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企画
臨也、襲来(臨帝)

「Tric or Treat!!!!」

インターフォンに呼び出されて玄関の扉を開けた帝人は目の前の光景に思い切り顔をしかめた。
いつものファー付きコートではなく古めかしいマントを羽織った臨也が満面の笑みで両手を突き出している。

「間に合ってます」

脳内で鳴り響いた警告通りに扉を閉めようとしたら

ガッ

派手な音を立てて扉が閉まらなくなる。
視線を下に下ろせば、閉めさせないと言いたげな臨也の足

「帝人君ったら酷いな〜俺のどこが新聞の勧誘に見えるって言うのさ」

ケラケラと笑う臨也に新聞の勧誘以上に性質が悪いと心の底から思い、何としてでも扉を閉めようとするがビクともしない。

「そんなに悪戯されたい?」

むしろ悪戯したいです!!
みたいな意地悪げな表情を浮かべる臨也。
思い切り溜息を吐きながら帝人はズボンのポケットから飴玉を取り出し、隙間越しに投げつけた。
コツンと臨也の額にぶつかったのは悪霊退散の意味合いを込めて

「お菓子あげるので帰って下さい」

「塩飴…」

額にぶつかった飴が重力に従い落下していく。その過程で包装の文字を読み取った臨也は至極残念そうな声を上げる。
『熱中症対策に!!!』とか書いてある所から鑑みるに夏場から家にあった残り物に違いない。

「塩ってお祓いとかお清めになるみたいなので」

さっさと帰れ。
と言いたげに帝人が言うと臨也は地面に落ちた塩飴を思い切り踏みつけ、物凄い笑顔を浮かべた。

「帝人君ったらお菓子用意してないんだね。じゃあ悪戯しないと」

「あげたじゃないですか!!!」

「え、何を?」

会話しながらも臨也は足を何度も上げ下げし、飴を粉々にしてしまう。

「だから塩飴ですって」

「ああ!!!!これってお菓子のつもりだったんだ!!!!でもゴミだよね!!!!」

臨也が飴から足を退かすと粉砕された飴の残骸。

「………物凄く無茶苦茶ですね」

「という訳でお菓子を用意してないウッカリものの帝人君にはお仕置きをしようと思います!!!」

「お仕置きって何ですか!?」

悪戯を遥かに越えた単語に動揺した帝人が扉を押さえる力を緩めてしまったのは迂闊としか言えない。

「それにヴァンパイアは塩じゃ退散しないからね」

力任せに扉を開け放った臨也が玄関に上がってしまった。
不審者を自宅に招く羽目になった帝人は顔面蒼白で後退る。

けれど、臨也の放つ異様な気配に足が縺れ、何も無いところで尻餅をついてしまう。

「じゃあ戴きます」

転んだ帝人に覆い被さるように臨也はのしかかり、本当の吸血鬼のように白い首筋に唇を寄せた。



―――――――――――――――――
塩飴を投げさせたかっただけの話(笑)


[2010/10/31.Up]

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あきゅろす。
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