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企画
狼男さんの我慢の限界(六帝:微エロ風味)

「ハッピーハロウィーン!!!!」

休日を自宅でゴロゴログダグダしていた帝人は素っ頓狂な発言にも「あーはいはい。お疲れさま」だなんてやる気ない発言をした。

「なぁハニー。そんなスルーするなよ」

合い鍵を使って堂々と帝人の部屋に上がった千景は床に転がり背中を向けている帝人に声をかける。
しかしゴロゴログダグダしすぎて脳味噌の回転数も落ちているのか帝人は「はいはい」と適当そのものの返事。
あまりに酷すぎる対応に溜息を一つ吐いた千景は帝人のそばに座る。

「ハニー。ハッピーハロウィーン」

「全くさっきから一体なんなんですか」

甘い声で囁いてくる千景の言葉にやって反応した帝人は面倒そうに視線を千景に向け、思い切り顔を歪めた。

「キモいです」

「…最近俺の扱い酷いな」

カラカラと笑う千景の頭の上には帽子ではなく獣耳。ついでに口には何故か牙。
そして手はふわふわした茶色の毛並みをした手袋で覆われている。

「猫耳ですか?」

「いんや。狼男。尻尾もあるぜ」

腰の方をみれば確かにふさふさとした尻尾が…

「いったい何を」

「だからさっきも言っただろ。ハロウィンだから仮装をな」

「…千景さん」

「ん?」

「イタいです」

真顔で告げられた言葉に「お前なぁ〜」と苦笑しながら千景はふかふかの手袋を着けたまま、帝人の頭を撫でる。

「まだ俺たち子供なんだから馬鹿みたいなイベントに乗ってもいいじゃねぇか」

「子供と言っても四捨五入したら20になるんですよ?仮装とか有り得ないですって」

「じゃあ帝人は用意してないのか?」

「当たり前じゃないですか」

当然の様に帝人が返答すると千景は「はぁ〜」と深い溜息を吐いた。

「じゃあお菓子は」

「ある訳ないですよ」

「昨日メールしたの覚えてない?」

「メール?」

そんな事したっけ?と思いつつ、携帯を手繰り寄せると未読メールが一通。

「ああ。読んでませんでした」

「お前なぁ」

三度溜息を吐いた千景が顔を覆い、やけにガッカリした様子。

「でも、返信ないのに決行するとか無茶すぎますって」

「だって嫌なことならソッコーで嫌だって返信するじゃねぇか。それがないからOKだと思ったんだよ。それに恋人なら普通やるだろ」

少々不機嫌そうな顔をする千景。完全な勘違いと空回りと先走りだと本人も理解しているが、それを認めたくないのだろう。唇まで尖らせている。

「だったら俺が帝人の分も用意すりゃ良かった」

ブツブツと文句を言う千景に帝人は頭が痛くなっていた。
今まで付き合っていた女性たちはこういったイベントごとは好きだったのかもしれない。けれど、自分は男でイベント事には疎いのだ。
そもそも今日がハロウィンなんてさっき知ったばかり。

「赤頭巾とか絶対可愛いのに…」

「千景さんなんて猟師に撃たれればいいんです」

いささか気分を害した帝人は棘のある言葉を返してしまう。
女装させようだなんて女扱いにも程がある。
しかも、過去につきあった女性と同じ様な扱いをされているのは不愉快だった。
何が"普通ならやる"だ。
今までの彼女たちとは普通だったとしても自分は違う。
こういったイベント事にはも欠片も興味がない。
十把一絡げなんて腹が立ってくる。



「あ」

何かに気づいたらしい千景が尖っていた唇を元に戻し、ニヤリと笑う。

「帝人」

「なんですか」

「嫉妬した?」

「………………」

「やっぱしたんだな」

過去に付き合った女にまで嫉妬してしまう事実を言い当てられ、帝人は完全に言葉を失う。

「そ、そんな訳ないじゃないですか。どんだけ自信家なんですか」

「まぁそういう事でもいいけどさ」

深くは追求せずに千景は帝人の体をギュッと抱き寄せた。

「なぁ」

「な、なんですか!!!?離して下さい!!!!」

「悪戯していいか?」

ペロリと耳を舐め上げられ、「ひゃあ!!!!」と悲鳴を上げてしまった帝人は顔を真っ赤にさせ身を捩る。

「可愛い」

笑いを含んだ甘い声に背筋がゾクゾクしてしまうのは過去の女に嫉妬してしまう位に千景の事が好きだから。

「帝人。お菓子くれなきゃ悪戯するぜ」

はむはむと耳を甘噛みされ、帝人はキュッと眉間に皺を寄せた。

「お菓子ないって…知ってる、癖に…ひゃっ!!!」

首筋を舐め上げられ、再度情けない声を上げてしまう。

「やべぇ。マジで可愛い」

欲情しきった千景の声に帝人は心臓が破裂しそうになりながらも首を左右に振る。

「今、まだお昼!!!!何盛って、るんですか」

千景から逃れようとしても力の差は歴然。ビクリともしない。

「夜ならいいのかよ」

「う…」

揚げ足を取られてしまうと返答のしようがない。
困ったように目を動かす帝人に千景は溜息を吐き、抱き締める手を緩めた。

「嫌がってんのに無理矢理する訳ないから安心しな」

身を離し、笑顔を向ける千景。
温もりも離れてしまったような気がしてしまい、なんとも居心地が悪い思いをした帝人だったが、何となく視線を向けた千景の下半身に固まってしまう。

「わりぃ。あんま見ないでくれ」

「ご…ごめんなさい」

膨らんだそこから目を逸らしたものの、帝人はどうしていいのか分からない。
相手が嫌がるならなんとしてでも我慢するのは千景らしい態度。紳士的とでもいうのだろうか。
それにかなり助けられているとはいえ、我慢するのが苦しいという事は同性である以上理解ができる。
さりとて、このまま先に進むのはごめん被りたかった。


混乱しながらも帝人は、この居たたまれない空気をなんとかしなければと口を開く。

「そ、そうだ千景さん!!!」

「お、おう!!!!」

自分を鎮めようと関係ない事を考えていた千景もぎこちなく帝人に合わせる。

「僕も仮装しようかと思うんですけど!!!!」

「そりゃいいな!!!!!」

何故か声を張り上げ会話をする二人。

「でも仮装するものがないので買い物とか行くのはどうですか!!?」

「すまねぇ。帝人の提案はうれしいんだが、まだ立てない」

「!!!!!で、ですよねー」

どうしたらいいものかと目をキョロキョロさせた帝人は千景のいつもよりもサイズの大きい鞄に気付く。

「そういえば千景さん」

「ん?」

「その狼コスプレどこでしたんですか?」

「そりゃあそこの玄関前で」

徐々に落ち着いてきたらしい千景は深く息を吐き、答える。

「…あそこで着替えたんですか?」

「ああ、だからほら、いつもの服がこん中に入ってんだ」

鞄から取り出したのは千景らしいお洒落な服。
着替えを外で行ったという暴挙はさておき、帝人はその服に視線を奪われた。

「あ!!!!」

混乱しきった頭で帝人は後になってしまえば後悔する事となる発言をしてしまう。

「仮装じゃないですけど、千景さんの服着てみたいです。似合わないとは分かってるんですけど、ちょっと興味があって」

高校生らしい純粋な好奇心。
制服かジャージかで過ごす帝人にしてみたら千景の服はなんとも言えず格好いいものだった。

「ああ。いいぜ」

そして千景も何も考えずに了承してしまう。自分の服を帝人に投げ渡し、あらぬ方向を向いた。

「千景さん?」

「着替えるんだろ?まだ落ち着いてねぇから」

「あ…すみません」

謝りつつも帝人の興味は千景の服に移っていた。




いそいそと千景の服を着た帝人はあまりのサイズの違いに気が遠くなりながらも楽しんでいた。
千景の匂いがするのが僅かに羞恥心を呼び起こすが、普段とは違う衣服はなんとなく楽しい。
いつもと違う服も楽しいものだ。なんて思いながら暢気に千景に声を掛ける。

「千景さん千景さん」

「んー?」

「着てみました。どうですか」

振り向いた千景は顎が外れる位に大きく口を開け、帝人を見つめるしかできない。

「やっぱり似合いませんよね」

千景の表情を不釣り合いさ故だと解釈した帝人は眉毛を八の字にしてしまう。
それに千景は顔を左右に思い切り振る。

「か…」

「か?」

「可愛い」

自分の服を着る恋人。
しかもサイズがあってなくて裾がダルダル。ズボンなどずり落ちない様に押さえている。

今まで感じたこともない感動にうち震え、千景はよろよろと立ち上がった。

「帝人!!!」

最早いろいろと限界だった。
常ならぬ様子の千景に狼狽える帝人にも千景のテンションやら何やらはあがってしまう。

「な…何ですか」

「わりぃ。もう我慢できない」

「え゛」

嫌な予感に帝人は千景から距離を取る。

しかし、

「帝人」

甘い声で名を呼ばれてしまうとそれだけで金縛りにあったように動けなくなってしまう。

「俺だけのハニー」

抱き寄せられ、耳元で囁かれた言葉に帝人は抵抗の意を失ってしまった。

「愛してる」と繰り返し告げられ、顔中に降ってくるキスを受け入れながら、帝人は千景の背中に手を回した。


――――――――――――――――
コスを全く生かせてない…m(_ _)m
微エロというか寧ろ下品な…(-"-;)

好きな子の為なら性欲我慢できるろっちーも彼シャツな帝人様の色気には我慢できなくなったみたいです(笑)

嫉妬する帝人様と我慢するろっちーが書きたかっただけな感じにになってしまったのが無念です
すみませんでしたーm(_ _)m

[2010/11/8.Up]

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