企画
いい加減にしてくれ!(種:イザフレ#コメディ)
※前のイザフレ話とは完全に別話として見て下さい
【いい加減にしてくれ!!!!】
それはあの女の一言から始まった。
「ねぇパパぁ。そろそろクリスマスよ。何かしましょうよ」
甘ったるい声を出すその女の名はフレイ・アルスター。
現在、ナチュラル共の中では悲劇のヒロインとして宣伝されている少女であるのだが…
「だがフレイ。今は戦争中なんだよ」
「え〜つまんなーい」
かの有名なジョージ・アルスターの遺児であり、「戦う事でしか平和が訪れないのなら私は戦います」という言葉と共に軍隊に入った清廉な少女。
ついでに哀れにも鬼畜なコーディネーターの捕虜となってしまった。
「仕方ない。フレイが言うならやろうではないか」
「やったーパパったら太っ腹ー」
先日傍受したナチュラルの宣伝を思い出しイザークは溜息を吐いた。
敵とはいえあまりにも哀れだ。
フレイ・アルスターという悲劇の少女に同情して入隊した者たちも多いと聞く。
あまりにも無惨すぎる。
「ねぇイザーク。私と一緒にミニスカサンタしましょうよー」
当の本人は気ままな捕虜生活を楽しんでいるというのに!!!
「ほほぅ。フレイ。それは面白い案だ」
「でしょ。私が似合うのは当然として、イザークも女の子みたいな顔してるから絶対似合うわ」
「よし許可しよう」
因みにフレイ・アルスターに同調しているのはラウ・ル・クルーゼ。
尊敬できる上司だった筈だ。
「聞いた!?イザーク!!パパがOKしてくれたわ!!!」
この女が隊長を悪の道に引きずり込んだに違いない。
「それでは採寸しなければな」
「パパったらやる気満々ね」
「当然だ。せっかくやるのだから面白い方がいい」
……違いない。
「ちょっとイザーク。聞いてるの!!?」
イザークが物思いから現実に引き戻されたのはフレイの声というよりも頬を引っ張られるという物理的な痛みのせいだ。
「何をする!!!」
「だってイザークったら聞いてないんだもの」
半ばキレながらフレイを引き剥がせば何を怒るのかと言いたげにフレイは不満そうな顔をしている。
「イザーク。これは上官命令だ。今度行われるクリスマスパーティーでフレイと一緒にミニスカサンタになれ」
あまりにもムチャクチャなクルーゼの命令にイザークは目を見開いた。
「やだーパパったら横暴ー」
「ふふ…私もやる時はやるのだよ」
「パパったらかっこいー」
アホ過ぎる会話をし続ける二人にイザークは気が遠くなっていくのを感じていた。
有り得ない。
何なんだこのアホ共は
これはクルーゼ隊長ではない。何か別の生き物だ。
そうだ、そうに違いない。
「それじゃあ誰か裁縫が得意な子を探さないと」
「それには及ばない。シホというイザークの部下が裁縫を得意としている」
「流石パパ!部下の事は何でも承知ずみなのね」
「無論だ」
鷹揚に頷くとクルーゼは艦内放送を入れた。
「シホ・ハーネンフース。私の元に来い」
何だか無駄に偉そうである。
「た…隊長…何故彼女を…」
本格的に身の危険を感じ始めたイザークの問いにクルーゼは当然の事の様に言い放った。
「流石にクリスマスパーティーに軍の物資を使うわけにもいくまい。ましてやここはプラントから遠い。発注して届くまでにクリスマスは終わるだろう。故に自分達で調達するしかあるまい」
その言葉が意味する事をイザークが理解する前に
「シホ・ハーネンフース。参りました」
堅苦しい挨拶をする少女が部屋の中へと入ってくる。
彼女は一瞬フレイを睨むが、イザークの姿を見つけると嬉しそうな顔をする。
「何か任務でしょうか」
「そんなに畏まらなくていい。これは君にしか出来ない事だ」
「はっ」
「二人分のミニスカサンタコスチュームを作って欲しい」
「はぁ?」
流石にシホが不思議そうな声を上げる。
「フレイ・アルスターの案でな。戦時中と雖も憩いは必要だ。そして丁度クリスマスも近い。と言う訳でパーティーをしようと思う」
フレイのアイデアと聞き、再度嫌そうな顔をしたシホだが上官の言葉に異論を唱えたりはしなかった。
「盛り上げる為にも華やかな演出が必要だ。そこで発案者であるフレイ・アルスターがミニスカサンタになってくれると言うのだが彼女だけにさせては捕虜虐待の誹りを受けかねない。また我が軍の女性にミニスカを履かせるのはセクハラになりかねない。故にイザークに着て貰うって事となった」
クルーゼの言葉にシホはきょとんとした表情のまま何かを考えた後、頬を紅潮させながらビシッと敬礼した。
「その任、死ぬ気でやります!むしろやらせて下さい!!!ジュール隊長のミニスカなんてスゴいm…コホン。皆を和ませようとする隊長の心遣いに感服しました」
萌と言いかけたシホは何とか体裁を整えるとイザークの腕をガシッと掴んだ。
「それではまず採寸を!!!!」
「お…俺は一度も了承して居なーい!!!!」
イザークの絶叫も虚しく、彼はずるずるとシホに引きずられていったのであった。
「おや、フレイ。ついて行かなくていいのかい?」
「だって邪魔しちゃあの子に悪いもの」
シホがイザークに抱いている感情など百も承知のフレイは綺麗に微笑んでクルーゼに答える。
「まぁなんだかイザークの事を好きなのかただの萌えの対象にしてるのか微妙な感じになってきてるけど」
「そう仕向けたのは君だろう。フレイ」
「パパだって最近イザークだけじゃなくってシホの事もからかってるじゃない」
「何…あの堅物二人がオカシクなってゆくのは愉快だからな」
「流石パパ分かってるぅ」
もはやヴェサリウスは悪魔に支配されてしまっているのであった。
――――――――――――――――
ナンダコレ(笑)
これでもイザフレと主張する気満々です
我が儘なフレイは世界で一番可愛いと思います
フレイは俺の嫁ー
[2009/12/21 Up]
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