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企画
熱い指(学パロ臨帝:亞矢那様リク)

廊下の張り紙を満足気に観察している男が一人いた。
折原臨也というその青年は関わっちゃいけない人間No1の名を欲しいままにしていたりするのはまた別の話。

「ふふ」

なにはともあれ、彼の笑い声は誰かが不幸になった証拠に違いあるまい。たまたまその廊下を歩いていて、そんな不幸のお届け便みたいな笑い声を聞いてしまった生徒達は現時点で自分が不幸になっていない事に安堵し、被害者に同情するばかり。

「シズちゃんも六条君も単細胞で良かったよ」

裏で謀略を張り巡らせ、二人を停学に追い込んだ臨也は至極嬉しそうな顔をして、隣に立つ少年を見る。
隣に立つ。と言っても少年の意思ではなく、彼の教室から無理やり連れ出されただけで、少年は口をへの字にして不満を表していた。

「そのお陰で帝人君と二人きりになれたんだからね」

「僕はなりたくありませんでした」

半眼で睨みあげる少年の冷ややかすぎる目に晒されても、臨也は満面の笑みを崩さない。

「俺と二人きりだと緊張しちゃうんだね。帝人君は可愛いなぁ」

「……頭大丈夫ですか?」

「ん?頭?もちろん!!!帝人君の事ばかりで埋め尽くされてるよ!!!!帝人君ラブ!!!!」

大声で叫ぶ臨也。
廊下を通り過ぎる人々が一瞬足を止め、素知らぬ顔で足を進めてゆくという現実に帝人はため息を吐いた。
クラスメートの平和島静雄も兄貴分の六条千景も居ない学校は酷く危険だ。

何しろ

「帝人君も臨也先輩ラブって言っていいんだからね」

頭のオカシイ臨也に絡まれ続ける羽目になるのだから。
どちらか一人が居れば臨也と揉め事を起こしてくれたりして帝人に平穏な時間が訪れるというのに…
用意周到な臨也のせいで帝人を救う者は一人も居ない。


「ホラ、いいなよ」

「言いませんよ」

「恥ずかしがらなくても。此処には俺と帝人君だけじゃない」

廊下を過ぎゆく人たちを認識していないのだろうか。
とは帝人は訊ねたりはしない。
帝人にとって周りに人が居ようが居まいが対応は一つだけだから。
「周りの人達が居ても居なくても言う訳ないじゃないですか」

「そっか。俺に聞かれるのも恥ずかしいんだね。そんな恥ずかしがり屋な帝人君に心臓を鷲掴みにされそうだよ」

あまりにもポジティブシンキングな臨也に帝人はため息を吐く。
この人の頭の中身は一体全体どうなっているんだ。
そう思っても、別に全く臨也の中身なんて興味がないから質問もしない。

ただただ臨也の興味の方向が自分以外に向く事を願うしかない。

折原臨也は天災の一種。

そう考えれば少しは気分もマシになる。

「帝人君」

「はいはい」

適当に返事をしていればいずれ飽きるだろう。そんな認識で帝人は言葉を返す。
けれど臨也からの答えがない。
いきなりな静寂を胡乱に思い、彼を見た瞬間、帝人は自らの迂闊さを呪うしかなかった。

真剣に自分を見つめる赤い瞳。
気味の悪い笑顔を浮かべない顔。
人間というには整いすぎたその造作は中身の最悪さを知っていても魅了されてしまう。

「帝人君」

そんな絶世の美男子に名前を囁かれ、帝人は背筋を凍らせた。

「早く俺の物になりなよ」

甘い甘い、甘すぎて果汁が滴りそうな声は帝人の思考回路を縛り上げるには充分で。
赤い瞳が近付いてくる意味を理解する事さえ出来なかった。

視界いっぱいの臨也の顔。
睫毛長いなぁとか思っている帝人の唇に柔らかく触れる何か。

いつのまにか鳴り始めていたチャイムが流れ終わる頃、臨也の顔が帝人から離れていく。

「授業始まっちゃったね」

「あ…ぇ!!?」

現実に引き戻された帝人がオタオタし始めているのを微笑ましげに見ている臨也はがっしりと帝人の手首を掴んだまま。

「臨也さん。僕、教室に」

違和感の残る唇を制服の袖でゴシゴシと擦りながら、帝人は手を離せと主張する。


けれど

「サボろうか。さっきの続きしたいしさ」

臨也は帝人の望みなんて叶えやせず、一方的な事しか言わない。

「もっともっと可愛がってあげるよ」

唇をゆっくりと指でなぞられ、帝人はその過剰な色気に赤面してしまった。
このまま一緒に居たら危険だ。と全身の細胞が警鐘を鳴らしている。それなのに、帝人の体は凍り付いたかの様に動く事ができない。

完全に硬直してしまった帝人から手を放した臨也はくるりくるりと回転しながら帝人から離れてゆく。

「あはは。冗談冗談。帝人君。次の授業は古典だよね。あの教師来るのいつも遅いから今から走れば間に合うんじゃないかな」

その言葉を聞いた瞬間、我に返り、ワタワタと走り出した帝人の後ろ姿を見送ってから臨也は急にしゃがみこんだ。
頭を抱え、何かから顔を隠そうとさえしている。

「なんなのあの子!!!無防備すぎるんだけど!!!!」

唇をなぞった指が燃える様に熱い。
真っ赤に染まった顔で自分の指を見つめる臨也は恐る恐る自分の指に舌を這わせた。

「帝人君の味がする…」


耳まで真っ赤にした臨也は熱すぎて発火しそうな頬を押さえ、唇を噛み締めた。
そうでもしないと早鐘の様な心臓が口から飛び出しそうだった。

「この俺がこんな風になるなんて…」

普段の自分が壊れるくらい、
好きで好きで好きでたまらないんだ!!!!!!



―――――――――――――――
学パロで臨帝
前の学パロの設定を流用

そして意外と臨也が純情です(笑)
でも帝人の前ではカッコつけます

学パロ臨也は口では色々言うけど実際にやると動揺します
だって帝人が初恋だもん(笑)
そして動揺を隠せるほど年喰ってない(笑)
この後ドタチンに報告しにいけばいい!!!!

学パロの設定を纏めてみようと思います

[2010/5/11.Up]

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あきゅろす。
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