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企画
骨が折れる程に抱きしめて(静帝.帝人が盲目:キサラ様リク)
盲目帝人の世話する静雄で静帝



「まるで、世界から切り離されて一人ぼっちになったみたいです」

小さく呟いた少年の目には真白な包帯。潔癖すぎるその白さはまだ幼い少年が身に着けるには痛々しい。

彼、竜ヶ峰帝人が視力をうしなったのは一週間前の事。
光を受け入れられなくなったのは一昨日の事。

そして帝人の視界は闇に染まった。

ネットを生きる糧にしてきたかれにとって視覚を奪われる事は死と同義で、絶望に他ならなかった。


「帝人」

帝人の独り言を耳にした静雄は出来るだけ優しく声を掛けた。

「何ですか」

心此処にあらずと言った風に返す帝人に静雄は何かに耐える様にギュッと拳を握る。

「頼むから何処かに行かないでくれ」

押し殺した様な静雄の懇願が帝人と彼の座る椅子しかない部屋に染み渡ってゆく。

「何処かって」

クスリと小さく笑った帝人は静雄の居ると思われる方向を向いた。声だけで判断したせいで少々ズレた方向を向いてしまう帝人に悲しさを感じながら静雄は帝人に近付く。

「何処に行けると思ってるんですか。僕、この部屋のドアの場所だって見えないんですよ?」

「あ…ああ、わりぃ」

「別に謝らないで下さい。単なる事実ですから」

自虐的な笑い方をしながら帝人は椅子から立ち上がる。
視力を失ってから、ずっと室内で大人しくしている帝人の体は僅かに付いていた筈の筋肉さえも無くなってしまっていた。

儚い肢体に静雄は恐怖さえ覚えてしまう。
このまま消えてしまうのではないか、と。

「帝人」

立ち上がり、恐る恐る足を前に出した帝人を抱きしめ、自分の存在を全身で伝えても、帝人には届いていないのではないかという危惧ばかり抱いてしまう。

「静雄さん」

「どうした?」

「泣いてるんですか」

「……泣いてねぇよ」

目が見えなくても察しがいい帝人に涙を指摘され、静雄はそれをはぐらかす。
ただでさえ不安定な帝人の心配材料を作りたくない。そんな一心でついた嘘は余りにも下手くそで。

「ごめんなさい」

「謝んな」

「僕なんかが居るから」

「なんかとか言うな」

「でも…僕みたいのが静雄さんの家に居座ってるから」

「うるせぇ!!!」

強く強く抱き締めたまま静雄は怒鳴る。

視力を失い、ボロアパートの中で何もしないまま座り込んでいた帝人を無理矢理に連れだしたのも、
自宅に住まわせ世話をする様になったのも、
弱々しい帝人の姿に涙が出てしまうのも、
愛しい恋人だから。

「俺の愛してる奴の事を「なんか」とか「みたいな」とかクダラネェ言葉で馬鹿にすんじゃねぇ!!!!!」

「………」

「本が読みたいなら俺が全部読んでやる。チャットがしたいなら全部読み上げる。昼と夜が知りたいならいつでも教える。だから…生きるのを諦めないでくれよ」

「でも…僕は………何も出来ないんですよ。誰かのの手ばっかり借りて、そうやって生きていくしかできないんですよ」

まるで寄生虫だ。
自虐的な帝人はおとなしく抱き締められたままそう吐き捨てた。
誰かに頼らねば生きてゆけぬ未来に希望など無いと。

「だったら俺に寄生しろ」

「そんなの、静雄さんが可哀想です」

「可哀想じゃない。俺は…」

僅かに言葉に詰まり、静雄は益々キツく帝人を抱き締めた。痛みさえ感じる抱擁に安堵したのか帝人の表情は穏やか。

「帝人が居ないと生きてられねぇんだ。お前が俺の力を怖がらないでいてくれるから俺は俺を許せる。俺こそ帝人に依存して寄生してんだ」

「静雄さん」

「ああ」

「もっとギュッて抱きしめて下さい。見えない代わりにもっと静雄さんを感じたいんです」

軋む骨の音を聞きながら、帝人は安堵していた。

――――――――――――――――
静帝〜
病んでないよ。と言い張ります
甘々なんですよ


目が見えなくなりのは帝人にとって最大の不幸だと思います
でも非日常の塊のシズちゃんに寄生する事で心の安定をはかれるのではないかと…
シズちゃんが帝人に依存しているのはウチのデフォです
あんな怪獣を愛せるのは罪歌と帝人様くらいですから(笑)

[2010/05/02.Up]

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あきゅろす。
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