企画
捕まえた(擬人化罪歌×帝人:さや様リク)
「愛してる」
夜道を歩いていた帝人はそんな声に振り返った。
けれど、どこにも誰も居ない。
チカチカと点滅を繰り返す街頭が無駄に不気味だったりして帝人は頭をぶんぶんと振った。
「あははっ。気のせい気のせい」
わざとらしい笑い声にわざとらしい明るさ。それは一瞬心に浮かんだ恐怖を振り払うための強がりとすぐにわかってしまう。
帝人の住むボロアパートの付近は夜の10時も過ぎれば人気のなくなってしまう。そこに住む人たちはピッチリと斜光カーテンを閉めてしまうらしく洩れてくる灯りも殆どなく、ポツンポツンと設置されている街灯が薄暗く道を照らすだけ。
若い女性には絶対にお勧めできない道は何処となく不気味で、家路を急ぐ帝人は自然と足早に歩いていた。
ヒタリ
ヒタリ
ヒタリ
余計な足音が混ざる。
あまりにもゆっくりなその歩調。
けれど帝人から着かず離れずにその音は彼を追ってくる。
帝人の足下はスニーカーで殆ど音なんて立たないというのに!!!
「っ!!!」
意を結した帝人は力強く地面を蹴り、走り出したのだが
ヒタヒタヒタヒタヒタ
静かな足音の感覚が狭まり、自分が追われているという事をはっきりと認識させられてしまう。
後ろを振り返る事さえ怖くて、ただただがむしゃらに走るが基礎体力のない帝人はすぐに息切れして速度が緩まる。
自分の吐く荒い呼吸の合間にもあのヒタヒタという足音は聞こえてくる。
けれど追い人の息は全く荒くなっていないらしく聞こえてくるのは足音だけ。
それが益々帝人の恐怖を煽っていた。
自宅であるボロアパートの目の前にあるトンネルに足を踏み入れようとした帝人はあまりの暗さに気圧され、足を止めた。
トンネルの上に付いている蛍光灯が何故か切れている。
短いトンネルがやけに長く思えて、足を踏み入れる事を躊躇わせたのだ。
ひたり
ひたり
ひたり
帝人が足を止めたからか足音はゆっくりに。
けれど距離が近付いているのは確実で
背後の何かと前方の闇。
帝人は目の前の闇の中に進み、トンネルの中頃で、ひんやりとした何かに手首を掴まれた。
「ひっ!!!」
喉の奥から出る悲鳴は夜陰に溶け込み、静寂が訪れる。
左手首を掴む何かはやたら冷たくて、体温を感じさせない。
まるで…
幽霊にでも掴まれたみたいだ。
「ふふふっ」
背後に居る何かの含み笑い。
「愛。愛してる。愛してるだから斬る。愛する?愛する。愛してる。愛する。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる。愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる」
意味を理解させない音の渦。
それは先ほどの控えめな足音とは打って変わって騒音にも似ている。
トンネルに反響して音はますます大きくなる。
本能的な恐怖を与える音だ。
けれど
「なんだ」
帝人は目に見えて安堵していた。
轟音の様な「愛」の連呼の中、帝人は目を細めて嬉しそうに笑う。
「罪歌」
その名を帝人が口にした瞬間、轟音がピタリと止む。
「もっと早く出てきてよ。幽霊か何かと思ったんだから。それとも幽霊なの?刀が人になるなんて」
ぷぅと頬を膨らませる帝人に背後の罪歌はのどを震わせて笑う。
「脅えている帝人も愛してます。だって私は帝人を愛しているのだから」
「悪趣味だってば」
「悪態を吐く帝人も愛してる」
「ちょっと罪歌。僕の質問聞いてる!!?」
「愛する。愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる切り裂いてそのすべてを愛すから愛してる愛してる一つになってもいいよね愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる突き立てて想いを伝えるよ愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる溶け合ってしまいたい愛してる愛してる愛してる愛してる!!!!」
偏執的な言葉を擽ったそうに聞いていた帝人は質問の回答を諦め、後ろから抱き締める罪歌の腕に頬を寄せる。
人とは思えない低い体温が心地よかった。
何故、罪歌が体を持っているのか全く意味が分からなかったけれど、これが罪歌だとわかればそれだけで良かった。
人を愛すのに一生懸命な罪歌のひたむきさを帝人は愛していたから。
「罪歌。僕も愛してる」
愛を呟けば罪歌の腕の力が強まる。
抱きしめると言うよりも締め上げるに近い抱擁は華奢な帝人の体には心地よさよりも苦痛を与えるというのに帝人は嬉しそうなまま。
「やっと捕まえた」
愛の嵐を止めた罪歌はギリギリと帝人を抱き締めながら恍惚と言葉を紡ぐ。
「私を受け入れてくれるのは帝人だけ」
「帝人が居るから私は、切り裂く以外の愛の表現を得られた」
「言葉を」
「抱き締める腕を」
「口づける唇を」
「それでも愛する。斬る。斬る。斬る」
「優しく愛したい」
「私は帝人を愛してる」
抱きしめていた帝人の旋毛に唇を落とす罪歌。
「だから刃以外でも帝人を貫けるようにした」
「それ…下ネタ?」
クスクスと笑いながら帝人は罪歌の指と自分の指を絡める。
「捕まえたのは僕だよ」
誰かの中に居るだけだった君の腕に触れているのは僕なんだから。
―――――――――――――――――
罪歌×帝人
いろいろとツッコミ所の多すぎる話になり果てました
そして擬人化という素敵なお題を木っ端みじんにしてしまいましたm(_ _)m
罪歌の喋り方が分からないという致命的な問題が…
多重人格的な側面があるので…グチャグチャになりました(^_^;)
そして罪帝の癖に甘い(笑)
そもそも二人?が知り合いみたいな会話している事が意味不明であります
うーん
ダラーズ内に居た子罪歌と帝人が接触して、人外愛され体質の帝人様が子罪歌に愛され、誰かの中に居た罪歌と愛を育んでいったという事で!!!←無理矢理
[2010/5/15.Up]
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!