なんか意味不明のうなり声を上げる静雄は目をギラギラさせて帝人の肩をガシッと掴む。

「いたっ」

もともと馬鹿力の静雄が手加減をせずに肩を掴むものだから帝人の体がギシリとイヤな音を立てて軋んだ。
肉体が破壊されないのはフェイトコスに内蔵された肉体強化のお陰なのだが、痛みすらカットできる訳ではなく、帝人は最早涙目だった。

「し…静雄さん!!!」

はっはっはっはっと獣じみた荒い息を吐き、長い舌で目元の涙を舐める静雄からは理性が全く感じられない。

このまま食べられる!!!!

本能的な恐怖に襲われた帝人は動くことすらできなくて、目を見開いたまま静雄を見上げるしかできなかった。
はらはらと零れ落ちる涙は次から次へと静雄が舐めてしまう。

「やめて…」

固まったまま帝人は拒絶を口にする。
獣と化した静雄にもその声は届いたのかピクリと耳が動いた。

「やめて、下さい」

頬を舐める舌が止まり、涙が帝人の頬を伝う。
それを拭うことなく、帝人は懇願した。

「怖いです…だから止めて」

「あ…」

僅かに瞳に理性を取り戻した静雄は戸惑ったように自分の手と帝人の顔とを見比べる。

「静雄さん。助けて」

「あああああああ!!!!!!」

またもや叫びだした静雄であったが、今度は先ほどものとはどことなく雰囲気が違っていた。
自分の頭を抱え、天に向かって叫ぶ静雄はあたかも欲求と戦っているかのよう。

そして、絶叫が止んだ頃。

「…竜ヶ峰」

「は、はい!!!」

静かに落ち着いて静雄は口を開いた。

「悪かった」

「え…」

「なんか暴走しちまったみたいで」

すまなさそうに謝る静雄はチラリと帝人を見た瞬間に顔を真っ赤にする。
自分が先ほどまでしていた暴挙を思い出して「あう」だとか「しまった」だとか呟き出す始末。
獣耳は生えているままだけれでも、さっきまでの恥ずかしすぎる所行を恥じる理性は取り戻したらしい。

「静雄さん。お帰りなさい」

安心しきった帝人の笑顔を迎えられた静雄は頭を掻き毟り、「おぅ」とだけ答えた。

―――――――――――――――
ちょっ!!!意味不すぐる!!!
これは…静帝なのか?

えーっと

とりあえずこのシリーズ?は基本的に

萌が天外突破

モンスター化

帝人の反応で我に返る

元通り

みたいな流れで行こうかと

ただ…これってモンスター退治してないよねって話www

[2010/12/10.Up]

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あきゅろす。
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