企画
そうだ昼寝をしよう(人吉+宗像:水華様リク)
「いい天気っすね」
「ああ」
「このまま昼寝とかしたら気持ちよさそう」
「同感だ」
「午後サボっちゃいましょうか」
「生真面目な君がサボリ発言なんて珍しい」
「生真面目って、先輩ってば俺の事なんだと思ってるんですか」
「人吉善吉だろ?」
「いや…まぁ間違いじゃないですけど……」
暢気な会話が繰り広げられる昼下がり、午後の授業が始まる鐘が鳴り響き、人吉は「サボリ決定」と楽しそうに笑った。
そして、隣に座る宗像の無表情な横顔を見、ふと思う。
いつからだろうか
彼が「殺す」と言わなくなったのは
殺意を振りまかなくなったのは
そんな疑問を人吉が抱いているなんて知らずに宗像はぽんやりぽわわんとした空気を垂れ流しにして座っていた。
殺意という衣を脱いだ宗像はぼんやり気味のおとなしい青年で、心の中に酷く歪んだ愛があるなんて気付かせもしないのだ。
そんな宗像の隣に座って日向ぼっこをしている人吉善吉もいつからか彼と共に居る時間が増えていた。
彼の事を黒神めだかの腰巾着と呼ぶ者が居なくなったのは人吉の実力が知れ渡ったからではなく、物理的に傍にいる事が少なくなったから。
めだかの傍から離れた殆どの時間を人吉は宗像の傍に居た。
最初は宗像が衝動を抑えられなくなった時の保険として。
けれど今は友人として傍に居る。
「先輩と一緒に昼寝とか気持ちよさそう」
人吉がそんな事を言えば
「俺も人吉君と寝たら気持ちいいかな」
宗像もそう返す。
それ位に二人は親しくなっていた。
顔を見合わせクスクス笑う二人の間にはほんわりとした暖かい空気が流れている。
そんな空気の中、ゴロリと芝生の上に寝転んだ人吉は自分の隣の芝生を右手でポンポンと叩いた。
「空が高くて気持ちいいですよ」
促されるままに人吉の隣に寝転んだ宗像は太陽の眩しさに目を細め、高すぎる空に息を呑んだ。
地下に居た頃には見たことも想像したことさえもない景色。
「人吉君」
「なんすか」
小さく欠伸をしながら返事をする人吉に宗像は淡く微笑みを浮かべた。
「ありがとう」
「…なんですかソレ」
目を瞑り昼寝体勢に入った人吉を横目で見た宗像は空に視線を戻す。
蒼穹はどこまでも高く深く、美しかった。
「地下から連れ出してくれて」
小さな宗像の呟きに合わせて、寝息が聞こえてきた。
――――――――――――――――
人吉と宗像
×に近い+な感じで
人吉が居たから外の世界にでれた宗像さんという感じで
でも必死に殺人衝動を抑えながらのほほんやってるかと思えば「頑張ってるね(ノ_・。)」という気分になります(笑)
[2010/05/02.Up]
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