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企画
パーティーしようぜ!!!(青帝+ブルスク)

「嫌だ!!!!」

廃工場の一角。
帝人は全力で叫び声を上げた。

「諦めて下さい」

首を左右に振り、身を守るように両手で自分の体を抱き締める帝人を諭すように青葉は静かに声をかける。

「俺だってこんな格好嫌なんです。でも…」

仕方ないじゃないですか
肩を落とす青葉。その肩口にはツインテールにされた黒髪が柔らかく乗っている。

「そんなこと言われたって嫌なものは嫌なんだって」

「ほんの一瞬耐えるだけですから!!!!俺も同じの着てるんですから!!!」

グイと押しつけられた黒と白の布の塊を涙目で見た帝人はやはり嫌そうに青葉を見る。
けれど、視界に映る姿に絶望しか感じられない。

今、目の前にいる後輩は頭がオカシイんではないかと思うくらいにフリフリふわふわの服を着ていた。
いわゆるゴスロリと言われる服を着ている青葉は元の中性的な容姿も相まって、可愛らしいと言えなくもない。
それでもやはり男子高校生の女装はいろいろと無理がある。

短めのフレアなスカートの裾には豪奢なレースが仕立てられていて、先程から青葉が動く度にヒラリヒラリと風に揺れる。
その下にも幾重にもなる真っ白なパニエを着ているらしく見た目可愛らしい。
ニーハイとスカートとの間に覗く白い肌が何とも言えず色気を醸し出している様な気色悪い様な…
ガーターベルトまでレース地という徹底ぶり。

さらに視線を上げると腹部から襟元まで編み上げのレースリボン。ドレスの地が黒なだけにリボンの白がやけに映える。
ヘッドドレスを乗っけた頭はウイッグまでつけていてツインテールが愛らしい。

可愛らしい女の子が身に着けていたら可愛いだろう。
だが、青葉は男の後輩。
視覚的インパクトは凄まじすぎる。
しかもそんな服を自分も着るとなると想像するだけで気色悪すぎた。




「男らしく諦めて下さい」

「男なら女装する事に躊躇してよ!!!!」

ガシリと腰を掴まれ、抵抗する間もなくズボンのベルトを奪われてしまう。

「青葉君!!!?」

あんまりな暴挙に声を荒げても青葉は気にせず帝人のズボンを膝まで下ろしてしまう。

「パンツはこのままで良いですから。とりあえず着て下さい」

「だから嫌だよ!!!」

「俺なんてパンツまで女物なんですよ!!!!!」

帝人の拒絶の声を遙かに上回る大声を発した青葉は迷いなくスカートをめくり上げる。
多量に使われたパニエの下にはフリル過多な下着が
黒地のドット。それだけならばまだ耐えられるかもしれない。
けれど、ゴム部分とパンツの中段に存在する二段レースがキュートなパンツとなると精神的ダメージは何万倍にもなるだろう。
そんな恐ろしいアイテムを履く青葉に帝人はもはや抵抗などできなかった。






廃工場の中心は異様な光景が広がっていた。
ブルースクエアのメンバーが思い思いの仮装をして飲み食いを繰り広げている。
そう言うだけで現場のカオスっぷりは想像に難くない。

「ちょっと…青葉君…本気?」

「本気も何もこれが本番じゃないですか」

無理矢理にゴスロリなドレスを着させられた帝人もお揃いのゴスロリを着た青葉の背に隠れつつ移動をしていた。
元々ブルースクエア内でのハロウィンパーティーの為のコスプレなのだから青葉の言う通り今が本番なのだろう。
それでも、着るだけでも羞恥で死にそうだった帝人にとっては拷問そのもの。

誰かとすれ違う度に口笛を吹かれたり、意味深な笑顔を向けられる。それだけで帝人は死にたくなる位に恥ずかしかった。

そもそもカラーギャングがハロウィンパーティーをするというのも意味が分からない。




「青葉おせぇーよ」
「ひひっリーダー様も」
「てかチョー可愛いー」
「青葉キモクね?リーダー様カワイーけど」
「百合ップル好きな俺は無敵です。マジでごちっす」
「リーダー様とイチャコク青葉死ね」

口々に勝手な事を言うメンバーに帝人の顔はますます青ざめる。

「おめぇら帝人先輩脅してんじゃねーよ!!!!」

恫喝気味に青葉が吠えてもゴスロリ女装姿ではあまり迫力はない。

「ギャップ萌え?青葉ごときに萌えた…死にたい」

とか言われる始末

「青葉君。もう限界」

背中にぴったりと張り付いて泣き言を言う帝人に青葉は顔を真っ赤にさせる。
それを見たメンバーたちはますます囃し立てる。
その声に帝人がますます青葉に密着する。

悪乗りの悪循環に陥りつつあった環境に真っ先に切れたのは青葉だった。
いろいろと帝人をフォローしつつも下着まで女物という事実は彼の精神を幾許かは蝕んでいたらしい。

「先輩!!!!!」

クルリと反転した青葉は自分の背中に張り付いていた帝人を自分の腕の中に閉じこめると心の底から叫んだ。

「もう俺も限界です!!!!本当に可愛すぎます!!!!本当にヤりたいです!!!!お願いします。ほんのちょっとでいいので!!!!」

気が触れたとしか言えない発言をした青葉は帝人の短いスカートの中に手を入れかけ

「青葉君?」

やけに落ち着いた帝人の声に固まった。
気付けばさっきまであんなに騒いでいたブルースクエアのメンバーも黙り込んでいる。

「悪ふざけが過ぎるよ」

「せ…先輩…」

何処から取り出したのか帝人の手の中には一本のボールペンが。

「いや…これはちょっとした冗談で」

やっと冷静になった青葉の弁解も虚しく帝人は死刑判決を下した。
勢いよくボールペンが振り下ろされた直後、廃工場に絶叫が響き渡った。

―――――――――――――――――
帝人様のゴスロリよりも青葉のゴスロリに気合いが入ったコレ何事!!!?


[2010/10/31.Up]

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あきゅろす。
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